中央社会保険医療協議会(中医協)総会は4月10日、日本イーライリリーのアトピー性皮膚炎治療薬「イブグリース皮下注」など新薬10成分15品目の薬価収載を了承した。収載は4月17日付。アレクシオンファーマの発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)治療薬「ボイデヤ錠」には、2024年度薬価制度改革で新設された「迅速導入加算」が初めて適用された。
新設の迅速導入加算「ボイデヤ錠」に初適用
日本イーライリリーの「イブグリース皮下注」(一般名・レブリキズマブ)は抗IL-13抗体。薬価は同じ作用機序を持つレオファーマの「アドトラーザ皮下注」(トラロキヌマブ)を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定され、5%の小児加算がついた結果、オートインジェクター製剤、シリンジ製剤(いずれも250mg2mL)とも6万1520円となった。ピーク時(発売10年度)に266億円の売り上げを見込む。
迅速導入加算が初めて適用されたアレクシオンファーマの「ボイデヤ錠」(ダニコパン)は、補体D因子阻害作用を持つPNH治療薬。薬価は原価計算方式で算定され、10%の迅速導入加算のほか、有用性加算I(40%)と市場性加算I(10%)がついたが、原価の開示度で加算係数はゼロとなり、価格の上乗せは行われなかった。薬価は50mg1錠2259.20円で、ピーク時(4年度)の販売予測は5.3億円。
収載が了承された10成分のうち有用性加算Iがついたのは、ボイデヤのほかに3成分。▽アンジェスのハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群およびプロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチー治療薬「ゾキンヴィカプセル」(ロナファルニブ、加算率45%)▽Ultragenyx Japanのホモ接合体家族性高コレステロール血症「エヴキーザ点滴静注液」(エビナクマブ、40%)▽ブリストル・マイヤーズスクイブの骨髄異形成症候群に伴う貧血治療薬「レブロジル皮下注用」(ルスパテルセプト、45%)――で、このうちゾキンヴィとレブロジルは加算係数ゼロとなった。
アイリーア高濃度製剤、ピーク時351億円の販売予測
このほか4月17日付で薬価収載されるのは、
▽抗がん剤「ターゼナカプセル」(タラゾパリブトシル酸塩)=ファイザー
▽難治性脈管腫瘍・難治性脈管奇形治療薬「ラパリムス顆粒」(シロリムス)=ノーベルファーマ
▽抗てんかん薬「フィコンパ点滴静注用」(ペランパネル水和物)=エーザイ
▽加齢黄斑変性・糖尿病黄斑浮腫治療薬「アイリーア8mg硝子体内注射液」(アフリベルセプト)=バイエル薬品
▽全身型重症筋無力症「ヒフデュラ配合皮下注」(エフガルチギモド アルファ/ボルヒアルロニダーゼ アルファ)=アルジェニクスジャパン
アイリーア8mgは高濃度製剤で、ピーク時売上高予測は351億円と今回の収載10成分の中で最大。ヒフデュラは既存の「ウィフガート点滴静注」にボルヒアルロニダーゼを配合した薬剤。企業側は、投与時間の大幅な短縮と在宅自己注射による通院頻度の減少がアンメットニーズの改善につながるとして不服意見を出したが、薬価算定組織は投与頻度が週1回で静注製剤を変わらないことなどから「利便性が著しく高いとまでは判断できない」とし、有用性加算には該当しないとの見解を示した。