製薬業界 きょうのニュースまとめ読み（2021年7月26日）

塩野義　新型コロナ向け抗ウイルス薬のP1試験開始

塩野義製薬は7月26日、新型コロナウイルスに対する経口抗ウイルス薬「S-217622」（開発コード）の臨床第1相（P1）試験を国内で開始したと発表した。同薬は塩野義が創製した3CLプロテアーゼ阻害薬。新型コロナウイルスの増殖を防ぎ、感染初期に投与することで体内のウイルス量を低下させると期待される。P1試験では、健康成人男性75人を対象に同薬を投与し、体内動態と安全性、忍容性を確認する。

中外、藤枝工場に中分子の合成原薬製造棟を新設

中外製薬は7月26日、生産子会社・中外製薬工業の藤枝工場（静岡県藤枝市）内に、低・中分子医薬品の合成原薬製造棟を建設すると発表した。同社はすでに2022年の完成を目指して合成原薬製造棟の建設を進めているが、新たに建設する製造棟は後期臨床試験用の原薬製造から初期の商用生産に対応する。総投資額は555億円で、来年3月に着工し、24年10月に完成する予定。既存の合成原薬製造棟と建設中の2棟をあわせ、初期臨床開発から初期商用生産までを一貫して行う。

モデルナ製新型コロナワクチン、12歳以上に接種対象拡大

武田薬品工業は7月26日、日本での供給を担っている米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンについて、接種対象年齢を12歳以上に拡大する添付文書の改訂を行ったと発表した。従来は18歳以上が対象だった。改訂は、モデルナが12～17歳の3732人を対象に行った米国P2/3試験に基づく。同試験では、12～17歳でも、若年成人（18～25歳）と同等の発症予防効果が確認された。

富士通　SaaS型治験ソリューションの提供を開始

富士通は7月26日、製薬・医療機器メーカー向けのSaaS型治験ソリューション「FUJITSU ライフサイエンスソリューション tsClinical DDworks NX」の提供を始めたと発表した。同ソリューションでは、これまで紙媒体が使われていた治験文書をデジタル化するとともに、先行して販売している医療機関向けSaaSサービスと連携して治験業務を効率化。英語での治験文書作成や、国際共同治験での情報連携も支援する。富士通は今年度中に20社への導入を予定している。

「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用、進行性子宮内膜がんで米国正式承認

エーザイと米メルクは7月22日、抗がん剤「レンビマ」（一般名・レンバチニブメシル酸塩）と免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」（ペムブロリズマブ）の併用療法について、「高頻度マイクロサテライト不安定性（MSI-High）やミスマッチ修復機構欠損（dMMR）のない進行性子宮内膜がん」の適応で米FDA（食品医薬品局）から正式承認を取得したと発表した。対象は、治療ラインに関わらず全身療法後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応な患者。2019年に迅速承認を取得していたが、化学療法と比べて全生存期間を延長し、死亡リスクを32％低下させたP3試験の結果に基づき、正式承認された。

アンジェスのコロナ向けDNAワクチン、高用量製剤での臨床試験を開始

アンジェスは7月26日、開発中の新型コロナウイルス向けDNAワクチンについて、新たに高用量製剤を使った臨床試験を行うと発表した。プラセボを使用しない実薬のみの非盲検試験で、目標症例数は400。筋肉内注射と皮内注射で、それぞれ2週間隔で3回または4週間隔で2回の接種を行い、安全性と免疫原性を評価する。すでに行ったP1/2試験とP2/3試験の結果は、今秋に発表する予定という。

決算

中外製薬（2021年1～6月期、7月26日発表）

売上収益3902億2900万円（前年同期比6.0%増）、営業利益1606億7900万円（14.3％増）。製商品売上高は、国内の薬価改定や後発医薬品浸透の影響で前年同期比0.5%減の3041億円となったものの、血友病治療薬「ヘムライブラ」に関するロイヤリティおよびプロフィットシェア収入が大幅に拡大し、全体としては増収増益だった。21年12月期の通期予想（売上収益8000億円、コア営業利益3200億円）は据え置いた。