エーザイ AD治療薬レカネマブ、米国で段階的申請を完了
エーザイは5月10日、早期アルツハイマー病(AD)を対象に開発中の抗アミロイドβプロトフィブリル抗体レカネマブについて、米国で迅速承認制度に基づく段階的申請が完了したと発表した。同薬は昨年6月にブレークスルーセラピーの指定を受けており、エーザイは優先審査の適用を希望している。申請は、早期AD患者856人を対象とした臨床第2b相(P2b)試験の結果や、患者1795人を対象に実施中のP3試験で得られた安全性情報などに基づく。P3試験の主要評価データは今秋の取得を予定しており、エーザイはこれを踏まえて2022年度中にフル承認申請を行う方針。日本でも今年3月に申請データの提出を始めていて、22年度中の申請完了を予定している。
住友ファーマ、前立腺がん治療薬「オルゴビクス」欧州販売権を英社に供与
住友ファーマは5月10日、米子会社マイオバント・サイエンシズが開発した進行性前立腺がん治療薬「ORGOVYX(オルゴビクス)」(一般名・レルゴリクス)について、英Accord Healthcareと欧州での販売に関するライセンス契約を結んだと発表した。欧州、英国、スイス、トルコでの販売権を供与し、中東、アフリカ、インドでの導出に関する優先交渉権も許諾した。欧州では先月29日に承認されており、英国でも申請中。対価としてマイオバントは、一時金5000万ドル(約65億円)のほか、販売マイルストンなど最大9500万ドルと売上収益に応じたロイヤリティを受け取る可能性がある。
エーザイ 高用量メコバラミン、ALS治療薬として23年度申請へ
エーザイは5月10日、メコバラミンの高用量製剤について、筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬として2023年度中の承認申請に向けて準備を開始したと発表した。徳島大の研究チームが行った医師主導治験で良好な結果を得た。エーザイは2015年に自社で行ったP2/3試験の結果をもとにALSでの申請を行ったが、PMDA(医薬品医療機器総合機構)から「申請パッケージが不十分」との見解が示され、翌年に申請を取り下げた経緯がある。メコバラミンは、低用量の内服薬などが末梢性神経障害治療薬「メチコバール」として販売されている。
参天、持株会社体制への移行を取り止め
参天製薬は5月10日、持株会社体制への移行を中止すると発表した。中期経営計画で掲げる持続的成長に向けた収益力向上には、現行の体制を維持する必要があると判断した。同時に予定していた決算期の変更も中止する。参天は昨年2月、2022年4月をめどとする持株会社体制への移行を発表したが、経営環境の変化などを踏まえて移行を延期していた。
ツムラが新中計、24年度に売上高1620億円
ツムラは5月10日、2022~24年度の中期経営計画を発表した。今年4月に公表した2031年までの長期ビジョンの実現に向け、基盤構築のための事業規模拡大と利益率向上を目指す。最終年度の目標は、売上高1620億円(21年度は1295億円)、営業利益290億円(同224億円)。具体的には、▽漢方市場の継続的拡大▽中国での生薬・飲片の売り上げ拡大と中成薬事業への参入▽生薬選別や製造工程へのAI・ロボット活用――などに取り組む。
イルミナ、がん遺伝子パネル検査を申請
イルミナは5月10日、がん遺伝子パネル検査「TruSight Oncology Comprehensiveパネルシステム」を日本で申請したと発表した。腫瘍サンプルを用いたターゲットシーケンスにより517のがん関連遺伝子の変異を検出。固形がんの治療選択を補助する。
ノボ、糖尿病・循環器の診療連携ツールを公開
ノボノルディスクファーマは5月10日、糖尿病と循環器疾患に関わる診療科の連携を促進するツールを作成し、同社の医療従事者向けウェブサイトで公開したと発表した。デンマーク本社がグローバルで取り組む診療連携プロジェクトの一環。ツールは、かかりつけ医から専門医に患者を紹介するのが望ましいと考えられる基準のリスト、合同カンファレンスのポイント、連携を行う上で共有が必要な情報などをまとめている。
富士フイルム ボストン拠点で遺伝子治療薬の受託サービスを開始
富士フイルムは5月10日、バイオ医薬品CDMO事業子会社フジフイルム ダイオシンス バイオテクノロジーズの米ボストン拠点で、遺伝子治療薬のプロセス開発の受託サービスを開始したと発表した。遺伝子治療薬の受託ビジネスを展開するのは、米テキサス、英国に続く3拠点目。ボストンでは2024年に原薬製造設備も稼働する予定で、遺伝子治療薬のプロセス開発から原薬製造まで一貫したサービス体制を構築する。
参天の春季カタル治療薬「Verkazia」中国で承認
参天製薬は5月10日、重症春季カタル治療薬「Verkazia」(一般名・シクロスポリン点眼液)が中国で承認されたと発表した。同薬は参天が開発したカチオニック乳化点眼液。米国では今月2日から販売している。春季カタルは、小児や若年成人に多く見られる再発性の重症アレルギー性眼疾患。眼表面に重度の炎症が見られるほか、かゆみや羞明などを伴い、適切な治療を行わないと角膜潰瘍や視力障害を引き起こすとされる。
決算
参天製薬(2022年3月期、5月10日発表)
売上収益2662億5700万円(前期比6.7%増)、営業利益358億8600万円(194.7%増)。主力の眼科用VEGF阻害薬「アイリーア硝子体内注射液」(724億8400万円、12.5%増)やドライアイ治療薬「ジクアス点眼液」(188億3500万円、30.8%増)が好調で、薬価改定などのマイナスをカバーした。昨期に開発遅延により減損損失407億円を計上した反動で営業利益も大幅に増加。23年3月期の業績予想は、売上収益2640億円(0.8%減)、営業利益342億円(4.7%減)。
ツムラ(2022年3月期、5月10日発表)
売上高1295億4600万円(前期比11.3%増)、営業利益223億7600万円(15.4%増)。海外での生薬の販売が好調で、海外売上高は前期比56.9%増の99億7800万円。国内もe-プロモーションが奏功し、8.6%の増収となった。23年3月期は売上高1385億円(6.9%増)、営業利益208億円(7.0%減)を予想している。
キッセイ薬品工業(2022年3月期、5月10日発表)
売上高653億8100万円(前期比5.3%減)、営業利益14億200万円の赤字(前期は15億500万円の黒字)。過活動膀胱治療薬「べオーバ錠」などが好調だったものの、薬価改定や輸出売り上げの減少が響いた。売上高の減少に加え、研究開発費を中心とする販管費の増加で営業利益は赤字。投資有価証券の売却益を計上するなどし、最終利益は129億2100万円を確保した。23年3月期は、売上高680億円(4.0%増)、営業利益28億円を見込む。