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トランプ大統領が提案した「国際薬価指標による薬価引き下げ」はどうなった?|DRG海外レポート

米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。米国のトランプ大統領が2018年10月に提案した、他国の薬価を参考にメディケアでの医薬品への支払い額を決める「国際薬価指標(IPI)規則」。提案から1年以上たちますが、今どうなっているのでしょうか。

 

(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

一般教書演説で触れず

米国のトランプ大統領が2月4日に行った一般教書演説は、いわゆる「国際薬価指標(IPI)規則案」の執行に対する圧力の低下を示唆するものとなった。演説の中で大統領は、医薬品の価格を引き下げるための議会行動の推進に焦点を当てた一方、IPIには言及しなかった。

 

トランプ大統領が2018年に提案したIPI規則案は、患者の薬剤費用負担の抑制が目的。メディケア・パートBによる医薬品の支払いに限り、米国の平均販売価格を下回ることが多い他国の薬価に基づいて価格設定を行うというものだ。

 

America_Pharmaceutical_Pricing_01

 

薬価抑制を狙った連邦医療法案は数あるが、中でも2つの法案の競り合いが薬価設定を連邦レベルで幅広く議論する原動力となっている。

 

1つは、2019年にすでに下院を通過した「Elijah E. Cummings Lower Drug Costs Now Act」で、一定の薬剤を対象にIPIを使って連邦政府が直接、価格交渉を行うよう求めている。もう1つは、上院に提出されている「Prescription Drug Pricing Reduction Act」。この法案は、メディケアによる直接の価格交渉は求めてはいないが、薬価の上昇が物価の上昇を上回った場合、メディケア・パートBおよびパートDがカバーする医薬品について、メーカーに払い戻しを求めている。こちらはまだ上院での採決には至っていない。

 

議会に圧力をかけるツール

一方、19年中に明らかになるとみられていたIPI規則案の詳細についてははっきりせず、2020年に入ってもその状態が続いている。実際、米保健福祉省のアレックス・アザー長官は2月6日に行った省務に関する年次演説の中で、IPIには言及しなかった。ただ、IPI規則案の実現可能性は、議会に対して薬価改革に取り組むよう促すためのツールとして今も残っている。

 

IPI規則案が導入に至るかどうかは微妙だ。導入には公式のパブリックコメントを経ることが必要だが、メディケア・パートBの支払いが大幅にカットされることを恐れるプロバイダーや製薬企業による反発が強まるからだ。

 

America_Pharmaceutical_Pricing_02

 

議論が長引くほど、IPI規則案は大統領選挙をめぐる政治論争に引きずり込まれる公算が高まる。大統領の一般教書演説と保健福祉省長官の演説で言及されなかったという事実は、IPIが近い将来に実現して医療業界に影響を与えるものではなく、議会を刺激するためのツールであり続けることを示唆している。

 

薬価抑制の取り組みは大統領選の大きな争点だ。議会で検討されている法案と絡めてIPIを注視していく必要がある。今回の大統領選の結果は、向こう数年間の米国の医療政策の先行きに大きな影響を及ぼすことになる。

 

(原文公開日:2020年2月27日)

 

この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。

 

【記事に関する問い合わせ先】
ディシジョン・リソーシズ・グループ日本支店
齋藤(コマーシャルエクセレンス ディレクター)
E-mail:ssaito@teamdrg.com
Tel:03-6625-5257(代表)

 

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