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ニュース解説

【2019年8月版】製薬大手 抗がん剤パイプライン(1)ロシュ・ファイザー・ノバルティス

市場拡大が著しく、開発競争も熾烈ながん領域。製薬大手の後期開発パイプラインをまとめました(全5記事。この記事は半年をめどに更新していく予定です)。

 

パイプラインは調査時点で各社がホームページで公表していた情報に基づく。いつ時点の情報かは会社によって異なるため、承認・申請など直近のイベントが反映されていない場合もある。

 

スイス・ロシュ

【スイス・ロシュ】がん領域の後期開発パイプライン

 

免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-L1抗体アテゾリズマブ(製品名・テセントリク)は、現在、肝細胞がんや非小細胞肺がんなどの適応症で臨床第3相(P3)試験を実施中です。19年3月にはトリプルネガティブ乳がんや小細胞肺がんの併用療法で米国で承認を取得。2020年までに腎細胞がんなど7つの適応拡大の承認を目指しています。

 

注目の薬剤として挙げられるのが、ROS1/TRK阻害薬エヌトレクチニブ(ロズリートレク)や、pan-Akt阻害薬ipatasertib(RG7440)など。

 

エヌトレクチニブは6月に日本でNTRK融合遺伝子陽性の固形がん治療薬として、8月に米国で同適応とROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん治療薬として承認されました。ipatasertibは、がん細胞の増殖に関わるPI3K/Akt経路に作用する薬剤。アンメットニーズの高いトリプルネガティブ乳がんに対する新薬として期待されています。

 

直近では、16年にBioNTechから導入したネオアンチゲンワクチンのRG6180-1が、悪性黒色腫を対象にP2試験を開始。19年6月には抗CD79b抗体薬物複合体のpolatuzumab vedotin(Polivy)が、米国でびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の適応で承認されました。

 

米ファイザー

【米ファイザー】がん領域の後期開発パイプライン

 

独メルクと共同開発する抗PD-L1抗体アベルマブ(製品名・バベンチオ)は、胃がんや非小細胞肺がんなどでP3試験が進行中。抗OX40抗体PF-04518600や抗4-1BB抗体PF-05082566など、別の免疫療法薬との併用療法も開発が進められています。バベンチオは19年5月、米国で腎細胞がんに対するチロシンキナーゼ阻害薬「インライタ」との併用療法が承認されており、日本と欧州でも同適応で申請中です。

 

SMO阻害薬glasdegib(Daurismo)は急性骨髄性白血病に対する低用量シタラビンとの併用療法を対象に欧州で申請中。日本でもP3試験を実施しています。アステラス製薬と開発するエンザルタミド(イクスタンジ)も、19年8月までに日米欧で転移性ホルモン感受性前立腺がんの適応で申請しました。

 

CKD4/6阻害薬パルボシクリブ(イブランス)やPARP阻害薬talazoparib(Talzenna)も、適応拡大に向けた開発が進められています。talazoparibは、去勢抵抗性前立腺がんを対象にエンザルタミドとの併用療法のP3試験を行っています。

 

スイス・ノバルティス

【スイス・ノバルティス】がん領域の後期開発パイプライン

 

世界初のCAR-T細胞(キメラ抗原受容体発現T細胞)療法として承認されたチサゲンレクルユーセル(キムリア)は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫などへの適応拡大に向けた開発が進行中。ただ、慢性リンパ性白血病のP3試験が19年上半期に中止されました。

 

免疫療法ではこのほか、抗PD-1抗体spartalizumab(開発コード・PDR001)が、悪性黒色腫を対象に、BRAF阻害薬ダブラフェニブ(タフィンラー)、MEK阻害薬トラメチニブ(メキニスト)との併用療法でP3試験段階。別の併用療法でもP2試験を実施中です。

 

今年5月には、alpelisib(Piqray)が乳がんに多いPI3Kα遺伝子変異を阻害する薬として初めて、ホルモン受容体陽性/HER2陽性乳がんを対象に承認されました。同適応では、Translational Research In Oncologyと共同で臨床開発を進めるribociclib(Kisqali)もP3試験を行っています。

 

自己炎症性疾患治療薬「イラリス」としてすでに販売されている抗IL-1β抗体カナキヌマブ(ACZ885)は、非小細胞肺がんを対象に開発の最終段階。得意とする白血病では、BCR-ABL阻害asciminib(ABL001)とシグナル伝達阻害薬midostaurin(Rydapt)の開発が進みます。

 

(亀田真由)

 

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