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コロナ禍の米国で進むフォーミュラリーからの新薬除外|DRG海外レポート

更新日

米国に本社を置くコンサルティング企業DRGのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。米国では、コロナ禍の中、薬剤給付管理会社がフォーミュラリーから新薬を除外し、それによってコストの削減を進めようとしています。

 

(この記事は、DRGのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

コスト削減を推進

不足が懸念された後発医薬品から、新型コロナウイルス感染症に対する新規の薬剤にいたるまで、今回のパンデミックが薬剤給付に大きな影響を与えていることは疑いようがない。ペイヤーは、フォーミュラリーからの除外という戦略によって、大幅なコスト削減と薬剤へのアクセスの提供を図り、感染拡大による経済的影響を改善しようと努力している。

 

大手薬剤給付管理会社であるエクスプレス・スクリプツ、CVSケアマーク、オプタムRxは今年、米国最大のフォーミュラリーから多くの新薬を除外した。

 

エクスプレス・スクリプツ

エクスプレス・スクリプツは、自社の「ナショナル・プリファード・フォーミュラリー」から、新たに70の新薬を除外した。これで同社は、3977薬剤のうち累計422薬剤を除外したことになる。除外された薬剤には、スペシャリティ医薬品が14ほど含まれており、11の薬剤は「推奨」から「非推奨」へと引き下げられている。

 

糖尿病は医療費増大の主な要因だが、2型糖尿病治療薬の使用は減っている。DPP4阻害薬では「ジャヌビア」とその配合剤のみが収載され、「トラゼンタ」は除外されている。

 

 

エクスプレス・スクリプツは、自己免疫疾患治療薬、がん治療薬、脂質低下薬といったスペシャリティ領域でも薬剤の除外を行っている。がん領域では、アストラゼネカのBTK阻害薬「カルケンス」を除外し、アッヴィとジョンソン・エンド・ジョンソンが販売する競合薬「イムブルビカ」に差し替えた。この領域で除外された70薬剤のうち53薬剤では、かわりに安価な後発品を推奨薬として追加し、「ニューラスタ」はバイオシミラーに差し替えられた。

 

自己免疫疾患治療薬では、かつて「Tier2」に位置付けられていたノバルティスの乾癬治療薬「コセンティクス」を外し、昨年は削除リストに入れられていたイーライリリーの「トルツ」に切り替えた。脂質低下薬では、サノフィの「プラルエント」をアムジェンの「レパーサ」に差し替えている。注目すべきは、CVSケアマークは「プラルエント」をフォーミュラリーに収載し、「レパーサ」を除外していることだ。両社の選択は対照的だが、いずれも収載品を1つに絞っている。結果として、高コレステロール血症治療薬であるPCSK9阻害薬の小売り価格は、年間1万4000ドルから同3000ドルへと大幅に引き下げられた。

 

CVSケアマーク

CVSケアマークが今年、標準フォーミュラリーから除外した薬剤は57剤。昨年は100剤を除外している。同社によると、除外によって何らかの変更を受ける加入者は、全体の0.4%だという。同社は、先端巨大症、がん、消化器疾患、眼疾患、パーキンソン病、心血管疾患といったカテゴリで薬剤の除外を行っている。

 

 

がん治療薬では、「ボルデゾミブ」と「カイプロリス」を除外し、かわりに「ニンラーロ」と「ベルケイド」を収載した。「ニューラスタ」も除外したが、そのバイオシミラーは収載することにしている。

 

先端巨大症治療薬では、「サンドスタチンLARデポ」「シグニフォーLAR」「ソマバート」を除外した一方、「ソマチュリンデポ」は「推奨」に位置付けた。今年除外された3剤のうち、「ソマバート」は昨年、「Tier2」という有利なポジションにあった。

 

その一方で同社は、抗けいれん薬、糖尿病治療薬、成長ホルモン、眼疾患治療薬、変形性関節症治療薬といったカテゴリで、6つの薬剤をフォーミュラリーに戻している。昨年収載されていなかった抗けいれん薬「ラミクタール」や成長ホルモン製剤「ノルディトロピン」がその例だ。

 

 

糖尿病テストストリップカテゴリの変更で、今年は10%を超えるコスト削減が見込まれる。CVSは、かつて「Tier2」のポジションにあった「ACCU-CHEK」を除外し、新たに「Onetouch」を「推奨」として追加した。

 

今後の影響は

主要なPBMがフォーミュラリーから除外する薬剤の数は、以前に比べて増えている。このため、削除対象になることが最も多い慢性疾患の領域では、患者の薬剤へのアクセスや服薬のアドヒアランスに懸念が高まるかもしれない。たとえば、こうしたPBMはがんなどのスペシャリティ領域で注目すべき除外を行っている。市場にバイオシミラーが増えれば、各社がブランド薬のかわりに収載し、コスト削減が進む可能性がある。

 

エクスプレス・スクリプツは乾癬治療薬「コセンティクス」を「トルツ」に切り替えたが、年次の見直しで価格の安い薬剤に差し替えられたのは、抗体医薬の市場ではこれが初めてだった。このため、皮膚領域を中心に、免疫疾患治療薬の市場では、今後も価格への強い風当たりが続くと考えられる。

 

新型コロナウイルスで医療界の再編が進む中、薬剤不足が生じれば今よりも頻繁にフォーミュラリーの見直しが必要になる可能性がある。除外によって薬剤の利用のしやすさにどのような影響が及ぶのか、予測するのは難しい。

 

(原文公開日:2021年2月9日)

 

(この記事は、DRGのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです)

 

【記事に関する問い合わせ先】
DRG(クラリベイト・ジャパン・アナリティクス株式会社)
野地(アカウントマネージャー)
E-mail:Hayato.noji@clarivate.com

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