厚生労働省は3月27日、世界に先駆けて日本で承認申請を目指す革新的な新薬や医療機器を承認審査で優遇する「先駆け審査指定制度」の対象に、新たに11品目を追加したと発表した。このうち医薬品は6品目で、第一三共の抗体薬物複合体Trastuzumab deruxtecan (開発コードDS-8201)などが含まれている。
今回新たに指定を受けた医薬品は、
▽協和発酵キリンの「ART402」(糖尿病性腎臓病、P3試験計画中)
▽JCRファーマの「JR-141」(ムコ多糖症II型、P2/3試験計画中)
▽ファイザーの「タファミジスメグルミン」(トランスサイレチン型心アミロイドーシス、P3試験実施中)
▽メルクセローノの「MSC2156119J」(METエクソン14スキッピング変異を有する進行非小細胞肺がん、P2試験実施中)
▽第一三共の「Trastuzumab deruxtecan」(がん化学療法後に増悪したHER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん、P2試験実施中)
▽Ignytaの「Entrectinib」(NTRK融合遺伝子陽性の局所進行または遠隔転移を有する成人および小児の固形がん、P2試験実施中)
の6品目。これで、医薬品の先駆け審査指定制度対象品目は16品目となった。
先駆け審査指定制度は、世界に先駆けて日本で承認申請を目指す革新的新薬などを、薬事申請に関する事前の相談や承認審査で優先的に扱う制度。厚労省は通常12カ月かかる審査を、同制度の対象品目は半分の6カ月に短縮することを目指している。
これまで同制度の指定を受けた医薬品16品目のうち、塩野義製薬の抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ」(バロキサビル マルボキシル)と、ノーベルファーマの結節性硬化症に伴う血管線維腫治療薬「ラパリムスゲル」(シロリムス)が承認を取得。ゾフルーザは昨年10月に申請され、4カ月後の今年2月に承認を取得。3月に緊急薬価収載され、すでに販売が始まっている。