田辺三菱製薬の米国子会社ミツビシ・タナベ・ファーマ・アメリカは現地時間の8月8日、米国でALS(筋萎縮性側索硬化症)治療薬「ラジカヴァ」(一般名・エダラボン)を発売したと発表した。田辺三菱が米国で自社販売を行うのは今回が初めて。2020年度までの中期経営計画で目標とする米国売上高800億円に向け、米国市場の開拓を加速させる。
ALSは、運動神経が変性・消失し、手足や顔、呼吸筋など全身の筋力低下と筋萎縮が起こる原因不明の神経変性疾患。米国では毎年、5000~6000人がALSと診断されている。
米国でALSに対する新薬が発売されるのは1995年のリルゾール以来、22年ぶり。米FDAが承認の根拠とした日本での臨床第3相試験のデータによると、比較的軽度なALS患者にラジカヴァを6カ月間投与したところ、プラセボに比べてALS機能評価スケールで評価した日常生活動作障害の進行が33%抑制された。日本(製品名・ラジカット)では15年にALSへの適応拡大が承認されている。
田辺三菱は20年度までの中期経営計画で、米国での事業基盤確立を戦略の柱の一つに据えている。今年7月には、欧米でパーキンソン病治療薬を開発するイスラエルのニューロダーム社を買収すると発表した。ラジカヴァと買収で獲得するパーキンソン病薬で、目標とする米国売上高800億円を達成したい考えだ。