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ニュース解説

【2021年3月版】製薬大手 抗がん剤パイプライン(3)アッヴィ、ギリアド・サイエンシズ、イーライリリー、アムジェン

更新日

市場拡大が著しく、開発競争も熾烈ながん領域。製薬大手の後期開発パイプラインをまとめました(全5記事。この記事は半年をめどに更新していく予定です。全記事まとめはこちら)。

 

パイプラインは調査時点で各社がホームページで公表していた情報に基づく。いつ時点の情報かは会社によって異なるため、承認・申請など直近のイベントが反映されていない場合もある。

 

米アッヴィ

【米アッヴィ】がん領域の後期開発パイプライン

 

スイス・ロシュと共同で開発しているBCL-2阻害薬ベネトクラクス(製品名・ベネクレクスタ/Venclyxto)は、多発性骨髄腫や骨髄異形成症候群で臨床第3相(P3)試験を行っています。日本では今年3月、急性骨髄性白血病への適応拡大が承認されました。

 

BCL-2に加えてBCL-XLを阻害するnavitoclax(開発コード・ABT-263)は、骨髄線維症への効果が期待されています。PARP阻害薬veliparib(ABT-888)は、卵巣がんや乳がんで開発中です。2020年には、デンマーク・ジェンマブと二重特異性抗体の開発で提携し、抗CD3/CD20二重特異性抗体epcoritamab(Gen-3013)のP3試験を共同で進めています。

 

抗cMet 薬物複合体(ADC)のtelisotuzumab vedotin(ABBV-399)は、グローバルで非小細胞肺がんのP2試験が進行中です。

 

米ギリアド・サイエンシズ

【米ギリアド】がん領域の後期開発パイプライン

 

17年に米カイトファーマを買収し、2つのCAR-T療法アキシカブタゲン シロルユーセル(イエスカルタ)とbrexucabtagene autoleucel(Tecartus)を獲得しました。Tecartusは、マントル細胞リンパ腫を対象に申請中で、急性リンパ性白血病の適応でピボタル試験を行っています。

 

イエスカルタは今年3月、濾胞性リンパ腫(緩慢性非ホジキンリンパ腫)への適応拡大が米国で承認。サードライン以降で承認されているびまん性大細胞型B細胞リンパ腫では、セカンドラインなどへの適応拡大に向けた開発が進んでいます。日本では第一三共がB細胞リンパ腫を対象に今年1月に承認を取得しました。

 

がん免疫療法など、細胞療法以外のパイプライン拡充も急いでおり、昨年、トリプルネガティブ乳がん治療薬の抗TROP2 ADC sacituzumab govitecan(Trodelvy)を開発した米イミュノメディクスを買収。トリプルネガティブ乳がんでの完全承認を求めて申請を行っているほか、尿路上皮がんへの適応拡大も申請中です。これ以外にも、米フォーティー・セブン買収で抗CD47抗体magrolimab(GS-4721)を、米アーカスとの戦略提携で抗PD-1抗体zimberelimab(GS-0122)を獲得しました。

 

米イーライリリー

【米イーライリリー】がん領域の後期開発パイプライン

 

19年の米ロキソオンコロジー買収で獲得したRET阻害薬selpercatinib(Retevmo)は昨年5月、米国でRET遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんと甲状腺髄様がんで承認されました。欧州でも承認が見込まれています。同社由来のBTK阻害薬LOXO 305もP2段階です。

 

抗VEGFR-2抗体のラムシルマブ(サイラムザ)は、EGFR遺伝子変異陽性の進行・再発非小細胞肺がんへの適応拡大が日本で承認されました。小児の滑膜肉腫や繊維形成性小円形細胞腫瘍でも開発の中期段階にあります。

 

米アムジェン

【米アムジェン】がん領域の後期開発パイプライン

 

KRAS阻害薬としてファースト・イン・クラスを目指すsotorasib(AMG510)は、昨年末にKRAS G12C遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんを対象に米国と欧州で申請を行いました。結腸・直腸がんなどでも、併用療法を含めた開発を進めています。

 

抗CD19/CD3二重特異性抗体ブリナツモマブ(ビーリンサイト)は、小児の急性リンパ芽球性白血病でP3試験が行われています。多発性骨髄腫治療薬カルフィルゾミブ(カイプロリス)は、ダラツムマブ、デキサメタゾンとの3剤併用療法で昨年8月に米国で承認を取得。レナリドミドを含む3剤併用療法でもP3試験を行っています。

 

19年には中国で、ベイジーンとがん領域での戦略的提携を締結。昨年末には、初の製品としてブリナツモマブが承認されました。

 

(亀田真由)

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