1. Answers>
  2. AnswersNews>
  3. キャリア>
  4. 「新薬が出ない」「年収が低い」…中堅製薬企業にいる人が転職を考える際のポイント|転職エージェントのキャリア談義
キャリア

「新薬が出ない」「年収が低い」…中堅製薬企業にいる人が転職を考える際のポイント|転職エージェントのキャリア談義

更新日

製薬業界で働く人のキャリアや働き方に関する話題のあれこれを、製薬業界専門転職エージェント「Answers」「MRBiZ」(運営=株式会社クイック)のコンサルタントとAnswersNews編集長が語らいます。

 

「会社への不安」と「キャリアへの不安」

前田雄樹(AnswersNews編集長):長期収載品の収益力低下を背景に、国内の中堅製薬企業の業績停滞が鮮明になっています。

 

昨年夏に掲載したAnswersNewsの記事で、国内の東証1部上場製薬企業28社を「売上高6000億円以上」「売上高1000億円以上6000億円未満」「売上高1000億円未満」の3つに分類し、2010~14年度と15~19年度の売上高成長率を比べてみたんですが、上位2つの区分では15~19年度のほうが成長率が高かったのに対し、下位の区分はプラス11.4%からマイナス7.9%へと成長率が大きく落ち込んでいました。

 

薬価制度の見直し、新薬創出の停滞、国内中心の事業構造などが背景にあると考えられます。中堅の製薬企業に勤めている人も、こうした状況に対して不安を持っているのではないでしょうか。

 

香本牧子(株式会社クイック ヘルスケアチーム コンサルタント):会社によっても状況は異なると思いますが、確かに「パイプラインがない」「新薬がない」といったことに漠然とした不安を抱えている人は多いと思います。

 

加えて、そうした会社の状況に起因する「経験の不足」や「専門性の不足」に悩んでいる人も少なくありません。製薬企業の場合、新薬がない、あるいはパイプラインがないと積めない経験がありますよね。臨床開発の人はもちろんですが、例えばマーケティングでも上市経験がないとか、薬事でも開発薬事の経験が不足しているとか。さらに、中堅企業の場合、大手のように組織が細分化されていないので、いろんな業務は経験しているけど1つ1つは浅くなってしまいがちです。

 

前田:会社とキャリア、2つの軸で悩むポイントがあるということですね。

 

香本:そうです。あとは、大手に比べて年収が低いとか、上が詰まっていてなかなか昇進・昇格できない、といった不満を訴える人ももちろんいます。特に若手層の場合、大手に入社した大学・大学院時代の友人から話を聞いて、「周囲と比べて自分の年収は低い」「もっといい環境がありそうだ」などと考えることも多いと思います。

 

転職の相談に来る人を見ていると、会社に対する漠然とした不安を訴える人と、キャリアに関して明確な考えを持っている人で、二極化している印象があります。後者は「今の会社だとこういう経験が積めないので、そういう経験が詰める会社に行きたい」「自分で英語を勉強していて、グローバルな環境で経験を詰める会社に行きたい」といった感じですが、私自身の感覚としては、前者の方が多いのではないかと思っています。

 

最終ゴールまでの道筋を描くことが大切

前田:中堅製薬にいる人が転職活動をしようとする際、経験や専門性の不足はネックになりますか?

 

香本:その人の経験や専門性とマーケットとの間でギャップが生じるケースはあり、選択肢が限られてしまうことも少なくありません。一方で、中堅企業の場合、大手と比べて早くから経験を積めるというメリットがあります。実際、「その年齢でそこまで経験している人はなかなかいない」と高く評価され、中堅から大手に転職していく人もいます。

 

前田:中堅製薬にいる人が、転職活動をしたり、キャリアについて考えたりする際、ポイントとなるのはどんなことですか?

 

香本:1つは、会社に対して感じている不安を、他社と比べながらあらためて整理してみることです。大手への転職を希望する人も多いですが、早期退職が行われていることも含め、大手なら安心というわけでは必ずしもありません。自分は何を重視したいのかということとあわせて考えてみるといいのではないかと思います。

 

もう1つは、最終ゴールまでの道筋を描くことです。先ほどもお話ししましたが、中堅製薬企業にいる人の場合、希望する会社やポジションと現在の経験値や専門性が乖離していることが少なくありません。最初から希望をすべて叶えようとするのではなく、それに必要な経験を積めるステップを挟んで、最終的なゴールを目指すという考え方が重要になります。

 

必要な経験を補完するための転職、あるいは、広く浅い経験の中から何か1つ強みをつくるための転職。いずれにしても、中長期的な視点でキャリアを考えることが大切です。

 

香本牧子●理系大学を卒業後、人材業界に入り、一貫して製薬業界を担当。現在は、ヘルスケアチームのマネージャーを務めながら、プレイヤーとしても採用支援・転職支援を行っている。

あわせて読みたい

メールでニュースを受け取る

  • 新着記事が届く
  • 業界ニュースがコンパクトにわかる

オススメの記事

人気記事

【無料】製薬業界専門転職サポート

【無料】製薬業界専門転職サポート

製薬業界専任のコンサルタントが、悩みや不安を元にキャリアについてアドバイスさせていただきます。
まずはお気軽にお申し込みください。

詳しくはこちら