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新規免疫チェックポイント阻害薬 市場参入を成功させるための9つの重要ポイント|DRG海外レポート

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米国に本社を置くコンサルタント会社Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。今回は、新規の免疫チェックポイント阻害薬の開発が進む中、市場参入を成功させるための9つのポイントを紹介します。

 

(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

抗PD-1/PD-L1抗体に続く免疫チェックポイント阻害薬

最高の免疫チェックポイント阻害薬(または刺激薬)として抗PD-1/PD-L1抗体に続く薬を発見しようという競争がすでに始まっている。多くの臨床試験が動き出しており、単剤またはPD-1/PD-L1製剤との併用で評価が行われている。

 

薬の数が増えると同時に、それらの市場投入を目指す製薬企業も、より困難な課題に直面することになる。注目された後期段階の試験が相次いで失敗したことで、新薬に対する医師らの懐疑は募る一方だ。

 

市場で最大のシェアを獲得するには、最高の臨床プロファイルをもって市場に一番乗りする必要があるのは明らかだ。承認取得の可能性を高めるには、対照群が適切で、被験者も多く、しっかりとデザインされた臨床試験で有効性を示さなければならない。

 

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不安定な市場で戦略を策定するにあたり重要となる9つのポイントを紹介したい。

 

治療パラダイムの変化は続く

現在開発中の新規免疫チェックポイント薬はおびただしい数に上り、さまざまながんの治療パラダイムに劇的な変化をもたらす可能性を秘めている。

 

価格の高さはネックに

免疫チェックポイント阻害薬は薬価が高く、製薬企業の収益源となっている。一方、価格はシェア獲得と保険償還の重要な決定要因であり、特に、高額な薬剤同士の併用療法は大きな影響を受ける。

 

単剤療法は苦戦を強いられる

すでに承認されている免疫チェックポイント阻害薬は併用療法が主流になりつつあり、単剤で使われる新規免疫チェックポイント阻害薬は苦戦するかもしれない。

 

承認獲得はより困難に

この領域で開発が進む薬が増えるにつれ、ベストプラクティスも標準治療も急速に変化している。これが、当局からの承認獲得をますます困難にしている。

 

治験デザインが極めて重要に

承認取得と医師からの支持を確実なものにするには、臨床第2相(P2)試験のロバストなデータがあり、それを大規模なP3試験で裏付けることが必要だ。それは、既存薬がある適応症でとりわけ重要になる。P2試験のデータが有望でも、注目のP3試験がいくつか失敗している。P2試験から迅速審査を受ける薬は限られてくるだろう。

 

ワクチン イメージ

 

OSの改善を証明することが必要

伝統的に一部の臨床試験ではPFS(無増悪生存期間)が代替エンドポイントとして許容されてきたが、医師のアップテイクを確保するには、OS(全生存期間)の改善を証明しなければならないだろう。

 

対照薬の選択がカギ

こうした臨床試験では、対照薬を適切に選択することが、保険者に受け入れられるかどうかの重要なポイントになる。新薬と標準治療の直接比較データは必須だ。

 

サブポピュレーションを明確にすることでシェアを拡大

隙間市場、すなわちサブポピュレーションが明確化されれば、新薬のシェアを最大化できるだろう。治療決定の指針となるコンパニオン診断薬やバイオマーカーは、新薬使用の追い風となる。

 

併用戦略がブレークスルーにつながる

既存薬もしくは標準治療のいずれかを併用する戦略は、競合の激しい市場に参入する道を開くだろう。有効性と安全性の差が無視できる程度なら、併用療法が医師のアップテイクにつながる可能性がある。

 

(原文公開日:2019年1月30日)

 

【AnswersNews編集長の目】

日本では 「オプジーボ」「キイトルーダ」「バベンチオ」「テセントリク」「イミフィンジ」「ヤーボイ」の6製品が販売されている免疫チェックポイント阻害薬。すでに「その次」を見据えた開発競争は始まっており、米国では昨年、仏サノフィの抗PD-L1抗体「Libtayo」(一般名・cemiplimab)が承認に至りました。

 

抗PD-1/抗PD-L1抗体に続く免疫チェックポイント阻害薬として開発されているのは、抗LAG3抗体や抗TIGIT抗体、抗体TIM-3抗体など。

 

米ブリストル・マイヤーズスクイブは、抗LAG3抗体「BMS-986016」の臨床第3相(P3)試験を行っているほか、抗TIGIT抗体「BMS-986207」や抗TIM-3抗体「BMS-986258」(いずれもP1試験段階)を開発中。日本では提携する小野薬品工業が開発を行っており、抗LAG抗体(小野の開発番号はONO-4482)は悪性黒色腫でP1/2試験、抗TIGIT抗体(ONO-4686)と抗TIM-3抗体(ONO-7807)は固形がんでP1/2試験を行っています。

 

米メルクも抗LAG抗体と抗TIGIT抗体がパイプラインの初期段階に控えるほか、アステラス製薬は米Potenza Therapeuticsと共同で抗TIGIT抗体「ASP8374/PTZ-201」を開発。P1試験を行っていましたが、アステラスは昨年12月にPotenzaを買収しました。

 

記事にもある通り、日々新たなエビデンスが生まれ、治療パラダイムが大きく変化する領域だけに、既存薬の開発動向もにらみながら、臨床試験を進めていくことが求められそうです。

 

この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。

 

【記事に関する問い合わせ先】
ディシジョン・リソーシズ・グループ日本支店
斎藤(カスタマー・エクスペリエンス・マネージャー)
E-mail:ssaito@teamdrg.com
Tel:03-5401-2615(代表)

 

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AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

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