1. Answers>
  2. AnswersNews>
  3. ニュース解説>
  4. サノフィの血友病向けsiRNA医薬「Qfitlia」など4新薬が承認―2025年3月に米FDAが承認した新薬
ニュース解説

サノフィの血友病向けsiRNA医薬「Qfitlia」など4新薬が承認―2025年3月に米FDAが承認した新薬

更新日

亀田真由

(写真:ロイター)

 

2025年3月に米FDA(食品医薬品局)が承認した主な新薬と適応拡大を、領域別にまとめました。

 

 

【新薬】GSKの単純性尿路感染症治療薬など

 

[血液] Qfitlia|仏サノフィ

「Qfitlia」(一般名・fitusiran)は、血友病A・Bに対する皮下投与のsiRNA医薬。血液凝固を阻害するアンチトロンビンの濃度を下げ、トロンビン産生を促すことで止血バランスを調整し、出血を抑制します。インヒビターの有無にかかわらず使用でき、臨床試験では、従来の治療より少ない年6回の投与で年間出血率を有意に減少させました。中国とブラジルでも申請中。日本では臨床第3相(P3)試験が行われています。

 

[眼] Encelto|米Neurotech

「Encelto」(revakinagene taroretcel)は、網膜の神経変性疾患である黄斑部毛細血管拡張症2型(MacTel)の治療薬。毛様体神経栄養因子(CNTF)を網膜に継続的に送達するよう設計されたカプセル化細胞治療で、黄斑視細胞の減少を遅らせ、疾患の進行をゆるやかにすると考えられています。

 

[感染症] Blujepa|英GSK

抗菌薬「Blujepa」(gepotidacin)は、単純性尿路感染症治療薬。体重40kg以上の成人女性と12歳以上の女性が対象です。新規作用機序のトリアザアセナフチレン系抗菌薬で、2つの異なるII型トポイソメラーゼ酵素をバランスよく阻害します。尿路感染に対する新クラスの抗菌薬は約30年ぶり。日本でもP3試験が進行中です。

 

[その他] Vykat XR|米ソレノ

「Vykat XR」は、インスリン分泌を抑制するdiazoxide cholineの徐放性製剤。プラダーウィリー症候群に伴う過食に対する治療薬として承認されました。プラダーウィリー症候群では、3~4歳ごろから過食傾向が出ることが知られています。

 

【適応拡大】アルナイラム「Amvuttra」のATTR-CMなど

 

がん

Keytruda|米メルク

抗PD-1抗体「Keytruda」(pembrolizumab)は、「局所進行・切除不能または転移性のHER2陽性胃がんまたは胃食道接合部腺がん」の適応で完全承認を取得しました。抗HER2抗体trastuzumab、フルオロピリミジンやプラチナ製剤を含む化学療法と併用します。同適応では、P3試験の中間解析で示された客観的奏効率と治療効果の持続に基づき21年に迅速承認を取得。同試験の主要評価項目の全生存期間と無増悪生存期間の延長が確認され、完全承認されました。

 

Cabometyx|米エクセリクシス

キナーゼ阻害薬「Cabometyx」(cabozantinib)は、切除不能な局所進行・転移性の膵神経内分泌腫瘍(pNET)と膵外神経内分泌腫瘍(epNET)に適応拡大しました。治療歴のある12歳以上の患者が対象。承認の根拠となったP3試験では、プラセボと比べて無増悪生存期間を有意に延長しました。

 

Pluvicto|スイス・ノバルティス

放射性リガンド療法「Pluvicto」(lutetium lu 177 vipivotide tetraxetan)は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)陽性転移性去勢抵抗性前立腺がんの適応で、タキサン系化学療法前の早期での使用が承認されました。対象は、アンドロゲン受容体経路阻害剤薬(ARPI)療法を受け、化学療法の延期が適当と判断された患者。投与対象患者は従来の約3倍に拡大すると見込まれます。日本では、PSMA陽性去勢抵抗性前立腺がんの適応で申請中です。

 

Imfinzi|英アストラゼネカ

抗PD-L1抗体「Imfinzi」(durvalumab)は、筋層浸潤膀胱がん(MIBC)に対する化学療法併用の術前補助療法と、それに続く単剤での術後補助療法が承認されました。MIBCでは膀胱全摘除術を受けた患者の約半数が再発を経験し、予後が悪いことが知られています。承認の根拠となったP3試験では、術前化学補助療法単独と比べて再発リスクを32%、死亡リスクを25%低減。日本と欧州でも同試験の結果をもとに申請中です。

 

Tevimbra|中国ベイジーン

抗PD-1抗体「Tevimbra」(tislelizumab)は、切除不能または転移性食道扁平上皮がんの適応で1次治療に適応拡大しました。プラチナ製剤を含む化学療法と併用します。未治療患者を対象に化学療法への上乗せを検証したP3試験では、プラセボと比べて全生存期間を有意に延長しました。米国では24年、化学療法既治療の患者を対象に承認。日本では今年3月、未治療患者と既治療患者を対象に承認を取得しました。

 

循環器・代謝・腎

Furoscix|米scファーマ

ループ利尿薬「Furoscix」(furosemide)は、慢性腎臓病に伴う浮腫に適応拡大。ネフローゼ症候群を含む慢性腎臓病の成人患者に使用できます。同薬は22年、慢性心不全に伴う浮腫の治療薬として承認されました。

 

Amvuttra|米アルナイラム

「Amvuttra」(vutrisiran)は、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)に適応拡大しました。ATTR-CMはミスフォールドされたトランスサイレチン(TTR)タンパク質が蓄積する疾患で、同薬は野生型・変異型TTRタンパクの産生を阻害するRNAi治療薬。米国では、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー治療薬として米国で22年に承認。日本と欧州でもATTR-CMへの適応拡大を申請中です。

 

Fabhalta|スイス・ノバルティス

補体B因子阻害薬「Fabhalta」(iptacopan)は、C3腎症に適応拡大。C3腎症はまれな腎疾患で、従来は支持療法、免疫抑制療法、症状管理が主な治療でした。Fabhaltaは疾患の根本原因と考えられる補体第2経路を標的とする経口薬。プラセボ対照の臨床試験では、尿タンパクを減少させる効果が確認されました。欧州でも同適応で近く承認される見通しで、日本でも申請中です。

 

その他

[消化器] Tremfya|米ヤンセン

抗IL-23p19抗体「Tremfya」(guselkumab)は、中等症から重症の活動性クローン病に適応拡大。導入療法に皮下投与と静脈投与のオプションを備えており、維持療法を含めて完全皮下投与が可能となります。抗IL-12/23p40抗体Stelara(ustekinumab)との直接比較試験では、内視鏡的評価項目で優越性が確認されました。日本でもクローン病への適応拡大を申請中です。

 

[眼] Iluvien|米ANIファーマ

コルチコステロイドfluocinolone acetonideの硝子体内製剤「Iluvien」は、後眼部に影響を与える慢性非感染性ぶどう膜炎に適応拡大しました。米国では2014年に糖尿病黄斑浮腫治療薬として承認。欧州でも両適応で承認済みです。

 

[アレルギー] Neffy|米ARSファーマ

epinephrineの鼻スプレー「Neffy」は、従来の半量となる1mg製剤が承認され、1型アレルギーの適応で体重15〜30kgの4歳以上の小児に使用できるようになりました。体重30kg以上の小児、成人に対する2mg製剤は24年に米国で承認されています。

 

[ワクチン] Jynneos|デンマーク ババリアン・ノルディック

天然痘・エムポックスワクチンの「Jynneos」は、凍結乾燥製剤が承認されました。19年に承認された従来の液体凍結製剤と比べ、輸送や保管がしやすくなります。

 

【バイオシミラー】「Xolair」に初のバイオシミラー

 

Omlyclo|韓国セルトリオン

「Omlyclo」は、米国で初となる抗IgE抗体「Xolair」(omalizumab)のバイオシミラー。慢性特発性蕁麻疹患者を対象に行ったP3試験の結果をもとに、先発品との互換性が確認されました。欧州では24年に承認されています。

 

Bomyntra/Conexxence|独フレゼニウスカービ

「Bomyntra」と「Conexxence」はいずれも抗RANKL抗体denosumabのバイオシミラー。Bomyntraは骨巨細胞腫瘍などの適応を持つ「Xgeva」、Conexxenceは骨粗鬆症治療薬「Prolia」に対応しています。欧州でも申請中です。

 

あわせて読みたい

メールでニュースを受け取る

  • 新着記事が届く
  • 業界ニュースがコンパクトにわかる

オススメの記事

人気記事

メールでニュースを受け取る

メールでニュースを受け取る

  • 新着記事が届く
  • 業界ニュースがコンパクトにわかる