千葉大とアステラスがクロスアポイントメント協定／住友化学、ペプチスターと資本提携 など｜製薬業界きょうのニュースまとめ読み（2024年11月11日）

千葉大とアステラスがクロスアポイントメント協定、理学研究院教授が在籍出向

千葉大は11月11日、アステラス製薬とクロスアポイントメント協定を結んだと発表した。クロスアポイントメントは、研究者が大学、公的研究機関、企業の中で2つ以上の機関に雇用され、それぞれの機関での役割に応じて研究などに従事する仕組み。協定に基づいて千葉大理学研究院の村田武士教授がアステラスに在籍出向する。村田教授は長年にわたって膜タンパク質に焦点を当てた基盤技術の開発に取り組んでおり、アステラスは村田教授を迎えることで膜タンパク質の構造解析系を社内に確立し、合理的な化合物デザインを可能にする創薬プラットフォームを構築したい考え。クロスアポイントメントを使って千葉大の教員が民間企業に勤務するのは今回が初めてという。

住友化学、ペプチスターと資本提携…gRNAの供給体制拡充

住友化学は11月11日、ペプチスターと資本提携したと発表した。第三者割当増資を引き受け、株式を取得した。住友化学は2013年に核酸医薬原薬の受託製造事業を開始し、ゲノム編集治療に必要なガイドRNA（gRNA）の受託製造に力を入れている。23年8月には大分工場（大分市）で新プラントを稼働させるなど生産体制を強化しており、近年ではペプチスターとのパートナーシップによって同社の設備を活用した2拠点生産体制を構築している。資本提携を通じてさらなる関係強化を図る狙い。ペプチスターは、ペプチド医薬原薬の研究開発、製造、販売を目的に、ペプチドリームと塩野義製薬、積水化学工業が17年に設立。21年には核酸医薬原薬の受託製造事業に参入した。

アルナイラム「アムヴトラ」適応拡大を申請

アルナイラム・ジャパンは11月11日、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー治療薬「アムヴトラ」（一般名・ブトリシランナトリウム）について、トランスサイレチン型心アミロイドーシスへの適応拡大を申請したと発表した。トランスサイレチン型心アミロイドーシスは、異常なトランスサイレチンから形成されたアミロイドが心臓に沈着し、不整脈や心不全などを引き起こす疾患。急速に進行し、死に至ることもある。アムヴトラはRNAi（RNA干渉）医薬品。mRNAを分解することでトランスサイレチンタンパク質の産生を阻害する。

決算

明治HD（24年4～9月期、11月11日発表）

医薬品セグメントは売上高1138億円（前年同期比12.9%増）、営業利益185億円（16.7%増）。抗菌薬や血漿分画製剤が好調だった国内事業は7.8%の増収、37.5%の増益。インフルエンザワクチンの出荷本数が大きく前年同期を上回ったワクチン事業も2桁増収で、海外事業も伸びた。医薬品セグメントの通期業績予想（売上高2458億円、営業利益250億円）は据え置いた。新型コロナウイルスワクチン「コスタイベ」は当初計画を下回るが、注射用抗菌薬や新製品の拡大で補う。

サワイグループHD（24年4～9月期、11月11日発表）

▽売上収益878億7000万円（前年同期比0.5%増）▽営業利益117億5500万円（7.9%増）▽税引き前利益114億900万円（6.6%増）▽当期利益189億100万円（123.8%増）――。販売単価の改善を進めた一方、試験不正からの信頼回復に向けた活動に注力したことなどによって売り上げ、利益とも計画には届かなかった。25年3月期は売上収益1839億円、営業利益236億円を予想。長期収載品の選定療養や限定出荷の解除、12月の新製品発売によって下期は販売の回復を見込む。

扶桑薬品工業（24年4～9月期、11月11日発表）

▽売上高297億3900万円（前年同期比8.4%増）▽営業利益24億3400万円（121.4%増）▽経常利益21億4300万円（95.2%増）▽純利益15億3500万円（114.2%増）――。腎・透析関連の後発医薬品の販売が好調で、輸液・注射剤も他社品の代替供給で拡大。不採算品再算定で原価率が改善し、大幅な増益となった。25年3月期の業績予想は売上高600億円（従来予想比30億円増）、営業利益40億円（14億円増）に上方修正した。