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ウォルマート、医療保険のメインストリームに挑む|DRG海外レポート

米国に本社を置くコンサルティング企業DRGのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。 米小売り大手のウォルマートは今年、医療保険事業に参入する予定で、注目を集めています。

 

(この記事は、DRGのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

メディケアプランを発売

ウォルマートは昨年10月、傘下の保険代理店「ウォルマート・インシュアランス・サービス」が▽メディケアアドバンテージ▽メディケアサプリメンタル▽パートD――の各保険プランを2021年に発売すると発表した。クローバー・ヘルスと提携し、ジョージア州の8郡で「リブヘルシー」というブランドを展開する計画だ。

 

ウォルマートが提供する2つの保険プランは、パートDの免責金額の自己負担がなく、同社が購入するOTC医薬品の代金を四半期ごとに100ドルまでカバーし、歯科治療への給付や補聴器の割引も提供する。この保険プランのネットワークは広いが、ネットワーク外のサービスを利用しても加入者は追加料金を求められることはない。

 

 

ベビーブーム世代は2030年までに全員が65歳を迎え、保険加入者数もピークに達する。メディケアへの参入は、ウォルマートにとって安全な賭けだ。既存の多くの保険会社は加入のピークに向けて態勢を整えており、ウォルマートは収益性の高い領域で足場を築こうとしている。メディケアはコロナ禍でもほとんど加入者数に変動がない。ウォルマートがメディケアプランを先行販売するジョージア州には、6つの「ウォルマート・ヘルスセンター」があり、同社はリテールケアの拡充を計画している。さらに同社は、多くの医療提供者と連携し、優先医療給付機構(PPO)プランの広いネットワークを構築している。

 

加入者を大きく増やしているスタートアップ企業クローバー・ヘルスとの提携も、ウォルマートのビジョンとマッチする。クローバー・ヘルスは米国の8州でかなり大きな存在感を示しており、ウォルマートは十分な足がかりを得られるはずだ。ウォルマートは提携により、自社展開するクリニックでクローバー・ヘルスの患者モニタリング技術を活用できる。クローバー・ヘルスのPPOネットワークには多くの医療提供者が所属しており、自己負担額を大きく抑えることも可能だ。

 

多角化で攻勢

オーク・ストリート・ヘルス(60のプライマリケアセンターで構成されるネットワーク)との提携、ウォルマート・ヘルスセンターの拡大、プライマリケア・クリニックの設立は、医療領域へのさらなる進出を目指すウォルマートの基本方針を示している。

 

今年ウォルマートがメディケアプランを発売すれば、ジョージア州の高齢者はウォルマートのヘルスセンターを利用することができるようになる。これとよく似ているのが、カンザスシティで展開しているエトナの「コネクテッド・プラン」で、CVSのミニッツクリニックとヘルスハブを無料で利用できるというものだ。ウォルマートはかつて、アンセムのメディケアプランを取り扱ったこともあり、発売予定の「リブヘルシー・プラン」でも同様の給付を行うことを決めている。

 

 

保険者やPBM(薬剤給付管理会社)といった医療ステークホルダーが、合併や統合によって限界を押し広げているのに対し、ウォルマートは多角化を通じて独自の道を開きつつあるようだ。それは、ほとんど前例のない道のように見えるかもしれないが、CVSが今や大手保険会社を所有する小売り薬局の巨人となったことを忘れてはならない。遅まきながら、ウォルマートは小売り薬局という基盤の上にリテールケアサービスを発展させ、民間医療保険にもチャレンジしようとしている。

 

クローバー・ヘルスとウォルマートが進出しようとしている領域には、実績のある保険者がすでに存在しており、高齢者にプランを乗り換えてもらうには、独自の保険プランを提供する必要がある。ウォルマートはジョージア州でメディケアプランを先行販売するが、今後の展開と成功の度合いは、いかにして自社の小売り薬局と医療サービスネットワークからベネフィットを引き出せるかにかかっている。ダラス、ジャクソンビル、シカゴは、ウォルマートの事業の足場となる豊かな市場として発展する可能性がある。

 

(原文公開日:2021年1月29日)

 

(この記事は、DRGのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです)

 

【記事に関する問い合わせ先】
DRG(クラリベイト・ジャパン・アナリティクス株式会社)
野地(アカウントマネージャー)
E-mail:Hayato.noji@clarivate.com

 

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