
【2019年1月版】製薬大手 抗がん剤パイプライン(2)メルク・サノフィ・GSK・J&J
市場拡大が著しく、開発競争も熾烈ながん領域。製薬大手の後期開発パイプラインをまとめました(全5回。この記事は半年をめどに更新していく予定です)。
パイプラインは調査時点で各社がホームページで公表していた情報に基づく。いつ時点の情報かは会社によって異なるため、承認・申請など直近のイベントが反映されていない場合もある。 |
欧米ですでに承認を取得しているBCL2阻害薬venetoclax(製品名・VENCLEXTA /VENCLYXTO)は、慢性リンパ性白血病のほか、多発性骨髄腫や骨髄異形成症候群などの適応でも後期開発が進行中。日本では2018年11月に再発・難治性の慢性リンパ性白血病で申請しました。
PARP阻害薬veliparib(開発コード・ABT-888)は、卵巣がんや乳がんのほか、肺がんでもP3試験を実施中です。
抗体医薬や抗体薬物複合体(ADC)も開発後期段階にあり、抗EGFR ADCのdepatuxizumab mafodotin(ABT-414)は膠芽腫でP3試験、抗cMet ADCのtelisotuzumab vedotin(ABBV-399)は非小細胞肺がんでP2試験を実施中。抗DLL3を標的としたADCのrovalpituzumab tesirine(Rova-T)は小細胞肺がん向けに開発中ですが、18年12月、セカンドラインを対象とした開発の中止が発表されました。
ABT-165は、DLL4とVEGFをターゲットとする二重特異性抗体。現在、固形がんでP2試験が行われています。
17年に米カイトファーマを買収して獲得したCAR-T細胞(キメラ抗原受容体発現T細胞)療法axicabtagene ciloleucel(Yescarta)は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(セカンドライン)でP3試験を実施中。同リンパ腫では、免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-L1抗体アテゾリズマブ(テセントリク)との併用療法でもP2試験が行われています。
マルトンリンパ腫を対象にP2試験を行っているKTE-X19も、axicabtagene ciloleucelと同じCD19を標的とするCAR-T細胞療法です。
Sky阻害薬entospletinibは造血器腫瘍を対象に、BTK阻害薬tirabrutinibはB細胞腫瘍を対象に、それぞれP2試験を進めています。
CDK4/6阻害薬アベマシクリブ(ベージニオ)は、17年に米国で承認され、18年には日本と欧州でも承認を取得。現在、アジュバント療法としての有効性・安全性を評価するP3試験を行っているほか、ホルモン受容体陽性・HER2陽性の転移性乳がんでもP2試験を行っています。
抗VEGF R2抗体ラムシルマブ(サイラムザ)は、肝細胞がんへの適応拡大を申請中。EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんでP3試験が進行中です。
膵臓がんなどを対象に開発しているpegilodecakin(LY3500518)は、18年の米アーモ・バイオサイエンシズ買収で獲得した品目。同薬はペグ化されたIL-10で、免疫療法薬として開発を進めています。
16年に欧米で進行軟部肉腫を対象に承認された抗PDGF R-α抗体olaratumab(LARTRUVO)は、膵臓がんへの適応拡大に向けたP2試験が進行中。P2試験段階には、マルチキナーゼ阻害薬merestinib(LY2801653)やCHK1阻害薬prexasertib(LY2606368)といった新規作用機序の薬剤も複数あります。
T細胞のCD19とB細胞のCD3を標的とする二重特異性抗体ブリナツモマブ(ビーリンサイト)は、18年9月、再発・難治性のB細胞性急性リンパ性白血病の適応で日本でも承認。びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と、急性リンパ芽球性白血病でP3試験が行われています。
ブリナツモマブは、2つの抗体の抗原結合部位を短いリンカーでつないだアムジェン独自の「BiTE抗体」。がん抗原に結合する抗体を変えることで、さまざまながん種に応用することができ、多発性骨髄腫などのほかの血液がんや固形がんでもP1試験を進めています。
多発性骨髄腫治療薬カルフィルゾミブ(カイプロリス)は、併用薬の拡大に向けたP3試験を実施中。talimogene laherparepvec(IMLYGIC)は腫瘍溶解性ウイルスで、悪性黒色腫を対象に抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(キイトルーダ)との併用療法のP3試験を行っています。
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