中央社会保険医療協議会(中医協)総会は4月13日、アムジェンの肺がん治療薬「ルマケラス錠」やアルジェニクスジャパンの全身型重症筋無力症治療薬「ウィフガート点滴静注」など新薬8成分11品目の薬価収載を了承した。収載は4月20日。ブリストル・マイヤーズスクイブの抗BCMA CAR-T細胞療法「アベクマ点滴静注」も再生医療等製品として同日付で薬価収載される。
原価開示度50%未満で加算ゼロ 2新薬に初適用
KRAS G12C阻害薬「ルマケラス錠」(一般名・ソトラシブ)は国内初のKRAS阻害薬で、適応は「がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」。薬価はALK阻害薬「アルンブリグ」(ブリグチニブ)を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定された。新規の作用機序を持ち、国内外の診療ガイドラインで推奨されていることから有用性加算I(加算率35%)がつき、薬価は120mg1錠4204.30円(1日薬価3万3634.40円)となった。ピーク時に23億円の売り上げを見込む。
「ウィフガート点滴静注」(エフガルチギモド アルファ)は、胎児性Fc受容体を標的とした抗体フラグメント製剤。薬価は原価計算方式で算定され、有用性加算II(5%)と市場性加算I(10%)がついたが、原価の開示度が50%を下回ったため加算係数がゼロとなった。この日収載が了承された新薬では、イドルシアファーマシューティカルスジャパンのエンドセリン受容体拮抗薬「ピヴラッツ点滴静注液」(クラゾセンタンナトリウム)も開示度50%未満で加算係数がゼロとなり、実質的に加算が適用されなかった。原価の開示度が50%未満の新薬の加算係数をゼロとするルールは2022年度の薬価制度改革で導入され、今回が初の適用となる。
ピーク時100億円超は4新薬
このほか、4月20日付で薬価収載されるのは、
▽片頭痛治療薬「レイボー錠」(ラスミジタンコハク酸塩)=日本イーライリリー
▽慢性咳嗽治療薬「リフヌア錠」(ゲーファピキサントクエン酸塩)=MSD
▽乾癬治療薬「ビンゼレックス皮下注」(ビメキズマブ)=ユーシービージャパン
など。
レイボーとビンゼレックスには有用性加算II(5%)がついた。ウィフガートはピーク時に377億円の売り上げを見込むほか、リフヌア(160億円)、ピヴラッツ(138億円)、ビンゼレックス(120億円)も100億円超の販売を予測している。
新薬創出・適応外薬解消等促進加算が適用されるのは、レイボー、ルマケラス、ピヴラッツ、ビンゼレックス、ウィフガートの5成分。リフヌア、ピヴラッツ、ビンゼレックス、ウィフガートの4成分は費用対効果評価の対象となった。
再生医療等製品では、国内4つ目のCAR-T細胞療法となるブリストル・マイヤーズスクイブの「アベクマ点滴静注」(イデカブタゲン ピクルユーセル)の収載が了承された。BCMAを標的とするCAR-T細胞療法は国内初で、多発性骨髄腫に対する初のCAR-T細胞療法。薬価は「キムリア」(チサゲンレクルユーセル)を最類似薬とする類似薬効比較方式で算定され、キムリアと同額の1患者あたり3265万7761円となった。ピーク時に49億円の販売を見込む。