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ニュース解説

【UPDATE】バイオシミラー 最新の国内開発状況まとめ―新薬大手も続々参入

政府が2020年度末までに成分数で倍増させることを目標に掲げるバイオシミラー。国内売上高が数百億円に及ぶ大型バイオ医薬品の特許切れがはじまり、開発競争も激しさを増しています。最新の開発動向を整理しました。

 

【がん】トラスツズマブは4製品、リツキシマブとベバシズマブは2製品が販売

国内で開発・販売中のバイオシミラー1(がん)

 

抗がん剤で現在、バイオシミラーが開発・販売されているのは、▽抗CD20抗体リツキシマブ(先行品名・リツキサン)▽抗HER2抗体トラスツズマブ(ハーセプチン)▽抗VEGF抗体ベバシズマブ(アバスチン)――の3種類です。

 

リツキシマブ(リツキサン)

リツキシマブは協和キリン(製造販売承認はサンド)とファイザーが販売しています。協和キリンの製品は2017年9月にサンドが承認を取得し、販売提携を結ぶ協和キリンが18年1月に発売。発売初年度となった18年12月期の売上高は43億円と想定を上回る売れ行きで、19年12月期は95%増となる84億円の売上を見込んでいます。ファイザの製品は19年9月に承認され、20年1月に販売を開始しました。日本化薬も開発を進めており、現在、臨床第3相(P3)試験を行っています。

 

トラスツズマブ(ハーセプチン)

トラスツズマブは、18年8月に日本化薬とセルトリオンが発売。18年9月には、米アムジェンと提携する第一三共とファイザーが承認を取得し、第一三共が18年11月、ファイザーが19年8月に発売しました。このほか、MeijiSeikaファルマがP1試験を行っています。

 

日医工も開発を進めていましたが、20年1月に開発を中止すると発表しました。すでに4つの製品が販売されている中、「今後の市場環境などを精査・検討した結果」(同社)だといいます。開発データは提携先の韓国・エイプロジェンに譲渡され、同社が承認取得に向けて開発を進めていく予定です。

 

ベバシズマブ(アバスチン)

ベバシズマブは、ファイザーが19年6月に、第一三共が同年9月に承認を取得し、いずれも同年12月に発売されました。日医工はスペインのマブサイエンスと日本での独占販売に合意しており、20年9月に申請を予定しています。

 

G-CSF製剤(フィルグラスチム・ペグフィルグラスチム)

がん化学療法による好中球減少症などに使われるG-CSF製剤フィルグラスチム(グラン)では、13年5月から14年11月にかけて5社が相次いで販売を開始しました。

 

フィルグラスチムをペグ化して作用時間を長くしたペグフィルグラスチム(ジーラスタ)は、ジーンテクノサイエンスが前臨床段階で開発を進めています。ジーンテクノサイエンスは富士製薬と持田製薬にフィルグラスチムをライセンスアウトしており、ペグフィルグラスチムはグローバル製薬企業と組んで海外展開を目指します。

 

【リウマチ】エタネルセプト 3品目が販売、アダリムマブも開発進む

国内で開発・販売中のバイオシミラー2(リウマチ)

 

がん領域とともにバイオ医薬品が多く使われている関節リウマチの領域では、抗TNFα抗体インフリキシマブ(レミケード)や同アダリムマブ(ヒュミラ)、TNFα阻害薬エタネルセプト(エンブレル)がターゲットとなっています。

 

インフリキシマブ(レミケード)

インフリキシマブは、日本化薬が国内初の抗体医薬のバイオシミラーとして14年11月に発売。17年9月に承認された日医工の製品は、リウマチ領域に特化するあゆみ製薬との2ルートで17年11月に発売されました。インフリキシマブは潰瘍性大腸炎やクローン病の適応も持っており、日医工は自社販売分について潰瘍性大腸炎治療薬「アサコール」を持つゼリア新薬工業と共同でプロモーションを行っています。

 

14年に承認されたセルトリオン・ジャパンの製品は、販売体制が整っていないことを理由に発売が先送りされていましたが、17年12月に販売を開始。18年12月にはファイザーの製品も発売されました。

 

エタネルセプト(エンブレル)

先行品が年間400億円余りを売り上げるエタネルセプトは、持田製薬が18年1月に承認を取得し、5月に提携先のあゆみ製薬から発売されました。これに続いて協和薬品工業とYLバイオロジクスが19年3月に承認を取得。YLバイオロジクスの製品は販売提携を結ぶ陽進堂と帝人ファーマが同年10月に発売、共和の製品はライセンス契約を結ぶ日医工の屋号で同年11月に発売されました。

 

アダリムマブ(ヒュミラ)

エタネルセプトで1番乗りを果たした持田は、抗TNFα抗体アダリムマブも開発中。持田は18年4~6月期決算発表からバイオシミラーの開発段階を非開示としていますが、18年3月期決算発表時点ではP3試験段階にあることを公表していました。

 

持田以外では、第一三共がアムジェンとの提携にアダリムマブを含めているほか、ジーンテクノサイエンスが前臨床段階で開発を実施中。ファイザーも臨床試験を行っているとみられます。

 

【腎性貧血】ネスプAG 、追うバイオシミラーは3品目発売

国内で開発・販売中のバイオシミラー3(腎性貧血)

 

抗がん剤や関節リウマチ治療薬とともに開発が活発なのが、腎性貧血治療薬ダルベポエチンアルファ(ネスプ)です。

 

先行品を販売する協和キリンは18年8月、子会社・協和キリンフロンティアを通じてオーソライズド・ジェネリック(AG)の承認を取得。バイオシミラーではなく後発医薬品として承認されましたが、薬価は通常のバイオシミラーと同じ「先行品の70%」で算定され、19年8月に発売されました。

 

AGに続くのは、JCRファーマと三和化学研究所、マイランEPDの3品目で、それぞれ19年9月に承認を取得。JCRと三和化学の製品は同年11月に、マイランの製品は同年12月に発売されました(JCRの製品は提携先のキッセイ薬品工業が販売)。

 

【インスリン】サノフィのインスリンリスプロが承認間近

国内で開発・販売中のバイオシミラー4(インスリン)

 

インスリン製剤では、持効型のインスリングラルギン(ランタス)を日本イーライリリーと富士フイルム富山化学の2社が販売。サノフィは超速効型のインスリンリスプロ(ヒューマログ)を申請しており、近く承認される見通しです。サノフィはこのほか、同じ超速効型のインスリンアスパルト(ノボラピッド)も開発しています。

 

【その他】持田のテリパラチドが発売、ラニビズマブもP3に

国内で開発・販売中のバイオシミラー5(その他)

そのほかの領域では、18年の売上高が493億円(薬価ベース)に上る骨粗鬆症治療薬テリパラチド(フォルテオ)の承認を19年9月に持田製薬が取得。11月に薬価収載され、収載と同時に発売しました。JCRファーマのファブリー病治療薬アガルシダーゼベータ(ファブラザイム)は18年9月に承認を取得し、11月に発売されました。ジーンテクノサイエンスは前臨床段階でRSウイルス感染症治療薬パリビズマブ(シナジス)の開発を進めています。

 

ジーンテクノサイエンスはさらに、千寿製薬と共同で加齢黄斑変性治療薬ラニビズマブ(ルセンティス)のP3試験を行っているほか、同アフリベルセプト(アイリーア)の開発も前臨床段階で進めています。

 

×××

 

政府は、17年6月に閣議決定した「骨太の方針2017」(経済財政運営と改革の基本方針2017)で、バイオシミラーを含むバイオ医薬品の開発支援策を充実させ、20年度末までにバイオシミラーを成分数として倍増(17年6月時点では5成分が承認)させることを目標に掲げています。

 

厚生労働省が18年9月取引分を対象に行った薬価調査の結果によると、バイオシミラーのシェアは金額ベースで13.2%。先行品からの置き換えによる医療費削減効果は年間146億円と推計されました。ファイザーや第一三共といった新薬大手の参入やバイオ版AGの登場により、バイオシミラー市場も大きく変化していきそうです。

 

(前田雄樹)

 

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