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FDAワクチン部門トップ辞任、製薬企業の株価下落…ワクチンや遺伝子治療の今後に不透明感広がる

更新日

ロイター通信

辞任が明らかとなった米FDA生物製剤評価研究センター所長のピーター・マークス氏(ロイター)

 

[ロイター]米FDA(食品医薬品局)のワクチン部門トップ、ピーター・マークス氏が辞任に追い込まれたとの報道を受け、3月31日の米株式市場で製薬企業の株価が下落した。トランプ政権が連邦保健機関の改革に着手する中、同氏の辞任は最も注目を集める離脱となっている。

 

今年1月にトランプ氏が大統領に返り咲いてから、製薬・バイオテクノロジーセクターは圧力を受けている。医薬品への関税や、ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉省(HHS)長官による連邦機関改革への懸念から、株価は下落している。

 

コロナワクチン開発で重要な役割

環境弁護士のケネディ氏は、ワクチンの安全性と有効性に懐疑的な立場をとってきた。一方、マークス氏は1期目のトランプ政権下で新型コロナウイルスワクチンの開発に重要な役割を果たした。

 

マークス氏の辞任を最初に報じた3月28日のウォール・ストリート・ジャーナルによると、同氏は4月5日付に退任する。同氏は辞任に際する書簡でケネディ氏のワクチンに関する見解を批判した。

 

報道を受けてS&P500バイオテクノロジーETFは4.9%下落した。マークス氏の辞任はバイオテクノロジー投資家の間で今後に対する不透明を増幅させた。

 

BMOキャピタル・マーケッツのアナリスト、エヴァン・シーガーマン氏は「バイオテクノロジーが最近、広範な問題で大きな圧力にさらされていることは周知の事実だ。今回の残念なアップデートは、投資家を安心させるものでも、救済するものでもない」と述べた。

 

ノババックスやビオンテックといったワクチン開発に取り組む企業の株価は6~8%下落した。遺伝子治療開発企業では、テイシャ・ジーン・セラピーズが30%、ソリッド・バイオサイエンシズが14%、サレプタ・セラピューティクスが10%下落。市場は揺れた。

 

「辞任か解雇か」選択迫られ

ケネディ氏は連邦公衆衛生機関の再編計画を発表しており、数千人の職員が解雇される可能性がある。

 

31日の報道によると、マークス氏はHHSの職員から、自ら辞職するか解雇されるかを選択するよう迫られたという。マークス氏は在任中、FDAの生物製剤評価研究センターの所長として、希少疾患治療薬や遺伝子治療の開発を加速するプログラムを公に支持してきた。

 

ウィリアム・ブレアのアナリスト、マット・フィップス氏は「マークス氏の生物製剤開発への影響力、後任の人選、そして彼の功績の承継に対する不確実性を踏まえると、マークス氏の辞任は短期的に大きな懸念材料になるだろう」と指摘する。

 

FDAでは約2カ月前にも、医薬品評価部門の責任者を務めていたパトリツィア・カバッツォーニ氏が退任した。マークス氏の辞任はこれに続く幹部の離脱だ。

 

マークス氏の後任はまだ明らかではないが、フィリップス氏は「ケネディ氏と同じワクチンに対する見解を持つ人物が就任するリスクは明らかにある」と述べた。

 

HHSはロイターに対してコメントはしないと述べた。マークス氏にも31日に電子メールでコメントを求めたが、同氏は応じなかった。

 

(取材:Manas Mishra/Puyaan Singh、編集:Sriraj Kalluvila、翻訳:AnswersNews)

 

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