厚生労働省は12月3日、今年9月取引分を対象に行った2021年度の医薬品価格調査の結果、平均乖離率(医療用医薬品の市場実勢価格と薬価の差)が約7.6%(速報値)だったと発表した。調査結果は来年4月に行われる22年度薬価改定の基礎資料となる。
22年度改定に向けては、流通安定のための「調整幅」のあり方が焦点の一つとなっている。調整幅は現在2%に設定されているが、財務省は「合理的な根拠の説明がない」として廃止を含む見直しを要求している。一方、今年4月に行われた改定では、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例として調整幅に0.8%の「一定幅」が上乗せされ、薬価の引き下げが緩和された。22年度改定に向けた議論では、調整幅とともに一定幅のあり方が大きなポイントになる。
21年度の薬価調査は、今年9月に取引された医療用医薬品の価格について、医薬品卸など販売側から11月2日までに報告があったものを集計した。前回(20年度)と前々回(19年度)の平均乖離率は8.0%で、今回はそれらを0.4ポイント下回った。
乖離率を投与形態別に見ると、▽内用薬8.8%▽注射薬5.6%▽外用薬7.9%▽歯科用薬剤マイナス2.4%――。薬効群別では、高脂血症用剤(12.5%)、その他のアレルギー用薬(12.2%)、血圧降下剤(11.9%)、その他の中枢神経系用薬(11.4%)、消化性潰用剤(11.2%)などで乖離率が大きかった(いずれも内用薬)。
後発医薬品の数量シェアは約79.0%。昨年度の調査から0.7ポイント上昇した。