海外の大手製薬企業20社の2023年の業績を、▽売り上げ・利益▽研究開発費▽主力製品売上高▽疾患領域・事業別売上高▽地域別売上高――の5つの切り口からチャートで解説します。
【チャートで見る】海外製薬大手2023年業績 |
メルクとアストラゼネカ、中国で売上高の13%
各社の決算発表から、地域別の売上高と構成比をチャートにまとめました。
スイス・ロシュは、医薬品事業の売上高の53%が米国。19%を欧州で稼ぎました。残りの3割弱を占めるその他地域では減収で、特に日本は為替の影響もあって24%減と大きく売り上げを落としました。
米メルクも医薬品事業の半分を米国が占め、欧州が18%。中国が67億1000億ドル(構成比13%)に達し、日本の2倍以上の規模となっています。
新型コロナウイルスワクチン・治療薬の需要減に直面した米ファイザーは、すべての地域で大幅な減収。米ジョンソン・エンド・ジョンソンは医薬品事業の売上高の57%を占める米国で増収となった一方、その他の地域では売り上げを落としました。米アッヴィは総売上高に占める割合が77%と他社に比べて大きくなっていますが、主力の抗TNFα抗体「ヒュミラ」へのバイオシミラー参入の影響で8%の減収となりました。
仏サノフィは、総売上高の67%を稼ぐ米国と欧州で増収となった一方、その他地域では4%の減収。英アストラゼネカも米国と欧州を除く既存市場(日本やカナダなどが含まれる)が2桁の減収となりました。アストラゼネカもメルクと同様に中国での売り上げが大きく、全体の13%を稼ぎました。スイス・ノバルティスはすべての地域で増収です。
ノボ、米国売上高1.5倍に
米ブリストル・マイヤーズスクイブは、全体の7割を占める米国で1%の減収となったほか、その他地域でも売り上げを6%落としました。同社もアッヴィと同様に、他社と比べて米国への依存度が大きくなっています。
英グラクソ・スミスクラインは欧米が好調だった一方、その他地域では減収。糖尿病・肥満症治療薬のGLP-1受容体作動薬が伸びるデンマーク・ノボノルディスクは全地域で増収となり、特に米国では51%増と急成長しました。
米イーライリリーは、4%減となった日本を除くすべての地域で増収。米国は20%増、欧州は44%増と好調でした。中国の売上高は全体の5%となり、日本とほぼ同じ規模になっています。
米アムジェンは米国、米国以外とも前年を上回りました。同社もアッヴィやBMSとともに米国が全体の7割を超えています。独ベーリンガーインゲルハイムは、米州と欧州で売り上げを伸ばした一方、アジア/オーストラリア/アフリカではわずかに減収となりました。
米ギリアドは、製品売上高の72%を稼ぐ米国で増収となった一方、欧州とその他地域では減収。バイエルはすべての地域で前年を下回りました。同社は欧州/中東/アフリカやアジア/太平洋の売上高が北米より多く、ほかの大手製薬企業とは異なる収益構造となっています。イスラエルテバは9%増となった米国をはじめ、すべての地域で増収です。
米ヴィアトリスは全地域で減収。特に日本/オーストラリア/ニュージーランドは13%減と大きく売り上げを落としました。米リジェネロンは製品売上高の95%を占める米国で1%の減収となった一方、その他地域で344%と大幅に売り上げを伸ばしています。米バイオジェンも米国、米国外ともに前年を下回りました。