欧米の大手製薬企業19社の2022年の決算を▽売上高・純利益▽研究開発費▽主力製品の売上高▽疾患領域・事業別売上高▽地域別売上高――5つの切り口からチャートで解説します。
【チャートで見る】欧米製薬大手2022年の決算
(1)売上高・純利益・研究開発費 |
増収増益19社中10社
欧米大手製薬企業19社の2022年の決算は、10社が増収増益、4社が減収減益となりました。
前年比で売上高の伸び率が最も大きかったのは、26%増となったデンマークのノボノルディスク。GLP-1受容体作動薬「オゼンピック」が前年比で77%増となり、高成長を牽引しました。増収率2位は、COVID-19ワクチン「コミナティ」の販売で総売上高が100億ドルを突破したファイザー(23%増)。免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」が伸びる米メルクが3位(22%増)でした。
純利益の伸び率が最も大きかったのは、2763%増の英アストラゼネカ。21年は構造改革費用がかさみ利益が落ち込みましたが、22年はその反動で大幅な増益となりました。増益率2位は英グラクソ・スミスクライン(206%増)、3位は米バイオジェン(96%増)でした。
減収減益となった4社は、スイス・ノバルティス、米ブリストル・マイヤーズスクイブ、米ギリアド・サイエンシズ、独ビオンテック。ノバルティスは71%の大幅減益となりましたが、これは保有していたスイス・ロシュの株式を21年に売却した反動によるものです。
研究開発費、4社が100億ドル超
2022年の決算で研究開発費が100億ドルを超えたのは、ロシュ、メルク、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(医薬品事業)、ファイザーの4社。売上高に占める研究開発費の割合が最も高かったのは、25%の米イーライリリーでした。
売上高に対する研究開発費の比率が20%を上回ったのは、リリーも含めて8社。ファイザーは114億ドルの研究開発費を計上しましたが、売り上げが膨らんだことで売上高費は11%にとどまっています。
19社のうち14社で前年から研究開発費が増えており、最も伸び率が大きかったのは米モデルナ(65%増)。ビオンテック(62%増)やノボノルディスク(35%増)、独ベーリンガーインゲルハイムも高い伸びとなりました。