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ニュース解説

モデルナ 大相撲に懸賞旗、日本市場への野心示す

更新日

ロイター通信

日本市場へのアピールを強める米モデルナ(ロイター)

 

[東京 ロイター]新型コロナウイルスワクチンで米ファイザーとシェア争いを繰り広げている米モデルナが、大相撲に懸賞旗を出し、日本市場へのアピールを強めている。

 

日本政府が4回目のワクチン接種を計画する中、モデルナは新型コロナ以外の感染症ワクチンにも手を広げようとしており、相撲を通じて一般への認知向上を図っている。

 

取組前に呼び出しが土俵を1周しながら掲げる懸賞旗は、従来は飲料や食料品の広告として使われることが多かった。モデルナは今月13日から行われている大相撲春場所で懸賞旗の掲出を始めた。モデルナの懸賞旗は、白地に赤い和風の文字で社名を書いたシンプルなものだ。

 

懸賞旗を通じたプロモーションは、モデルナの日本での成長意欲を示すものだ。日本では昨年、武田薬品工業を通じて新型コロナに対するmRNAワクチンの供給を開始し、名が知られるようになった。

 

しかし、日本で使われている新型コロナワクチンの大部分はファイザーが独ビオンテックと共同開発したワクチンだ。モデルナ製をめぐっては、スペインの提携工場で生産された一部のバイアルに金属片が混入していることが発覚し、約163万回分が自主回収となるトラブルもあった。

 

日本でも昨年12月からブースター接種が始まっているが、一般国民の多くはファイザー/ビオンテック製を希望し、モデルナ製の接種枠はなかなか埋まらなかった。政府はメーカーよりもスピードを重視し、ワクチンの「ミックス・アンド・マッチ(交差接種)」を積極的に推進した。その結果、ブースター接種で使われたワクチンの約42%がモデルナ製となり、ファイザー/ビオンテック製とシェアを分け合う形になっている。

 

日本政府は先週、4回目接種のワクチンはモデルナとファイザー/ビオンテックからほぼ均等に供給されるだろうとの見通しを明らかにした。政府は、ファイザー/ビオンテック製を7500万回分、モデルナ製を7000万回分確保する予定だ。

 

コロナ・インフル混合ワクチンを23年に市場投入

モデルナ日本法人の鈴木蘭美社長は、デルタ株とオミクロン株に対応可能な開発中のワクチンはモデルナが直接、日本での権利を保有しているとロイターに語った。武田は同ワクチンの販売についてはモデルナと協議中だとしている。

 

鈴木氏はさらに、モデルナは新型コロナとインフルエンザの混合ワクチンを2023年に市場投入する予定だと述べた。RSウイルスを含む3種混合ワクチンも開発しているという。

 

モデルナは、オーストラリアでmRNAワクチンを製造し、マレーシア、台湾、シンガポール、香港に拠点を設立することを計画している。日本への進出により、アジアでの存在感は高まっている。モデルナは、韓国サムスン・バイオロジクスともワクチンの製造契約を結んでいる。

 

モデルナ製ワクチンは、ほかのワクチンとの交差接種によって抗体量が大きく上昇することが臨床試験で示されており、ヘルスケアアナリストのXinyao Wang氏は「ブースター接種でファイザーからシェアを奪うチャンスはある」と指摘している。

 

(Rocky Swift、翻訳:AnswersNews)

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