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【シミックに聞く】CROが「未経験モニター」を大量採用している理由

更新日

CROが未経験の臨床開発モニター(CRA)の採用を強化しています。その背景について、内資系大手CROシミックの小林正和・臨床事業本部長に聞きました。

 

――CROが未経験モニターの採用を強化しているのはなぜでしょうか。

単純にマーケット規模に対して人が足りていないからです。シミックの場合、受託案件が増えているということに加え、いわゆる優先契約を希望する製薬企業も増えていて、(必要なモニター数に)圧倒的に届いていない。おそらくほかのCROも似たような状況で、結果として人材の取り合いになっているのだと思います。

 

実は、シミックでは5年間ほど未経験モニターの採用を止めていて、2年ほど前に解禁しました。中途採用の市場に経験者が潤沢にいるわけではなく、採用が思うようにいっていなかったし、新卒採用を増やせるかというと、学生の数自体が大きく増えているわけではないのでなかなか難しい。そういった中でどうやって人を増やしていくかとなると、未経験者の中途採用を増やしていくしかなかったというのが実情です。

 

――実際、どれくらいの未経験者をモニターとして採用しているのですか。

来期(2024年9月期)の目標で言えば、中途採用としておおよそ100人くらいは採用したいと考えています。今後の人口構成の推移などを踏まえても、未経験者を積極的に採用してしっかり育成していかないと立ち行かなくなると思っています。

 

――未経験モニターとして入社する人は、前職ではどんな仕事をしていた人が多いですか。

かなり幅広いですが、看護師、薬剤師、臨床検査技師がトップ3です。MRも多いですし、CRC(治験コーディネーター)、臨床工学技師、放射線技師もいます。

 

――基本的には医療業界での経験がある人が対象になるということですね。

そうですね。医薬品産業はほかの業種とかなり違うところがあるので、医療現場での経験は重要です。医師をはじめ医療機関で働く人がどういう人か知っている、あるいは医療機関の中での動き方を知っているのはかなり大きいと思います。

 

――未経験者に対する教育はどのように行っていますか。

基本的には、入社した月に導入研修を行い、その後、認定に向けたトレーニングをしていくことになります。研修にはワークショップを積極的に取り入れていますし、OJTの確認項目もきめ細かく設定して丁寧に見ています。疾患領域によって多寡はありますが、認定取得後にも多くのトレーニングを設定しています。

 

かつては、中途採用者の受け入れは半期に1回あるいは四半期に1回でしたが、現在は結構な人数が入ってきてもらえるようになったので、基本的には毎月受け入れて導入研修を行っています。

 

中途未経験者の場合、認定取得までの期間は3カ月間を想定していますが、できれば2カ月くらいに短縮したいと考えています。たとえば、覚えなければならないことが10あったとして、10のトレーニングが終わったあとに認定を出すよりも、6~7くらいで認定を与えて、その後は実際に仕事をしながらやったほうが結果として身に付きやすいという面もあるので、来期はこのあたりも検討していきたいと思っています。

 

シミック臨床事業本部の小林正和本部長

 

――未経験からモニターとして入社して活躍できる人はどういう人ですか。

貪欲にいろんなオポチュニティに興味を持つ人。かつ、語学の勉強に抵抗がない人。語学については、医療機関での就業経験を優先している関係上、募集時に要件として定めることはしておらず、入社してから頑張ってもらえればOKとしています。初期の段階では読み書きができれば良いですが、リーダーをやろうと思うと海外との直接的なやりとりもありますので、きちんとコミュニケーションを取れるようになることが必要です。

 

社内にはネイティブの講師もいますし、枠はありますがコロナ禍で中断していた海外留学研修も復活します。国内の語学学校に通える制度もありますし、e-ラーニングも含めて会社としても学習の機会を提供しています。

 

ちなみに、治験国内管理人の受託件数でシミックは2位です。語学そのものに加えて、そうしたプロジェクトに関わる人向けのサポート体制も用意しています。

 

モニターにはいろんなタイプがいますし、それぞれが自分のスタイルを確立してくれれば良いと思っています。「こういうタイプのCRAになれ」と会社として言うつもりもありません。いろいろな顧客がいるので、いろいろなモニターがいたほうがマッチしやすい。

 

ただ、確実に向いていないと思うのは、患者と直接接することでしか喜びを感じられない人。モニターは基本的に患者と接することはありませんから。「大丈夫だと思います」と言って入社しても、「やっぱり違いました」と言う人はいます。医療機関からモニターへの転職を考えている人には、自分が何にやりがいを感じるのか、一度よく考えてもらえたらと思います。

 

――未経験者にはCRO間の違いがわかりにくい面もあると思いますが、転職先を選ぶ際に見るべきポイントはありますか。

世界ランキングで上位のCROの多くは日本法人を持っていますから、CROというとまず外資の日本法人を思い浮かべる人が多いと思います。外資はグローバルスタディが多いですが、世の中としてグローバルスタディが増えているので、内資だからといってグローバルスタディが少ないということはありません。

 

外資の日本法人の場合、本社(本国)が受託したグローバルスタディの日本パートを担当することが多いと思います。そうなると、日本法人としてこういう方向で受託を展開していきたいとか、こういう経験値を積みたいとか、この人にこういう経験をさせてあげたいといた観点で案件を選ぶ余地が少ないのではないかと思います。「グローバルスタディをやりたいから外資系CROに」という声はよく聞きますが、先ほどもお話した通り、全体としてほとんどの試験がグローバルスタディになっていますので、内資だからそれができないということはありません。むしろ、選択の余地を持った上でグローバルスタディを受託しているかということを違いとして考えてもらいたいと思っています。

 

その上で、内資系CROの中でどう違いを見出していくのかというのは難しい面もありますが、売り上げの地域構成を見ると日本市場に対する認識の違いが見えてくるかもしれません。

 

あとは、どんな学会にブースを出しているかに注目してみるのもいいでしょう。たとえば、シミックは米国臨床腫瘍学会(ASCO)にブースを出して今年で7年目になりますが、内資のCROでASCOに出展しているところはほかにありません。われわれがなぜASCOにブースを出しているかというと、海外から顧客を誘致するためであり、海外のベンチャーの治験を日本に誘致しようとしているからです。昨今、「ドラッグ・ラグ」「ドラッグ・ロス」が話題になっていますが、シミックは革新的な新薬を日本で開発してもらうためにASCOにブースを出しています。

 

ASCOにブースを出すには結構なお金がかかります。それでも出展できているのは、経営としてそういう方向性を持っているからです。ドラッグ・ラグ/ロスの問題はシミック1社が考えることではないのですが、何らかの形でその解消に貢献できればと思いますし、そうして誘致してきた治験に若い社員を関わらせてあげたいと思っています。ブースの出展は1つの例ですが、学会での活動や協賛の状況を見てみると、スタンスの違いが見えてくると思います。

 

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