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ニュース解説

海外新薬承認情報(2022年4月分)

更新日

亀田真由

2022年4月に米FDA(食品医薬品局)が承認した主な新薬と適応拡大をまとめました。

 

【新薬】PROS治療薬「Vijoice」など

【2022年4月に米FDAが承認した主な新薬】(*=優先審査/製品名(一般名)/社名適)Vijoice(alpelisib)*/スイス・ノバルティス/PIK3CA関連過成長症候群(2歳以上)/Igalmi(dexmedetomidine)/米バイオエクセル/成人の統合失調症、双極性障害(舌下フィルム)/Epsolay(benzoyl/peroxide)/イスラエルSol-Gel/酒さ(成人)/Vivjoa(oteseconazole)*/米Mycovia/再発性外陰膣カンジダ症/Camzyos(mavacamten)/米ブリストル/閉塞性肥大型心筋症(成人)/Cuvrior(trientine/tetrahydrochloride)/仏Orphalan/ウイルソン病(安定期の成人)|※米FDA(食品医薬品局)や各社の発表資料をもとに作成

 

「Vijoice」スイス・ノバルティス

PI3K阻害薬「Vijoice」(一般名・alpelisib)は、PIK3CA関連過成長症候群(PROS)治療薬として迅速承認を取得。全身療法が必要とされる重い症状の2歳以上の患者に使用されます。PROSに対する治療薬は米国初。これまでは外科手術や放射線治療に選択肢が限られていました。alpelisibは、乳がん治療薬として「Piqray」の製品名で2019年に米国で、20年に欧州で承認されており、日本でも乳がんを対象に臨床第3相(P3)試験を進めています。

 

「Igalmi」米バイオエクセル

「Igalmi」は、α2作動性鎮静剤dexmedetomidineの舌下フィルム製剤。成人の統合失調症や双極性障害に伴うアジテーションに対する急性治療に使われます。臨床試験では、投与から20分での効果が確認されました。

 

「Epsolay」イスラエルSol-Gel

「Epsolay」は、酒さの炎症性病変の治療に使用されるbenzoyl peroxideのクリーム剤。イスラエルのSol-Gel Technologies独自の技術により、有効成分をシリカベースのマイクロカプセルに閉じ込めることで徐放設計を実現しています。米国ではライセンス先のスイス・ガルデルマが販売します。

 

「Vivjoa」米Mycovia

アゾール系抗真菌薬「Vivjoa」(oteseconazole)は、米国初となる再発性外陰膣カンジダ症治療薬です。標準治療のfluconazoleとの比較を行った臨床試験では、被験者の9割以上で48週間、再発を防止しました。

 

「Camzyos」米ブリストル・マイヤーズスクイブ

「Camzyos」(mavacamten)は、閉塞性肥大型心筋症の治療薬で、NYHA分類でII度からIII度の成人患者を対象としています。同薬は、ブリストルが2020年11月に買収したマイオカーディアが開発。閉塞性肥大型心筋症の主な原因の1つとされる心筋ミオシンを阻害する作用を持っています。

 

「Cuvrior」仏Orphalan

「Cuvrior」(trientine tetrahydrochloride)は、ウイルソン病の治療に使われる銅キレート剤。安定期で、標準治療のペニシラミンによる治療効果が得られなくなった成人患者が対象です。米国では、ペニシラミンで治療を受ける患者の約3分の1が同剤への耐性を持つとされます。欧州では「Cuprior」の製品名で販売されています。

 

【適応拡大】「Ultomiris」の全身型重症筋無力症、「Rinvoq」の強直性脊椎炎など

【2022年4月に米FDAが承認した主な適応拡大】<製品名(一般名)/社名適応>Xigduo/XR(dapagliflozin/metformin)/英アストラゼネカ/進行リスクのある慢性腎臓病(成人)/Zerbaxa(ceftolozane/tazobactam)/米メルク/複雑性尿路感染症、複雑性腹腔内感染症(0歳以上の小児)/Veklury(remdesivir)/米ギリアド/新型コロナウイルス感染症(生後28日以上の小児)/Ultomiris(ravulizumab)/英アストラゼネカ/全身型重症筋無力症(抗アセチルコリン受容体抗体陽性の成人)/Rinvoq(upadacitinib)/米アッヴィ/活動性の強直性脊椎炎(成人)/Qelbree(viloxazine)/米スパーナス/ADHD(成人)|※米FDA(食品医薬品局)や各社の発表資料をもとに作成

 

「Xigduo XR」英アストラゼネカ

SGLT2阻害薬dapagliflozinとビグアナイド薬metforminの配合剤「Xigduo XR」は、進行リスクのある慢性腎臓病に適応拡大。dapagliflozin単剤の「Farxiga」は、昨年4月に慢性腎臓病の承認を取得しました。

 

「Zerbaxa」米メルク

β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤「Zerbaxa」(ceftolozane/tazobactam)は、腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症と複雑性腹腔内感染症の適応で、0歳以上の小児に使用できるようになりました。複雑性腹腔内感染症に対してはmetronidazoleと併用します。同薬はセフェム系薬ceftolozaneにβ-ラクタマーゼ阻害剤tazobactamを配合した注射系抗菌薬。日本では19年に発売されていますが、小児適応は持っていません。

 

「Veklury」米ギリアド

新型コロナウイルス感染症治療薬「Veklury」(remdesivir)は、生後28日を過ぎた体重3kg以上の小児に対象を拡大しました。対象となるのは、入院しているか、重症化リスクの高い軽症~中等症の小児患者。12歳未満の患者に使用できる治療薬は、米国ではVekluryが初めてとなります。

 

「Ultomiris」英アストラゼネカ

長時間作用型の抗補体(C5)抗体「Ultomiris」(ravulizumab)は、全身型重症筋無力症に適応拡大。抗アセチルコリン受容体抗体陽性の成人患者が対象です。2週間ごとに投与するSolirisと比べ、Ultomirisは8週間ごとの投薬で済み、患者の負担軽減が期待されます。日本と欧州でも申請中です。

 

「Rinvoq」米アッヴィ

経口JAK阻害薬「Rinvoq」(upadacitinib)は、活動性の強直性脊椎炎に適応拡大しました。対象は、1つ以上のTNF阻害薬に反応不十分か不耐容の成人患者。米国では5つ目の適応症となります。日本でも昨年6月に強直性脊椎炎への適応拡大申請を行っています。

 

「Qelbree」米スパーナス

ADHD治療薬の「Qelbree」(viloxazine)は、成人患者にも使用できるようになりました。非刺激性のADHD治療薬が成人向けに承認されるのは約20年ぶりです。同薬は選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬の徐放カプセル剤。昨年4月に小児向け治療薬として承認されました。

 

【バイオシミラー】米アムニールのbevacizumab

【2022月4月に米FDAが承認したバイオシミラー】<製品名(一般名)/社名適応>Alymsys(bevacizumab)/米アムニール/転移性大腸がん(併用療法)|※米FDA(食品医薬品局)や各社の発表資料をもとに作成

 

「Alymsys」米アムニール

「Alymsys」は、米国で3剤目となる米ジェネンテックの抗VEGF抗体「Avastin」(bevacizumab)のバイオシミラー。スペインのマブサイエンスが開発した製品です。日本では今年1月、マブサイエンスから同剤を導入した日医工が承認を取得しました。

 

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