ノボノルディスク、LVMH抜き欧州時価総額トップに―肥満症薬の需要拡大が株価上昇後押し
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ロイター通信
（写真：ロイター）
［ロンドン ロイター］デンマークの製薬企業ノボノルディスクが9月1日、時価総額で欧州トップに立った。約2年半に渡って首位を守ってきた仏LVMHを抜いた。高級ブランド世界大手のLVMHは主要市場である中国経済の先行きに対する懸念の高まりが打撃となっている一方、ノボは糖尿病治療薬「オゼンピック」と肥満症治療薬「ウゴービ」の需要拡大が追い風となり、業績と株価がともに過去最高水準を記録している。
ノボの株価は、ウゴービが心血管イベントを抑制したとの臨床試験結果を公表した8月8日以降、約17%上昇した。リフィニティブのデータとノボが開示している株式数によると、1日終値の時点でノボの時価総額は非上場株式を含めて約4247億ドルに達した。
一方、LVMHの時価総額は4201億ドル。同社は2021年2月にスイスの食品・飲料会社ネスレを抜いて以来、欧州時価総額トップの座に君臨し続けてきた。
過去3年の株価上昇率を見てみると、LVMHが2倍になったのに対し、ノボは3倍になっている。フィデリティ・ヨーロピアン・ファンドとフィデリティ・ヨーロピアン・トラストの共同ポートフォリオマネジャー、マルセル・ストッツェル氏は「株価はノボの製品の最近の成功を反映している一方、LVMHの最近の動向はより複雑だ」と述べた。同氏によると、両銘柄は引き続きファンドの重要な保有銘柄だという。
ノボの株価は過去最高水準にあり、急成長する肥満症治療薬市場で先行者利益を確保した同社の戦略に対する投資家の評価を浮き彫りにしている。肥満症治療薬の市場は、今後10年以内に年間売上高が1000億ドルに達すると予想されている。バークレイズ証券によると、現在の売上高は年間約60億ドルだ。
カルミニャックの投資委員会メンバーであるアクセル・ピノン氏は、「市場シェアはノボとイーライリリーの主要2社が比較的均等に分け合うはずだ」と指摘する。ウゴービの類似薬であるリリーの「マンジャロ」は、今年後半に米国で肥満症治療薬としての承認を取得する見込みだ。
ノボの肥満症治療薬「ウゴービ」（ロイター）
ノボは8月8日、心臓病の既往歴のある肥満または過体重の人を対象に行った大規模臨床試験で、ウゴービが脳卒中などの主要な心血管イベントのリスクを20%低下させたと発表した。この結果は、より広範な保険適用に向けて保険会社や医療当局を説得する材料になるかもしれない。米国では、ウゴービを投与するのに1カ月あたり1300ドルの薬剤費がかかる。
カルミニャックのピノン氏は「この結果は、新規肥満症治療薬の今後の採用曲線のリスクを取り除き、そうした市場の動きを正当化するものだ」と語った。
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アナリストらは、株価上昇によってストックス欧州600指数に占めるノボのウエイトが高まる可能性があり、パッシブ投資家からの資金流入がさらに増えるかもしれないと指摘している。
中国経済減速への懸念はLVMHに対するセンチメントを悪化させている。中国政府によるゼロコロナ政策の緩和後、投資家の間では迅速な景気回復への期待が高まり、欧州高級ブランドの株価は今年初めに急騰した。しかし、最近の統計と不動産セクターの危機によって中国の経済見通しは悪化しており、中国人消費者への依存度が高い高級品セクターの重しとなっている。
シティ・インデックスのマーケット・アナリスト、フィオナ・シンコッタ氏は「予想を下回るデータが相次いでいる上、中国当局が大規模な景気刺激策の導入に消極的であることが、中国からの収益の大幅な伸びを期待する高級品小売業者の見通しに打撃を与えている」と語った。
9月1日、ノボの株価は2.14%上昇して取引を終えたが、LVMH株は0.8%下落した。LVMH株は4月につけた過去最高値から14.2%下げており、同じ期間で約2.2%下落したストックス欧州600指数を下回っている。ライバルであるコンパニー・フィナンシエール・リシュモン（スイス）の株価は4月以降17.9%下落し、エルメス（仏）も6.4%下げている。
（Lucy Raitano、Danilo MasoniAdditional、Samuel Indyk、Dhara Ranasinghe/編集： Amanda Cooper、Catherine Evans/翻訳：AnswersNews）
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