(写真:ロイター)
モデルナ、RSウイルスワクチンを申請
モデルナ・ジャパンは5月30日、60歳以上の成人を対象としたRSウイルスワクチン「mRNA-1345」を申請したと発表した。申請は、 60歳以上の成人約3万7000人を対象とした国際共同臨床第3相(P3)試験の中間解析データに基づく。同ワクチンは、融合前 F糖タンパク質をコードしたmRNAワクチン。同社の新型コロナウイルスワクチンと同様の脂質ナノ粒子(LNP)を使っている。
武田 cTTP治療薬「アジンマ」発売
武田薬品工業は5月30日、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)治療薬「アジンマ静注用1500」(一般名・アパダムターゼ アルファ/シナキサダムターゼ アルファ)を発売したと発表した。12歳以上の患者に対し、定期補充療法および一時補充療法として投与できる。cTTPはADAMTS13酵素の欠乏によって起こる慢性の血液凝固障害。アジンマはADAMTS13を補充する世界初の治療薬となる。薬価は、1500国際単位1瓶(溶解液付)121万2026円。ピーク時に33億円の販売を見込む。
ヴィアトリス、シスチン症治療薬「シスタドロップス」発売
ヴィアトリス製薬は5月30日、シスチン症治療薬「シスタドロップス点眼液」(システアミン塩酸塩)を発売したと発表した。適応は「シスチン症における角膜シスチン結晶の減少」。2020年の同社の事業開始後、初めて承認された先発医薬品となる。シスチン症は稀な常染色体劣性遺伝形式の先天代謝異常症で、全身の組織にシスチンが蓄積することで細胞傷害が生じる。日本での患者数は昨年9月時点で17人。薬価は0.38%5mL1瓶25万6095.50円で、ピーク時の売上高予測は3.5億円。
住友ファーマ・ヘリオスなど、ビジョンケアらとの和解成立
理化学研究所と大阪大、ヘリオスが特許を有する「網膜色素上皮細胞の製造方法」の使用をめぐる裁定請求について、住友ファーマは5月30日、ビジョンケア、VC Cell Therapy(VCT)と、理化学研究所、大阪大、ヘリオス、住友ファーマの間で和解が成立したと発表した。住友ファーマらは、ビジョンケアとVCTが加齢黄斑変性の一部である網膜色素上皮(RPE)不全症を対象に行う自由診療で、実施症例数30例までに限り、製造、譲渡などの特許実施を認めることとなる。和解成⽴までには合計22回の工業所有権審議会発明実施部会が開催され、部会は当事者間の協議による解決が望ましいとしていた。
住友ファーマとヘリオスは、網膜色素上皮裂孔を対象に他家iPS細胞由来RPE細胞「HLCR011」のP1/2試験を進めているが、和解による影響は軽微としている。
大塚製薬・大鵬薬品 PTP包装廃材のリサイクルを開始
大塚製薬と大鵬薬品工業は5月30日、PTP包装廃材のマテリアルリサイクルを開始したと発表した。PTPシートをプラスチックとアルミ箔に分離する技術や、二酸化炭素排出の少ない鉄道輸送を利用するモーダルシフトにより、PTP包装廃材をリサイクルし環境負荷低減を図る。取り組みにより、両社工場で発生するすべてのPTP用ポリプロピレンシートの包装廃材がリサイクル可能となり、二酸化炭素排出量を約94%削減するとともに、年間約55トンの廃材が再利用できるという。
千寿 唐津工場に新ラインを増設
千寿製薬は5月30日、唐津市と、唐津工場(佐賀県唐津市)の敷地内に新ラインを増設するための立地協定を結んだと発表した。増築するのは、医療用点眼剤の調製設備、充填ライン、包装ライン、自動倉庫。約100億円を投資した生産ラインの追加により生産能力は約1.5倍となる。完成は2026年11月を予定している。
アスタチンによる標的α線治療、前立腺がんで医師主導治験開始
大阪大発ベンチャーのアルファフュージョン(大阪市)は5月30日、開発中の「PSW-1025」について、共同研究先の阪大の研究チームが、標準治療抵抗性の前立腺がんを対象とする医師主導P1 試験を今年6月に開始すると発表した。PSW-1025は、前立腺がんに発現する前立腺特異的膜抗原(PSMA)を標的とする新規アルファ線治療に使うアスタチン標識薬(化合物名・[At-211]PSMA-5)。治験は標準治療の実施・継続が困難な患者15人を対象とし、投与後の忍容性、安全性、薬物動態および有効性を確認する。両者は21年から甲状腺がんに対するアスタチン標識薬の開発も進めている。