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【衆院選2024】主要政党 医薬品関連の公約まとめ

更新日

前田雄樹

今月27日の投開票に向けて舌戦が繰り広げられている衆院選。衆院に議席を持つ9政党の公約から、医薬品に関連するものを抜粋し、テーマごとにまとめました。

 

【衆院選2024 主要政党の医薬品関連の公約①】[薬価]自民:―|公明:―|立憲民主:医薬品の安定供給、イノベーション創出の基盤を強固にし、国民に品質の高い医薬品を安定して供給できるようにするため、中間年薬価改定を廃止|維新:財政規律とイノベーションを考慮した薬価設定の仕組みをつくり、オールジャパンで創薬における国際競争力を育成する体制をつくる|共産:―|国民民主:後発医薬品の安定供給を図り、新薬創出を促進するため、中間年改定を廃止し、経済成長率を踏まえた新たな薬価改定ルールを策定。中医協の構成を見直し、医薬品関連業種の代表者を追加/革新的新薬へのアクセス確保とドラッグ・ラグ/ロス改善のため、新薬収載時の価格算定方式を見直すとともに、特許期間中の価格を維持する制度に見直す/市場拡大再算定は、新たなエビデンスや使用実態、想定患者数を踏まえた市販後のイノベーションを評価できる仕組みに見直し、「共連れルール」は廃止|れいわ:―|社民:―|参政:―|[医薬品の保険給付]自民:―|公明:―|立憲民主:―|維新:医療サービスの生産性向上と適正化を図るため、診療報酬体系の再構築、医薬分業制度の見直し、後発医薬品の使用原則化、保険適用薬品の適正化などを進め、医療費の増大を抑制/患者の選択肢を拡大し、先進的な医療技術の導入を促進するため、混合診療の解禁についても積極的に検討|共産:―|国民民主:OTC類似薬について公的医療保険の対象から見直し、セルフメディケーションを推進/年齢ごとに健康に生活できる状況を維持するのにかかる医療の費用対効果評価が低いものについては公的医療保険の対象から見直し/保険外併用療法費制度を弾力化し、難病・希少疾患患者に対する治療選択肢を増やすとともに、先端医療の導入を促進。保険外療養への経済的支援や先端医療に対する民間保険の活用を図る|れいわ:―|社民:―|参政:―|※各党の公約から抜粋

 

薬価

製薬業界の関心も高い薬価については、立憲民主、国民民主、日本維新の会の3党が記載。立憲民主と国民民主は、医薬品の安定供給と新薬創出の観点から中間改定の廃止を掲げています。維新は財政規律とイノベーションを考慮した薬価設定の仕組みをつくり、創薬の国際競争力を育成する体制をつくるとしています。

 

国民民主はさらに、経済成長率を踏まえた新たな薬価設定ルールを策定するとしたほか、中医協委員に医薬品関連業種の代表者を加えると明記。革新的新薬へのアクセス確保とドラッグ・ラグ/ロス改善に向け、新薬収載時の価格算定方式の見直しと、特許期間中の価格を維持する制度への見直しも掲げています。市場拡大再算定の見直しにも言及し、いわゆる「共連れルール」は廃止するとしています。

 

与党の自民、公明の公約には、薬価に関する記述はありません。

 

医薬品の保険給付

医薬品の保険給付をめぐっては、国民民主がOTC類似薬や費用対効果評価の低い医療への公的医療保険給付の見直しを明記。保険外併用療養費制度の弾力化によって難病や希少疾患の治療選択肢を増やすとともに、先端医療の導入を促進するとしています。保険外療養への経済的支援や、先端医療への民間保険の活用も掲げています。

 

維新は、「後発医薬品使用の原則化や保険適用薬品の適正化などを進め、医療費の増大を抑制する」と記載。治療選択肢を広げ、先進的な医療技術の導入を促進するため、混合診療の解禁についても積極的に検討を進めるとしています。

 

【衆院選2024 主要政党の医薬品関連の公約②】[創薬]自民:創薬力を抜本強化。産官学の研究力を向上させるとともに、国産の感染症ワクチン・治療薬は研究基盤、治験機能・体制、生産能力含め強化/創薬エコシステムを整備し、創薬力を強化しつつドラッグラグ・ロスを解消/製薬産業を基幹産業と位置付け、ベンチャーの実用化開発支援やバイオ医薬品の生産体制整備を推進|公明:がん治療機会の均てん化のため、創薬力、ゲノム医療、重粒子線治療、ホウ素中性子補捉療法、リキッドバイオプシー、国産ラジオアイソトープ等を用いた検査・治療を含む医工連携・研究技術開発を推進/立憲民主:中間年薬価改定の廃止(再掲、表①薬価を参照)/難病に対する有効な新規治療薬・治療方法の開発を進める。新たな治療薬の実用化にあたっては早期診断・早期治療が可能となるよう医療提供体制を早急に整備/創薬・バイオ、ゲノム医療などの分野を大規模かつ中長期的・計画的に推進/維新:財政規律とイノベーションを考慮した薬価設定の仕組みづくり(再掲、表①薬価を参照)/国産ワクチンや治療薬の研究開発・生産体制について、大胆な投資を行うなど安全保障の観点から抜本的に強化。十分量が国民に確保・供給できる体制を確保/iPS細胞を利用した再生医療など認知症の治療に対する研究を支援し、将来的な治療の実現を目指す|共産:―|中間年改定の廃止。新たな薬価改定ルールの策定(再掲、表①薬価を参照)/新薬収載時の価格算定方式を見直しと、特許期間中の価格を維持する制度への見直し(再掲、表①薬価を参照)/世界中から投資、技術、人材を呼び込み、多様な人材が力を発揮する雇用の場として機能する創薬エコシステム・イノベーション拠点を構築/各種規制が適正に機能しつつもボトルネックとならないよう、ハーモナイゼーションを推進/仮名加工医療情報の2次利用にかかる法整備や臨床試験等に活用しうるデータの標準化と信頼性確保を推進/有事を見据えた感染症治療薬・ワクチンの開発・生産体制を強化|れいわ:―|社民:―|参政:―|[医薬品供給]医薬品を含む重要技術・物資のサプライチェーン強靭化、経済的威圧への取り組み、機微技術の管理強化を図る/特定重要物資の国内生産能力強化や調達多元化などに向けた支援を実施/後発品の安定供給確保のための構造改革を実行|公明:医薬品など国民生活や経済活動に欠かせない重要物資の国内製造力強化に集中投資/後発医薬品のサプライチェーン情報の共有化に向けた取り組みを進めるとともに、安定供給と品質担保のための体制確保取り組む。海外に依存する治療薬の確保を見直し、原材料の国産化を推進するなど、必要な治療薬の確保を実現|立憲民主:中間年薬価改定の廃止(再掲、表①薬価を参照)|維新:医薬品などわが国の競争力が低下している戦略的物資の研究開発と生産体制の構築を積極的に支援(再掲)|共産:―|国民民主:中間年改定の廃止。新たな薬価改定ルールの策定(再掲、表①薬価を参照)/供給不安に陥っている医薬品等について増産に向けた支援を実施。不採算に陥ることのない価格下支え制度、急激な物価高騰に対応できる制度を構築/医療機関と医薬品卸売業の取引における商慣行を変革すべく医薬品流通改善を促進。医薬品メーカーの生産・在庫・出荷状況等を一元管理するデータベースを構築|れいわ:―|社民:―|参政:―|※各党の公約から関連部分を抜粋

 

創薬

創薬については、与党含め多くの政党の公約に記述が見られます。

 

自民は「創薬力を抜本的に強化する」とし、産官学の研究力向上や、感染症ワクチン・治療薬の研究、治験、生産の強化を掲げています。創薬エコシステムの整備を通じて創薬力の強化しつつドラッグ・ラグ/ロスを解消するとしているほか、製薬産業を国の基幹産業と位置付け、創薬ベンチャーによる開発への支援やバイオ医薬品の生産体制整備を推進する方針も明記しています。公明はがん治療の開発推進を掲げました。

 

立憲民主は難病などの治療薬・治療法の開発を進めるとし、感染症ワクチン・治療薬の国内開発に対する支援体制を強化すると明記。維新や国民民主も感染症治療薬・ワクチンの開発・生産体制を強化するとしています。

 

維新はさらに、「半導体や蓄電池、医薬品など、我が国の競争力が低下している戦略的物資の研究開発と生産体制の構築を積極的に支援する」としています。国民民主は「創薬エコシステム・イノベーション拠点」の構築や、規制のハーモナイゼーション、医療データの活用促進を掲げています。

 

医薬品供給

医薬品の供給をめぐっては、主に「サプライチェーンの強靭化・国内製造の強化」と「後発品を中心とする供給不足の解消」の2つの観点で各党が公約に記載しています。

 

サプライチェーンの強靭化や国内製造の強化は、自民、公明、維新が記載。自民は「特定重要物資の国内生産能力強化や調達多元化などに向けた支援を行う」とし、公明は「医薬品や半導体など国民生活や経済活動に欠かせない重要物資の国内製造力の強化へ集中投資する」としています。

 

供給不足の解消に向けては、自民が後発品の安定供給確保のための構造改革を行うと明記。公明は、後発品のサプライチェーン情報の共有化に向けた取り組みを進めるとともに、安定供給・品質担保のための体制確保に全力で取り組むとしています。

 

国民民主は、供給不安に陥っている医薬品の増産を支援するとし、価格の下支え制度や物価高騰に対応できる制度を構築すると記載。流通改善の促進や、メーカーの生産・在庫・出荷状況を一元管理するデータベースの構築も掲げています。

 

【衆院選2024 主要政党の医薬品関連の公約③】[その他]自民:―|公明:来年4月から定期接種化される予定の帯状疱疹ワクチンについて、接種費用の十分な予算を確保するとともにワクチンの供給体制にも万全を期し、円滑な接種を実現|立憲民主:―|維新:HPVワクチンについて、積極的勧奨が行われず接種の機会を逸した世代に対する救済措置を確実に進める|共産:―|国民民主:―|れいわ:―|社民:―|参政:ワクチン薬害問題を追究。被害救済申請の負担軽減と審査の迅速化/薬やワクチンに依存しない治療·予防体制強化で国民の自己免疫力を高める/新型コロナワクチンの接種推進策の見直しを求める|※各党の公約から関連部分を抜粋

 

その他

4つのテーマ以外では、公明が来年4月に定期接種化される帯状疱疹ワクチンの円滑な接種を実現する方針を掲げています。維新は、HPVワクチン接種の機会を逃した世代への救済措置を確実に進めるとしています。

 

共産は「避妊薬や緊急避妊薬、中絶薬を安価でアクセスしやすくする」と明記。参政は新型コロナワクチンの接種推進策の見直しを求めるなどとしています。

 

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