1. Answers>
  2. AnswersNews>
  3. ニュース解説>
  4. パンデミックとの戦いに弾み…経口抗ウイルス薬モルヌピラビル 英国で世界初承認
ニュース解説

パンデミックとの戦いに弾み…経口抗ウイルス薬モルヌピラビル 英国で世界初承認

更新日

ロイター通信

メルクとリッジバック・バイオセラピューティクスが共同開発した新型コロナ向け経口抗ウイルス薬モルヌピラビル(メルク提供)

 

[ロイター]英国は11月4日、米メルクと同リッジバック・バイオセラピューティクスが共同開発した新型コロナウイルスに対する経口抗ウイルス薬を世界で初めて承認し、パンデミックとの戦いに弾みをつけた。

 

英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は、新型コロナ向け経口抗ウイルス薬モルヌピラビルについて、肥満、高齢、糖尿病、心臓病といった重症化のリスク因子を持つ軽症から中等症の患者への使用を推奨した。MHRAは、陽性判明後できるだけ早く、発症から5日以内に投与を開始するとしている。

 

米国ではEUA申請

新型コロナに対する経口抗ウイルス薬の承認は世界初で、米国での緊急使用許可(EUA)に先駆けてのものとなった。米国では今月、FDA(食品医薬品局)の諮問委員会がEUAを推奨するかどうか投票を行う予定だ。

 

世界で520万人以上が死亡したパンデミックへの対応は、これまで主にワクチンに焦点が当てられてきた。米ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬レムデシビルや、ステロイド薬のデキサメタゾンは、一般的に入院患者に投与される。

 

メルクのモルヌピラビルは先月、重症化リスクがある患者に対し、発症初期に投与することで死亡や入院のリスクを半減させることができるとのデータが発表されて以来、注目を集めている。

 

モルヌピラビルの英国での販売名は「Lagevrio」。コロナウイルスがRNAを複製する際にエラーを起こさせることでウイルスの複製を阻害する作用を持ち、1日2回5日間投与する。

 

イングランドの国民保健サービス(NHS)でナショナル・メディカル・ディレクターを務めるスティーブン・パウイス教授は、英国が厳しい冬を迎える中、モルヌピラビルは合併症のリスクが高い患者に投与されるとしている。入院や死亡の減少に対し、臨床的にもコスト的にも有効であることが示されれば、同薬はさらに広い範囲で使用されることになるだろう。

 

英国のワクチン担当大臣であるマギー・スループ氏は議会で、「私たちは現在、政府とNHSの垣根を越え、この治療法を迅速に患者に提供するために取り組んでいる。全国規模の研究により、ほとんどの人がワクチン接種を受けた集団で抗ウイルス薬がどのように機能するか、多くのデータを収集することができる」と述べた。

 

感染抑制に苦慮

モルヌピラビルをいち早く承認した英国は、欧米諸国で初めて新型コロナウイルスワクチンを承認した国でもあり、今回の承認は、急増する感染の抑制に苦慮する中での出来事となった。

 

最新の7日間の平均値によれば、英国では1日あたり約4万人の新規感染者が発生している。これは、人口が5倍の米国(1日あたり約7万4000人)に次ぐ数字であり、対策を大きく緩和した政府への批判は高まっている。11月3日夜に公表されたデータによると、イングランドの有病率は先月、過去最高の水準に達した。子どもの間で感染が広がり、南西部で患者が急増していることが原因だ。

 

政府は、マスク着用、ワクチンパス、在宅勤務など、急増する医療需要から保健サービスを守るための対策を行うよう国民に求めている。

 

MHRAのジューン・レイン長官は「品質、安全性、有効性に妥協することなく、MHRAはモルヌピラビルに関するデータを徹底的に評価しており、国民はそれを信頼することができる」との声明を発表した。英国政府は先月、メルクとの間で48万人分のモルヌピラビルを確保する契約に合意した。

 

開発レース

メルクは、年末までに1000万人分のモルヌピラビルを製造し、来年には少なくとも2000万人分を製造する予定だと発表している。

 

米ファイザーとスイス・ロシュは、モルヌピラビルに続く経口抗ウイルス薬の開発で競っている。ファイザーは先月、感染者の発症予防を目的とした大規模な臨床試験を開始した。メルクも、モルヌピラビルの感染予防効果を検証する後期試験を行っている。

 

メルクは、これまでに行われたウイルスゲノム配列の解析により、モルヌピラビルはコロナウイルスのすべての変異株に有効で、感染力の強いデルタ株にも効果を発揮するとしている。

 

メルクが英国にいつモルヌピラビルを供給するかは、まだ明らかになっていない。同社は各国の支払い能力に応じた段階的な価格設定を行い、全世界にタイムリーに提供すると約束している。メルクは供給体制を整えるため、ジェネリック医薬品メーカーと製造ライセンスの拡大について協議している。

 

(Pushkala Aripaka、翻訳:AnswersNews)

あわせて読みたい

メールでニュースを受け取る

  • 新着記事が届く
  • 業界ニュースがコンパクトにわかる

オススメの記事

人気記事

メールでニュースを受け取る

メールでニュースを受け取る

  • 新着記事が届く
  • 業界ニュースがコンパクトにわかる