米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。医薬品の供給不足と価格上昇に対応するために設立された非営利後発医薬品メーカー「CivicaRx」が、米国の医薬品市場で存在感を高めています。
(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら)
供給不足と価格上昇に対応
2018年設立の後発医薬品メーカー「CivicaRx」が、米国の医薬品市場に旋風を巻き起こしている。
CivicaRxは、医薬品の供給不足と価格の上昇に対応するため、インターマウンテン・ヘルスケアなどの非営利病院の出資によって2018年に設立された非営利の後発医薬品メーカーだ。治療に欠かせない必須薬を安価に安定供給するという同社のビジネスは多くの医療機関から支持されており、現時点で45の医療機関が参加し、その病床数は21万3000床に上る。
CivicaRxは、新興企業ながら後発品の処方コスト削減に向けた変化の波を起こしている。
CivicaRxは、ブルークロス・ブルーシールド(BCBS)協会を含む18の民間非営利保険(ブループラン)と、数千万人に及ぶ加入者の薬剤コスト削減を実現するために協力することになった。CicicaRxのビジネスが入院で使用される薬剤にフォーカスしているのに対し、今回の共同事業では外来で使う薬剤のコスト削減に重点が置かれる。
ブループランとの提携で影響力拡大
共同事業に参加する18のブループランの対象患者は2800万人を上回り、このうち1740万人が加入するブループランから調剤給付金を受けている(2019年7月時点のDecision Resources Groupの調査)。ブループランとCivicaRxの提携は相当な数の患者に影響を及ぼすだろう。
どのような薬剤が共同事業の対象になるかまだ明らかではないが、加入者がすぐに効果を実感できる7~10の高額な後発品が中心になりそうだ。これから開発して承認を取得しなければならないことを考えると、この共同事業で薬剤が使えるようになるのは2022年初めになるという。
今回の共同事業が目覚ましいコスト削減を実現すれば、参加を希望する保険者が増えるはずだ。BCBS協会が参加したことで、まずはブループランに参加が広がり、その後ほかの大規模非営利保険者が続くと予想される。
米国には多くのブループランがあり、CivicaRxは自らを「米国の医療システムにとって破壊的な存在」と位置付けている。
(原文公開日:2020年1月27日)
この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。
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