25年度薬価改定、全品目の53%対象/科研、米ベンチャーを157億円で買収 など|製薬業界きょうのニュースまとめ読み(2024年12月20日)
最適使用推進ガイドライン
最適使用推進ガイドラインとは
最適使用推進ガイドラインとは、新規作用機序を持つ医薬品や再生医療等製品の最適な使用を推進するために厚生労働省が作成するガイドラインです。ガイドラインでは、その医薬品を使用することができる医療機関の要件や、投与が適切と考えられる患者の要件、投与する上で留意すべき事項などが示されます。
最適使用推進ガイドランは2017年から運用が始まり、2020年1月時点で9つの医薬品と2つの再生医療等製品で作成されています。ガイドラインが作成されるようになったのは、がんの治療に使う免疫チェックポイント阻害薬など高額な医薬品が相次いで登場し、公的医療保険財政に与える影響が懸念されるようになったため。政府の「経済財政運営と改革の基本方針2016(骨太の方針2016)」に革新的医薬品の使用の最適化を推進する方針が明記され、これを受けてガイドラインの運用が始まりました。
最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品
最適使用推進ガイドラインの作成対象となる医薬品は、「安全性・有効性に関する情報が十分蓄積するまでの間、投与が適切と考えられる患者の要件やその医薬品を使用する上で必要な医療機関の要件などを定めることが適切と考えられる医薬品」とされています。
具体的には、
▽薬理作用が既存の医薬品と大きく異なる
▽安全性のプロファイルが既存の医薬品と大きく異なり、使用の上で特別な注意が必要となる
▽既存の医薬品より有効性が著しく高い
▽既存の医薬品と臨床的な位置付けが異なり、より広い患者に使用される可能性が高い
▽適応拡大などによって使用される患者が拡大する可能性がある
――といった観点からガイドラインの作成対象になるかどうかを判断します。また、すでにガイドラインの対象となっている医薬品と同様の作用機序を持つ医薬品や、すでにガイドラインの対象となっている医薬品で適応拡大を行うものは、原則としてガイドラインの作成対象となります。
一方、特定の遺伝性疾患だけに使われるなど、投与対象となる患者が明確に特定されており、患者数も少ない医薬品は、ガイドラインの作成対象にはなりません。
最適使用推進ガイドラインが作成されている医薬品(2020年1月現在)
2020年1月時点でガイドラインが作成されている医薬品は以下の通りです(=以下はガイドラインが作成されている適応症)。
▽抗PD-1抗体ニボルマブ(小野薬品工業のオプジーボ)=非小細胞肺がん/悪性黒色腫/頭頸部がん/腎細胞がん/古典的ホジキンリンパ腫/胃がん/悪性胸膜中皮腫
▽抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(MSDのキイトルーダ)=腎細胞がん/頭頸部がん/非小細胞肺がん/悪性黒色腫/古典的ホジキンリンパ腫/尿路上皮がん/高頻度マイクロサテライト不安定性を有する固形がん
▽抗PD-L1抗体アベルマブ(メルクバイオファーマのバベンチオ)=腎細胞がん/メルケル細胞がん
▽抗PD-L1抗体アテゾリズマブ(中外製薬のテセントリク)=小細胞肺がん/非小細胞肺がん/乳がん
▽抗PD-L1抗体デュルバルマブ(アストラゼネカのイミフィンジ)=非小細胞肺がん
▽抗PCSK9抗体エボロクマブ(アステラス・アムジェン・バイオファーマのレパーサ)=家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症
▽抗PCSK9抗体アリロクマブ(サノフィのプラルエント)=家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症
▽抗IL-4/13受容体抗体デュピルマブ(サノフィのデュピクセント)=気管支喘息/アトピー性皮膚炎
▽抗IgE抗体オマリズマブ(ノバルティスファーマのゾレア)=季節性アレルギー性鼻炎
最適使用推進ガイドラインが作成されている再生医療等製品(2020年1月現在)
2020年1月現在で最適使用推進ガイドラインが作成されている再生医療等製品は以下の通りです(=以下はガイドラインが作成されている適応症)。
▽チサゲンレクルユーセル(ノバルティスファーマのキムリア)=B細胞性急性リンパ芽球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
▽ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞(ニプロのステミラック)=脊髄損傷に伴う神経症候および機能障害の改善
最適使用推進ガイドラインの内容
最適使用推進ガイドラインは、承認審査と並行し、厚生労働省と医薬品医療機器総合機構(PMDA)が関連学会などの専門家とともに作成。適応拡大や用法・用量の変更、添付文書の改訂などがあった場合には、必要に応じてガイドラインも改訂されます。
最適使用推進ガイドラインに記載される内容は、
▽対象となる医薬品の名称、効能・効果、用法・用量など
▽対象医薬品の特徴と作用機序
▽臨床成績
▽対象医薬品を使用する上で必要な医療機関の要件
▽対象医薬品の投与が適切と考えられる患者の要件
▽対象医薬品の投与に際して留意すべき事項
――など。対象患者の要件としては、安全性の観点から慎重な投与やほかの治療選択肢が必要な患者の要件や、有効性が検証されている患者の要件、有効性が検証されていないなどの理由で投与対象とならない患者の要件などが記載されます。
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