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ニュース解説

【匿名座談会】販売情報提供活動ガイドラインでMR活動はどう変わったのか(前編)

今年4月に運用が始まった厚生労働省の「医療用医薬品の販売情報提供活動ガイドライン」。ガイドラインによってMRの活動はどう変わったのでしょうか。4人の現役MRに集まってもらい、匿名で本音を語ってもらいました。

 

(司会・前田雄樹/構成・亀田真由)

 

【参加者プロフィール】
Aさん:MR歴8年の30代男性。大手内資系メーカー勤務。
Bさん:MR歴5年の20代女性。大手外資系メーカー勤務。
Cさん:MR歴3年の20代男性。中堅内資系メーカー勤務。
Dさん:MR歴3年の20代男性。内資系後発品メーカー勤務。

 

スライドの投影時間をチェック

――今年4月に厚生労働省の「医療用医薬品の販売情報提供活動ガイドライン」の運用が始まりました。MRの活動は変わりましたか?

全員:変わりましたね。

 

Aさん:添付文書とインタビューフォームの周辺しか話せなくなり、やれることが限定的になりました。適応外使用や妊婦への投与といったことも、以前は自分で話したり文献を持って行ったりしていましたが、それが今はできない。提供できる情報とできない情報が、人(担当)で明確に切り分けられました。

 

Cさん:社内審査を通った自社製品の話ばかりになってしまいますよね。「妊婦に処方したいんだけど、安全性のデータある?」と医師に聞かれ、「学術担当を連れてきます」と答えたら、「そんなに面倒なことになるならいいよ」と言われてしまう。情報提供までのステップが多くなり、活動が数字(売り上げ)に結びつきにくくなりました。

 

Dさん:うちは輸液も扱っているんですが、エビデンスが少ないので話せることがない。添付文書やインタビューフォームの内容だけで、やる意味あるのかなって思っちゃいます。

 

Bさん:「厳しくなった」というのが一番の印象です。説明会で話す内容や示せるスライドも変わりました。

 

――医師と面会する頻度は変わりましたか?

Aさん:ガイドラインによって頻度が変わったということはないです。もともとアポイント制の病院が増えていますから。情報提供の量という点ではそちらの影響が大きくて、ガイドラインによって変わったのは情報提供の中身です。

 

Cさん:提供できる情報がないと、モチベーションの部分で「訪問しづらいな」と思うことは増えました。

 

会社にビクビク

――説明会や講演会はどうでしょうか。内容や開催頻度は変わりましたか?

Bさん:ガイドラインが直接の原因ではないと思いますが、「これしか説明できないなら回数はいらない」と言われた結果、回数が減ることはありましたね。ガイドラインは医師のスライドにも及ぶので、講演の依頼が難しくなるケースも出てくるのかなと思っています。

 

Aさん:単純に会社が講演会に予算を出さなくなりました。今はシェア・オブ・ボイスで売れる製品が主流ではなくなっているので、そういう打ち手の講演会は減っています。説明会で出せるスライドは以前から会社で決まっていましたが、薬価一覧表を作って加えたり、強調したい部分に色をつけたりといったことはできなくなりました。

 

Bさん:スライド1枚1枚の投影時間を計測されて、有効性の話ばかりしていないか、安全性についてもきちんと時間をかけているか、ということをチェックされている会社もあると聞きました。

 

Cさん:それウチです…。その日使った資材がパソコンに記録されて、スライド1枚ごとに投影時間がカウントされます。

 

Aさん:質疑応答のために映しっぱなしにしていても?

 

Cさん:そうなんです。だから、日報の備考欄にそのことを書かなきゃいけなくて…。

 

――日報の話が出ましたが、ガイドラインでは口頭で行った説明の内容も含め、業務記録を作成・保管することが義務付けられましたね。

Aさん:正直、鬱陶しいです。ウチの会社では、どの資材を使って、どんな話をして、顧客はどういうリアクションをしたかというのをシステム上で報告するんですが、「できるだけ24時間以内に報告するように」と言われています。報告の中に少しでも逸脱したところがあると、すぐに担当部署から「どういうことですか?」と確認されます。会話が弾んで話してしまったこととか、こちらから話題を持ちかけたわけでもないものでも…。会社はかなり敏感になっていますね。

 

Bさん:「何かあったときに自分を守れるように」と言われます。未承認薬や適応外薬について話したときは確実に報告するようになりました。

 

Cさん:ウチの会社では、開業医担当のほうがルールを逸脱しやすいと思われているらしく、開業医担当の日報は特に厳しくチェックされています。開業医にはこちらの事情をまだ理解いただけていない医師も多いので、「同種のこれって、薬価いくらだっけ?どう違うんだっけ?」みたいなことも聞かれる。そういうやりとりを日報にぼかして書いても、すぐに確認が入って…。察してくれよと思いますね。

 

Bさん:最近、外部のアポイント予約システムを導入する医療機関も増えてきていますが、そこでのやりとりも報告するように言われる会社もあるみたいですね。

 

Aさん:ウチは外部のアポイント予約システムでは何もやるなと言われています。記録が残ってしまうので。何かあったときに「ほら言ってるじゃん!」と言われてしまう。メールもすごく気にします。チェックされるので、本当に当たり障りのないことしか書けない。会社にビクビクしているところはありますよね。

 

「あとは先生のご判断で」

――いろいろと制限がかかる中、皆さんは医師に満足してもらうためにどんな工夫をしていますか。

Cさん:質問をうまくすりかえたり、違いを聞かれた時に逆にどちらが良かったか聞き返したり。あとは、質問の多い医師のところに行くときは、学術担当者と一緒に行くようにしています。

 

Aさん:質問の緊急度と重要度を把握するようにしています。興味本位で質問しているなと思うときは「私はここまでしか答えられませんが、それでも聞きますか?」と言いますし、緊急性があれば「すぐに担当部署に確認して2時間後に電話します」といった対応をする。満足してもらえるかは、そうしたことに敏感に対応できるかどうかだと思います。

 

Bさん:ギリギリのところまでは、自分で調べるなり、論文を持っていくなどして対応しています。

 

Dさん:私は学術に投げてしまうことが多いですね。ところで皆さん、ぶっちゃけガイドラインはどこまで守ってますか?

 

Aさん:会社の資材ができていなくても、例えば薬価収載のような情報は調べればわかるので、話してしまうことが多いです。YouTubeには薬の作用機序を説明する海外の動画もあったりするので、承認前の薬でも「YouTubeに動画がありますよ」と言うこともあります。調べればたどり着けるものなので、話してもいいんじゃないかと思うんですよね。

 

Cさん:ソースがしっかりしていればいいのではないかと思っています。判断するのは医師ですから。「雑談なんですけど」と前置きして話すことはある。

 

Bさん:MRの言うことを鵜呑みにする医師はいない。信じる、信じないは医師の判断なので、こちらとしてはできる限りのことはしてしまいますよね。

 

Aさん:論文はどこでも見られるので、プリントアウトして持っていかなくても、「じゃあそのサイト見とくね」とか「そのワードで検索して探してみるね」となればそれでいい。「あとは先生のご判断で」って、みんな言ってますよね。

 

Dさん:後発品は文献も少ないので、自分が担当しているほかの医師が何と言っていたか、ということを伝えることがあります。望ましくはないのでしょうが、それがアウトと言われたらどうしようもないです。

 

――ガイドラインに対する医療従事者の反応はいかがでしょうか?

Bさん:「そんなことまで規制するの?」という反応です。理解してくださる医師もいますが。

 

Cさん:会社によって違うとも感じているようですね。ウチは、開業医から「特に厳しいね」と言われます。緩いメーカーもあるようです。

 

Aさん:勘違いされている部分もあると思います。MRが提供できる情報が減っただけで、製薬会社が提供できる情報自体は今までとそう変わらないはず。ルールに則って手順を踏めば聞ける情報もたくさんあるのに、それが知られていません。受け手側への周知がもっと必要だったのではないでしょうか。

 

Dさん:理解のある医師は、情報提供までのひと手間もわかってくれるのですが、それが伝わっていないと不便だと感じているでしょうね。

後編につづく)

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