厚生労働省は12月2日、今年9月取引分を対象に行った医薬品価格調査の結果、平均乖離率(医療用医薬品の市場実勢価格と薬価の差)が約8.0%(速報値)だったと発表した。調査結果は、初の中間年改定となる2021年度薬価改定の基礎資料となる。
調査結果は、同日の中央社会保険医療協議会(中医協)薬価専門部会で報告された。乖離率が判明したことを受け、中間年改定の枠組みをめぐる議論は年末に向けて大詰めを迎える。最大の焦点である対象品目の範囲をめぐっては、財務省の財政制度等審議会が「毎年改定の初年度にふさわしい改定を実現すべき」とし、すべての品目を対象とするよう主張。製薬業界側は、乖離率が著しく大きい品目に限定するよう求めている。
今年の薬価調査は、新型コロナウイルス感染症による医療現場への負担を考慮し、対象を縮小して実施。乖離率は昨年(8.0%)と同水準だったが、消費増税に伴う薬価改定に向けた2年前の調査(7.2%)は上回った。
乖離率を投与経路別に見ると、▽内用薬9.2%▽注射薬5.9%▽外用薬7.9%――。歯科用薬剤は市場実勢価格が薬価を0.3%上回った。薬効群別では、高脂血症用剤(13.8%)、その他アレルギー用薬(13.6%)、血圧降下剤(12.1%)、消化性潰瘍用剤(11.7%)などで大きかった(いずれも内用薬)。
後発医薬品の使用割合は約78.3%。昨年の調査(76.7%)から1.6ポイント上昇した。