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アルツハイマー病薬レカネマブ、来年にも患者に…商業面には不確実性も

更新日

ロイター通信

(写真:ロイター)

 

[サンフランシスコ ロイター]エーザイは、開発中のアルツハイマー病治療薬レカネマブについて、日米欧で完全承認に向けた申請を行う計画だ。レカネマブは臨床試験で早期アルツハイマー病患者の認知機能の低下を遅らせる効果が確認されている。来年には患者に提供される可能性がある。

 

ただ、米バイオジェンと共同開発したこの薬がどの程度広く使われるかは不透明だ。保険適用、副作用、コストといった点で不確実性があるからだ。

 

ウィオール街のあるアナリストは、2024年まで測定可能な売り上げは期待できないと話している。価格については、年間2万ドル程度になるのではないかと推測する人もいる。

 

迅速承認、来年1月6日までに判断

アルツハイマー病協会のロバート・エッジ最高公共政策責任者は「米国でこの薬の対象となる人のほとんどは公的医療保険メディケアに加入しており、民間保険会社はメディケアの判断を参考に保険適用を決めている」とし、「(メディケアによる抗アミロイドβ抗体の保険適用制限は)この治療の恩恵を受けられるすべての人にとって大きな障害となっている」と指摘する。

 

エーザイは11月30日、抗アミロイドβプロトフィブリル抗体レカネマブの臨床第3相(P3)試験結果をアルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)で発表し、プラセボとの比較で認知機能の低下を27%抑制したことを報告した。発表では、脳浮腫や脳出血など副作用のリスクについても示された。

 

エーザイとバイオジェンはすでに米FDA(食品医薬品局)に迅速承認を申請しており、来年1月6日までに判断が示される見込みだ。エーザイのアイヴァン・チャン常務執行役はロイターとのインタビューで「新たなデータにより、その決定から数日以内に完全承認に向けた申請を行うことができるだろう」と語った。

 

グッゲンハイム・パートナーズのアナリスト、ヤティン・スネジャ氏は、レカネマブが来年後半に米国で完全承認を取得すると予想し、メディケアは完全承認を待って保険適用の条件を決定するだろうとの見通しを示している。

 

米国のアルツハイマー病患者のほとんどが加入しているメディケアは、迅速承認を受けた抗アミロイドβ抗体について、保険適用を臨床試験の参加者に限定し、アクセスを厳しく制限している。

 

米公的保険の対応は

エーザイのデピュティチーフクリニカルクオリティオフィサー、マイケル・イリザリー氏はCTADに先立つロイターの取材で、同社はアルツハイマー病治療薬の保険適用に関する方針の再検討について当局と協議してきたと述べた。

 

米国のメディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)が保険適用を決定するのにどれくらいの時間がかかるかは不明だ。イリザリー氏は、エーザイとCMSとの正式なプロセスはレカネマブが承認されないと始まらないと述べている。

 

RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ブライアン・アブラハムズ氏は、2024年のレカネマブによる売り上げ収入は限定的と予想。「CMSは来年後半の完全承認を待って(方針を)拡大し、レカネマブの保険適用を可能にする可能性がある」と話す。アブラハムズ氏は、米国では初年度に2万3000人の患者が投与を受け、31年には30万人以上に拡大すると見積もっている。

 

エーザイは、今年6月に発表したレカネマブの価値に関する調査で、同薬の中間段階の試験データに基づく米国での価格を年間9249ドルから3万5605ドルと試算している。レカネマブは、患者の体重に応じた用量を2週間ごとに投与する。

 

(Deena Beasley/Julie Steenhuysen/Raghav Mahobe/Leroy Dsouza/Ahmed Aboulenein /Caroline Humer、編集:Bill Berkrot、翻訳:AnswersNews)

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

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