厚生労働省は12月2日、今年9月取引分を対象に行った医薬品価格調査の結果、平均乖離率(医療用医薬品の市場実勢価格と薬価の差)が約7.0%(速報値)だったと発表した。調査結果は2回目の中間年改定となる2023年度薬価改定の基礎資料となる。乖離率が判明したことを受け、改定に向けた議論は年末にかけて大詰めを迎える。
23年度改定では、対象品目の範囲と適用ルールが焦点となっている。財務省は、全品目を対象にすべての改定ルールを適用する「完全実施」を主張。製薬業界は、特許期間中の新薬や医療錠の必要性の高い品目は対象から外すよう求めているほか、中間年改定は通常改定とは異なる位置付けだとし、21年度改定と同様に市場実勢価格に連動したルールに限定すべきと訴えている。
初の中間年改定となった21年度改定では、平均乖離率の0.625倍にあたる乖離率5%超の1万2180品目(全品目の69%)が対象となった。
今年の薬価調査は、2年前と同様に通常改定に向けた調査より規模を縮小して実施。乖離率は21年の前回調査から0.6ポイント縮小し、初の中間年改定に向けた前々回の調査(20年)を1.0ポイント下回った。
乖離率を投与形態別に見ると、▽内用薬8.2%(前回比0.6ポイント減)▽注射薬5.0%(0.6ポイント減)▽外用薬8.0%(0.1ポイント増)▽歯科用薬剤マイナス4.3%(1.9ポイント減)――。薬効群別では、高脂血症用剤(12.7%)、消化性潰瘍用剤(11.3%)、血圧降下剤(11.3%)などで乖離率が大きかった(いずれも内用薬)。
後発医薬品の数量シェアは約79.0%。昨年の前回調査と同じだった。