2022年10月に米FDA(食品医薬品局)が承認した主な新薬と適応拡大をまとめました。
【新薬】抗CTLA-4抗体「Imjudo」や二重特異性T細胞誘導抗体「Tecayli」など
「Furoscix」米scファーマシューティカルズ
慢性うっ血性心不全治療薬「Furoscix」は、ループ利尿薬furosemideの皮下投与製剤。腹部に取り付けた注入器から5時間かけて薬剤を投与します。患者や介助者による皮下投与が可能なループ利尿薬は米国初。従来は、経口薬で効果が得られない患者は静注製剤を投与するため入院する必要がありました。
「Imjudo」英アストラゼネカ
「Imjudo」(一般名・tremelimumab)は、免疫チェックポイント阻害薬の抗CTLA-4抗体。切除不能な肝細胞がんを対象に、抗PD-L1抗体「Imfinzi」(durvalumab)との併用療法が承認されました。承認の根拠となった臨床第3相(P3)試験では、ソラフェニブ単剤療法に比べて死亡リスクを22%低下。米国では、非小細胞肺がんでも併用療法を申請済みで、日本と欧州でも肝細胞がんと非小細胞肺がんの適応で申請中です。
「Tecayli」米ヤンセン・バイオテック
「Tecayli」(teclistamab)は、再発・難治性の多発性骨髄腫治療薬として迅速承認を取得しました。プロテアソーム阻害薬と免疫抑制剤、抗CD38抗体を含む4つ以上の前治療を受けた患者が対象です。骨髄腫細胞に発現するBCMAとT細胞表面のCD3に結合する二重特異性抗体で、T細胞を骨髄腫細胞に誘導し、免疫を活性化する作用を持ちます。欧州でも今年8月に承認されました。
【適応拡大】「Rinvoq」のnr-axSpAや「Cotellic」の組織球性腫瘍など
「Oxlumo」米アルナイラム
原発性高シュウ酸尿症1型(PH1)に対するRNAi治療薬「Oxlumo」(lumasiran sodium)は、尿中シュウ酸濃度を低下させる効果に加えて、血漿シュウ酸濃度を低下させる効果が添付文書に追加されました。承認は腎機能が低下したPH1患者を対象に行ったP3試験の結果に基づくもので、今回の承認により血液透析が必要な進行した患者にも使用できるようになりました。欧州でも近く同様の承認が得られる見通しです。
「Rinvoq」米アッヴィ
1日1回投与の経口JAK阻害薬「Rinvoq」(upadacitinib)は、新たにX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)に適応拡大。TNF阻害薬で効果不十分か不耐の患者が対象です。nr-axSpAの適応では、欧州でも今年7月に承認されており、日本でも3月に申請しています。
「Cotellic」米ジェネンテック
MEK阻害薬「Cotellic」(cobimetinib)は、成人の組織球性腫瘍に対する単剤療法への適応拡大が承認されました。同薬は2015年、BRAF変異陽性の切除不能・転移性悪性黒色腫に対するBRAF阻害薬vemurafenibとの併用療法で最初の承認を取得。欧州でも同じ適応で承認されています。