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米大統領選、薬価引き下げに備え民主党支持へと傾く製薬業界

更新日

ロイター通信

[ニューヨーク ロイター]長らく共和党を支持してきた米国の製薬業界は、民主党が政権を握った場合に備え、政治献金の半分近くを同党の大統領候補に提供している。薬価引き下げの脅威から逃れるためだ。

 

米政治資金監視団体センター・フォー・レスポンシブ・ポリティクス(CRP)のデータによると、業界の政治活動委員会(PAC)は今年、米国の2大政党に約1300万ドルの献金を行っており、うち54%が共和党、46%が民主党に配分されている。

 

これは、3分の2近くが共和党に流れた2016年と比べると急激な変化だ。18年の中間選挙でも、業界の献金が民主党にシフトすることはなかった。

 

製薬業界の上級幹部は共和党支持だが、労働者の献金は民主党に傾いており、同党のジョー・バイデン氏を支持していることがデータで明らかになっている。バイデン氏は11月3日の大統領選前の最後の全国世論調査で、現職である共和党のドナルド・トランプ氏をリードしている。

 

製薬業界の変化は、民主党が下院での勢力を拡大し、上院でも主導権を獲得する可能性があるという共通認識を反映している。民主党は、高齢者向け公的医療保険であるメディケアから支払われる医薬品の費用を削減しようとしており、製薬企業はこれを阻止しようとしていると複数の業界関係者は語った。

 

米国の医療政策を専門とするアリゾナ州立大法学部のデビッド・ガートナー教授は、「彼らの関心は、勝つ可能性の高い候補者に資金を提供することだ」と指摘しているが、それは、製薬業界の立場に反対の議員に貢献することになるかもしれない。

 

今年初めに打ち出された薬価抑制策は上院共和党によって阻まれたが、仮にこれが実現していたとしたら、製薬企業のメディケアからの収入は、この10年代末までに3000億ドル以上減少していたと米議会予算局は試算している。

 

トランプ氏は、医薬品の価格引き下げを狙ったいくつかの大統領令を出した。しかし、専門家によると、その影響は法的な課題などによって限定的なものとなり、民主党議会は製薬業界にとってより深刻なチャレンジをする可能性があるという。

 

支持をシフト

今年最大の製薬業界からの政治献金は、ファイザー、アムジェン、アッヴィ、ジョンソン・エンド・ジョンソンからのもので、これらはすべて16年から20年の間に民主党に資金をシフトさせている。最も変化が大きいのはファイザーで、16年には資金の63%を共和党に配分していたが、20年にはそれが51%まで減少した。

 

民主党が下院で勢力を握った18年の選挙では、製薬業界の政治資金1700万ドル超のうち57%が共和党に渡った。過去8年の選挙を振り返っても、製薬企業の政治活動は共和党に傾いていた。

 

カリフォルニアやマサチューセッツ、ニューヨークなど民主党支持者の多い地域では、製薬企業の従業員も民主党を支持する傾向にある。データによると、これらの地域に住む製薬企業の従業員は4対1の割合でバイデン氏を支持しており、150万ドルから600万ドルの献金をしている。

 

一方、経営のトップ層は共和党に傾いている。ロイターの調査によると製薬企業幹部は2対1の割合で共和党を支持しており、献金は15万ドル以上が共和党、7万5000ドルが民主党に流れている。専門家によると、個人献金は個人の政治的傾向を反映する傾向がある。

 

CRPのデータによると、医療業界全体をカバーするより広範な個人献金の指標では、トランプ氏が6000万ドル、バイデン氏が5400万ドルを受け取っている。

 

トランプ政権には、規制上の決定に政治的な問題を持ち込んでいるという懸念があり、それは間接的に製薬業界の評判を傷つける可能性がある。しかし、米国の医療政策の専門家であるアーロン・ケッセルハイム氏は「それは、優勢と思われる政党に好意を示すために行っている政治献金とはあまり関係がないのではないか」と話している。

 

(Carl O’Donnell/翻訳:AnswersNews)

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