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イグザレルト 末梢動脈疾患への適応拡大でポジションはより強固に|DRG海外レポート

米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。今回取り上げるのは、市場拡大が続くDOAC(直接作用型経口抗凝固薬)。トップシェアのXarelto(日本製品名・イグザレルト)が欧州で末梢動脈疾患の適応を取得しました。同薬は、そのポジションをより強固なものにすることになりそうです。

 

(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

欧州でPADへの適応拡大が承認

末梢動脈疾患(PAD)は、しばしばみられるアテローム性動脈硬化の一形態である。薬物によるPADの管理には、抗血栓薬、スタチン、降圧剤、血管作用薬などさまざまな薬剤が使われている。欧州心臓学会(ESC)の現行のガイドラインでは、症候性PAD患者に対する治療として、抗血小板薬単剤もしくは2剤併用+アセチルサリチル酸(ASA)や、クロピドグレルが推奨されている。

 

こうした中、欧州委員会は今年8月24日、抗凝固薬「Xarelto」(日本製品名・イグザレルト)を症候性PADと虚血性イベントリスクの高い冠動脈疾患(CAD)の適応で承認。PAD管理に新時代が到来した。

 

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承認の根拠となったCOMPASS試験の結果

承認の根拠となったのは、PAD/CAD患者を対象に行われたCOMPASS試験(Cardiovascular OutcoMes for People Using Anticoagulation StrategieS)の肯定的な結果だ。

 

この試験は、PAD/CAD患者を対象とした極めて大規模な試験の1つで、登録症例は2万7000例以上。そのデザインは、▽Xarelto2.5mg1日2回+ASA▽Xarelto5mg1日2回▽ASA100mg――という3つのレジメンを評価するものだ。

 

結果は、Xarelto2.5mg1日2回+ASAの併用療法は、ASA単独に比べて、心血管死、脳卒中、心筋梗塞という主要複合エンドポイントを有意に抑制。全死因死亡率も、Xarelto+ASA群の方がASA単独群より低かった。大出血イベントについては予想通り、Xarelto+ASA群の方がASA単独群より高い。Xarelto単独群は、ASA単独群に比べてnet clinical benefit(有益性からリスクを差し引いた臨床的有用性)が小さく、大出血イベントのリスクを増大させた。

 

COMPASS試験は、併用群の有効性が高く、主要エンドポイントの結果が明らかとなったため、予定を1年前倒しして終了(有効中止)している。

 

エドキサバンやチカグレロルは失敗

こうした臨床的見地から考えると、抗凝固薬と抗血小板薬の併用は、PDA患者の管理にとって魅力的な治療アプローチとなる。

 

血栓性合併症は、PAD患者の予後を低下させる重要な要因だ。疾患の複雑さゆえ、これまでPAD患者に臨床的なベネフィットをもたらすことに成功した薬剤は少ない。

 

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ビタミンK拮抗薬+抗血小板薬の併用は抗血小板薬単独投与を有効性で上回ることはできなかったし、第一三共のエドキサバンもASAとの併用でクロピドグレル+ASAに比べて有意なベネフットを示せなかった(ePAD試験)。アストラゼネカのチカグレロルもクロピドグレルとの比較で主要エンドポイントを達成できなかった(EUCLID試験)。

 

特にチカグレロルは新たなPAD治療薬の最有力候補の1つと目されており、その失敗はPAD市場に大きなショックを与えた。こうした過去の失敗から、XareltoのCOMPASS試験にも懐疑的な見方が少なくなかったが、フタを明けてみると良い意味でのサプライズとなった。抗血小板薬と低用量のXareltoを併用したことが、COMPASS試験の成功の要因になったと考えられる。

 

XareltoはPAD市場で大きなシェアを獲得

直接競合する抗凝固薬がないため、XareltoはPAD市場で大きなシェアを獲得することになるだろう。Xareltoはさらに、末梢血管再建術を予定する症候性PAD患者を対象としたP3試験VOYAGER-PAD試験も進行中で、これにも大きな期待がかかっている。

 

VOYAGER-PAD試験は高リスクのPAD患者を対象とした試験の1つとみなされている。同試験で肯定的な結果が出れば、PAD市場でのXareltoの全体的なイメージを上げ、そのポテンシャルを裏付けることになると期待される。抗凝固薬の分野でXareltoが確固たるポジションを確立していることも、PAD分野での同薬の成功に寄与するだろう。

 

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Xareltoはライフサイクルマネジメントにおいて極めて重要な2つの試験(重症内科疾患患者に対する抗凝固療法を検討したMARINER試験と、心不全患者を対象としたCOMMANDER-HF試験)に失敗している。

 

今回のPADでの承認は、バイエルとヤンセンがXareltoのさらなる拡大を目指す上で重要な役割を果たすことになるだろう。PADの適応では米国でも承認が見込まれている。Xareltoのポジションはより強固なものとなり、抗凝固薬の分野でトップを維持するのにも役立つだろう。

 

(原文公開日:2018年9月7日)

 

【AnswersNews編集長の目】

「イグザレルト」「エリキュース」「リクシアナ」「プラザキサ」の4剤が競合し、市場拡大が続くDOAC。IQVIAの国内市場統計によると、抗血栓症薬(抗血小板薬なども含む)は2017年に4378億5200万円(前年比2.4%増)に達し、イグザレルトは11.5%増、エリキュースは18.8%増、リクシアナは88.1%増と売上高は大幅に増加しました。

 

2018年の第2四半期(4~6月)には、リクシアナがエリキュースを抜いて売り上げシェアで2位に浮上。同四半期の売上高はイグザレルト192億円(7.4%増)に対してリクシアナが172億円(70.0%増)と、差が詰まってきています。

 

国内で承認されている適応を見てみると、「非弁膜症性心房細動(AF)における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制」の適応は4剤すべてが持っている一方、「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症)の治療および再発抑制」はプラザキサを除く3剤が承認を取得。リクシアナはこれらに加え、「下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」の適応を持ちます。

 

今回の記事で紹介した末梢動脈疾患への適応拡大については、日本は現在臨床第3相試験の段階にあります。一方、リクシアナは80歳以上の超高齢AF患者を対象とした新規用法・用量の開発を行っています。

 

この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。

 

【記事に関する問い合わせ先】
ディシジョン・リソーシズ・グループ(担当:斎藤)
E-mail:ssaito@teamdrg.com
Tell:03-5401-2615

 

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