2021年3月末時点の国内のMR数は5万3586人で、前年の同じ時期から3572人減ったことが、MR認定センターのまとめでわかりました。減少幅は過去最大で、ピークの13年度と比べると1万2000人減っています。
INDEX
ピークから1万2000人減少
MR認定センターが公表した2021年版の「MR白書」によると、20年度(21年3月31日時点)の国内のMR数は5万3586人で、前年度から3572人(6.2%)減りました。減少は7年連続で、ピークの13年度(6万5752人)と比べると1万2166人、率にして18.5%減っています。
MRの減少は17年度までは比較的穏やかでしたが、18年度は2533人減、19年度は2742人減、そして20年度は3572人減と、直近3年間は減少に拍車がかかっています。20年度は管理職(マネージャー)の数も大きく減少し、前年度比469人(5.4%)減の8248人となりました。
薬価引き下げや後発医薬品の普及を背景に、国内市場の収益環境は厳しくなっており、製薬各社はここ数年、営業の効率化に力を入れています。新薬開発のターゲットが変化し、各社がスペシャリティ領域の製品に力を入れる中、医師への訪問回数を競うような営業手法は鳴りを潜めました。昨年から続くコロナ禍では、医療機関からの訪問自粛要請もあり、情報提供活動がオンラインへとシフト。デジタル化が進み、MRの削減が加速しました。
1人あたり売り上げは上昇
IQVIAが集計・発表している国内医療用医薬品市場の販売金額をMR数で割り、MR1人あたりの売り上げを算出すると、15年度の1億6898万円から20年度は1億9310万円へと2412万円(14.3%)上昇しました。この間、市場は10.84兆円から10.35兆円へと約5000億円減っており、市場が縮小する中で各社が効率化を急速に進めてきたことがうかがえます。
MR数の推移を、内資製薬企業/外資製薬企業/CSOの別に見ると、20年度は内資が3万1501人で前年度から1962人(5.9%)減、外資が1万8101人で1610人(8.2%)減。CSOも6人(0.2%)増の3923人と横ばいでした。
MRの削減は外資で先行していましたが、ここ3年ほどは内資でも営業体制の見直しが進んでいます。20年度は、武田薬品工業や日本ケミファが早期退職を実施。今年も、アステラス製薬が450人の早期退職者を募集しています。
採用も低調
20年度はMRの採用も低調でした。
MR認定センターに登録している199社(製薬企業184社、CSO14社、卸1社)のうち、今春の新卒採用を行ったのは83社と全体の41.7%にとどまり、57.8%にあたる115社は新卒採用を行いませんでした。7年前は半数を超えていた新卒採用実施企業は年々減少しており、外資で今年新卒を採用した企業は全体の3割を下回りました。
20年度に中途採用を行った企業は113社(前年度比17社減)で、全体に占める割合は前年度から8.2ポイント減。正社員として採用した企業は98社(16社減)、契約社員として採用した企業は39社(11社減)で、いずれも前年度を下回りました。
中途採用者の前職を見てみると、製薬他社のMRを採用した企業が74.3%と最も多く、コントラクトMR(48.7%)、特約店関係者(卸のMSなど、12.4%)、他業界(15.9%)と続きました。
新型コロナウイルスの感染状況は全国的に落ち着きを見せているものの、仮にコロナが終息したとしても、MR活動は以前のような対面中心には戻らないとの見方が大勢です。今後は対面とデジタルをどう組み合わせていくかがカギになりそうで、各社で最適解を模索する動きが続きます。