海外大手製薬の2021年12月期決算のハイライトをまとめました。為替レートは決算発表日(またはその翌日)。随時更新(最終更新4月6日)。
米ファイザー(2月8日発表)
【売上高】812億8800万ドル(約9兆3481億円、前期比95%増)
【純利益】219億7900万ドル(140%増)
新型コロナウイルスワクチンは、367億8100万ドルを売り上げ、売上高全体の45%を占めた。22年12月期は売上高980億~1020億ドルを予想。新型コロナワクチンが320億ドル、抗ウイルス薬パクスロビドが220億ドルの売り上げを見込む。
スイス・ロシュ(2月3日発表)
【売上高】628億100万スイスフラン(約7兆8187億円、前期比8%増)
【コア営業利益】218億9700万スイスフラン(2%増)
医薬品事業の売上高は1%増の450億4100万スイスフラン(5兆6076億円)。多発性硬化症治療薬「Ocrevus」(50億5500万スイスフラン、19%増)や血友病A治療薬「ヘムライブラ」(30億2200万スイスフラン、41%増)などが伸び、「アバスチン」や「リツキサン」のバイオシミラー浸透による減収影響を補った。傘下の中外製薬は、売上高9997億5900万円(27.0%増)、営業利益4218億9700万円(40.1%増)。22年12月期は恒常為替レートで1~5%の増収を見込む。
米アッヴィ(2月2日発表)
【売上高】561億9700万ドル(約6兆4000億円、前期比22.7%増)
【営業利益】179億2400万ドル(57.7%増)
20年5月のアラガン買収が通年で寄与。乾癬治療薬「スキリージ」(29億3900万ドル、84.9%増)やJAK阻害薬「リンヴォック」(16億5100万ドル、2倍超)などが伸長し、「ヒュミラ」へのバイオシミラー参入の影響をカバーした。22年12月期は、希薄化後EPS(1株当たり純利益)で43.6~46.7%のプラス成長を予想。
米ジョンソン・エンド・ジョンソン(1月25日発表)
【医薬品事業売上高】520億8000万ドル(約5兆9892億円、前期比14.3%増)
多発性骨髄腫治療薬ダラツムマブ(60億2300万ドル、43.8%増)や乾癬・クローン病治療薬「ステラーラ」(91 億3400万ドル、18.5%増)、血液がん治療薬イブルチニブ(43億6900万ドル、5.8%増)などが2桁増収に貢献。新型コロナワクチンの売上高は23億8500万ドルだった。他事業を含む全社の売上高は937億7500万ドル(13.6%増)、純利益は208億7800万ドル(41.9%増)。22年12月期は全社で売上高989億~1004億ドルを予想。新型コロナワクチンは30~35億ドルの売り上げを見込む。
スイス・ノバルティス(2月2日発表)
【売上高】516億2600万ドル(約5兆9370億円、為替影響を除く前期比4%増)
【営業利益】116億8900万ドル(13%増)
乾癬治療薬「コセンティクス」(47億1800万ドル、17%増)や心不全治療薬「エンレスト」(35億4800万ドル、40%増)などが好調。22年12月期は売上高、コア営業利益の両方で1桁台半ばの成長を見込む。
米メルク(2月3日発表)
【売上高】487億400万ドル(約5兆6010億円、前期比17%増)
【純利益】123億4500万ドル(173%増)
免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」が売上高比35%の171億8600万ドル(20%増)を売り上げたほか、HPVワクチン(44%増)や筋弛緩回復薬「ブリディオン」(28%増)が伸長した。新型コロナ治療薬モルヌピラビルは、11月の英国承認から約2カ月で9億5200万ドルを販売。22年12月期の売上高予想は561億~576億ドルで、モルヌピラビルは50億~60億ドルを予想する。
英グラクソ・スミスクライン(2月9日発表)
【売上高】341億1400万ポンド(約5兆3500億円、為替影響を除く前期比5%増)
【営業利益】62億100万ポンド(9%減)
医薬品事業の売上高は10%増の177億2900万ポンド(2兆7800億円)で、新型コロナに対する中和抗体「ゼビュディ」は9億5800万ポンドを売り上げた。ワクチンアジュバントの売り上げは4億4700万ポンド。22年12月期は、新型コロナ関連を除いて売上高で5~7%増、調整後の営業利益で12~14%増を見込む。
米ブリストル・マイヤーズスクイブ(2月4日発表)
【売上高】463億8500万ドル(約5兆3300億円、前期比9%増)
【純利益】70億1400万ドル(前期は89億9500万ドルの損失)
抗凝固剤「エリキュース」(107億6200万ドル、17%増)や抗がん剤「レブラミド」(128億2100万ドル、6%増)が好調だったほか、免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」が前期比8%増の75億2300万ドルを売り上げた。22年12月期は470億ドル程度の売り上げを予想。
仏サノフィ(2月4日発表)
【売上高】377億6100万ユーロ(約4兆9800億円、前期比4.8%増)
【純利益】62億2300万ユーロ(49.4%減)
抗IL-4/13抗体「デュピクセント」が前年比48.5%増の52億4900万ユーロに売り上げを伸ばし、糖尿病治療薬(3.3%減)の落ち込みをカバー。日本事業の売上高は16億5700万ユーロ(恒常為替レートで1.7%増)。22年12月期は、調整後EPS(1株当たり利益)で2桁台前半の成長を見込む。
英アストラゼネカ(2月10日発表)
【売上高】374億1700万ドル(約4兆3200億円、前期比41%増)
【営業利益】10億5600万ドル(80%減)
EGFR阻害薬「タグリッソ」(50億1500万ドル、16%増)やSGLT2阻害薬「フォシーガ」(30億500万ドル、53%増)など主力品が好調。新型コロナワクチン「バキスゼブリア」は39億8100万ドルを売り上げた。日本の売上高は34%増の34億9800万ドル。22年12月期は、売上高で10%台後半の伸びを予想する。
米イーライリリー(2月3日発表)
【売上高】283億1840万ドル(約3兆2567億円、前期比15%増)
【営業利益】63億5710万ドル(5%増)
乾癬治療薬「トルツ」(22億1280万ドル、24%増)やSGLT2阻害薬「ジャディアンス」(14億9080万ドル、29%増)、抗がん剤「ベージニオ」(13億4990万ドル、48%増)などが牽引。新型コロナに対する抗体医薬は22億3920万ドルを売り上げた。22年12月期の売上高予想は278億~283億ドル。
米ギリアド・サイエンシズ(2月1日発表)
【売上高】273億500万ドル(約3兆1401億円、前期比11%増)
【営業利益】99億1800万ドル(144%増)
新型コロナ治療薬「ベクルリー」が55億6500万ドル(98%増)を売り上げ、業績を牽引した。22年12月期は製品売上高238億~243億ドル(21年12月期は270億800万ドル)と減収を予想。ベクルリーは20億ドルの売り上げを見込む。
米アムジェン(2月7日発表)
【売上高】259億7900万ドル(約2兆9900億円、前期比2%増)
【営業利益】76億3900万ドル(16%減)
米イーライリリーとの提携で製造する新型コロナに対する中和抗体の販売が拡大し、業績を支えた。主力の抗RANKL抗体「プラリア」(32億4800万ドル、18%増)や乾癬治療薬「オテズラ」(22億4900万ドル、2%増)が伸びた一方、自社製品は全体として価格の落ち込みで横ばいだった。2021年12月期の売上高予想は254億~265億ドル。
独ベーリンガーインゲルハイム(4月5日発表)
【売上高】206億ユーロ(約2兆6751億円、為替調整後で前期比7.5%増)
【営業利益】47億ユーロ(1.8%増)
医療用医薬品の売上高は153億ユーロ(8.4%増)で、全社売上高の74%を占めた。主力のSGLT2阻害薬「ジャディアンス」は28.6%増の39億ユーロ、抗肺線維化薬「オフェブ」は25億ユーロ(25.4%増)を売り上げた。日本の医療用医薬品売上高は13億ユーロ(7.1%増)。2022年12月期は、調整後の売上高で微増を見込む。
独ビオンテック(3月30日発表)
【売上高】189億7670万ユーロ(約2兆5800億円、前期比約39倍)
【純利益】102億9250万ユーロ(677倍)
米ファイザーと共同開発した新型コロナウイルスワクチン「コミナティ」は、売上総利益シェア143億5210万ユーロ、販売マイルストン4億7660億ユーロを計上した。2022年12月期は、同ワクチン関連で130~170億ユーロの収益を予想する。
デンマーク・ノボノルディスク(2月4日発表)
【売上高】1408億デンマーククローネ(約2兆5300億円、前期比11%増)
【営業利益】586億4400万デンマーククローネ(8%増)
糖尿病向けのGLP-1受容体作動薬が535億9700万デンマーククローネ(28%増)を売り上げ、売上高全体の38%を占めた。このほか、肥満症治療薬(84億デンマーククローネ、50%増)なども業績を牽引。22年12月期は、為替影響を除いて売上高で6~10%、営業利益で4~8%の成長となる見通し。
独バイエル(3月1日発表)
【医薬品事業売上高】183億4900万ユーロ(約2兆3303億円、前期比6.4%増)
【特別項目計上前のEBITDA】57億7900万ユーロ(3.9%減)
抗凝固薬「イグザレルト」(4.9%増の47億3500万ユーロ)や眼科用VEGF阻害薬「アイリーア」(18.2%増の29億1800万ユーロ)などが売り上げ成長を牽引した一方、新製品の販売費用や研究開発費の増加によって利益は減少した。22年12月期は、通貨調整後の予想として3~4%の増収を見込んでいる。
米モデルナ(2月24日発表)
【売上高】184億7100万ドル(約2兆1242億円、前期比23倍)
【営業利益】132億9600万ドル(前期は7億6300万ドルの赤字)
新型コロナウイルスワクチンが177億ドルを売り上げ、業績を大きく伸ばした。同社は2022年の供給分として各国政府と計190億ドルの購入契約を結んでいる。
米ヴィアトリス(2月28日発表)
【売上高】178億8630万ドル(約2兆569億円)
【営業損失】3400万ドル(前期は2億1000万ドルの損失)
勃起不全治療薬「バイアグラ」や高コレステロール血症治療薬「リピトール」などが堅調。ほぼマイランの売り上げだけを計上した昨期からは51%の増収となったが、統合前の合算に比べると3%減だった。2022年12月期は、売上高170~175億ドルと減収を予想。バイオシミラー資産をインドのバイオコン・バイオロジクスに売却することで下期に約33億3500万ドルを取得する予定だとしている。
イスラエル・テバ(2月9日発表)
【売上高】158億7800万ドル(約1兆8339億円、前期比5%減)
【営業利益】17億1600万ドル(前期は35億7200万ドルの損失)
米国や日本で後発医薬品が減収となったことや、多発性硬化症治療薬「コパキソン」(10億500万ドル、24.8%減)の落ち込みが響いた。22年12月期の売上高は、156~162億ドルを見込む。
米バイオジェン(2月3日発表)
【売上高】109億8200万ドル(約1兆2600億円、前期比18%減)
【純利益】17億2760万ドル(57.5%減)
多発性硬化症治療薬(70億8800万ドル、18%減)や脊髄性筋萎縮症治療薬「スピンラザ」(19億500万ドル、7%減)など主力品が振るわなかった。昨年6月に米国で承認されたアルツハイマー病治療薬「アデュヘルム」の売り上げは300万ドル。22年12月期は売上高97~100億ドルで3期連続の減収を予想する。