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ニュース解説

消費増税に伴う19年度の薬価改定 実施は「4月」か「10月」か

安倍首相が来年10月に消費税を10%に引き上げる方針を表明したことを受け、増税に伴う臨時薬価改定の議論が本格化しています。市場実勢価格に基づく引き下げを行った上で増税分を上乗せする方向ですが、改定の時期や方法をめぐって製薬業界と政府が対立しています。

 

製薬業界は「10月」 政府「4月・10月」の2段階も

安倍首相は10月15日、来年10月に消費税を予定通り10%に引き上げる方針を表明しました。消費税の引き上げをめぐっては、増税分を上乗せするために行う臨時の薬価改定が焦点の1つ。厚生労働省は早速、17日の中央社会保険医療協議会(中医協)で、製薬業界から臨時改定への意見をヒアリングし、実施に向けた議論を本格的にスタートさせました。

 

実勢価格を反映した上で増税分を上乗せ

増税に伴う2019年度の臨時改定は、通常の薬価改定と同様に市場実勢価格に基づく引き下げを行い、そこに増税分を上乗せする方向で検討が進んでいます。厚労省はすでに、今年9月取引分を対象に、市場実勢価格を把握するための薬価調査を実施。製薬業界も薬価の引き下げを行うこと自体は否定していません。

 

ただ、臨時改定の具体的な方法については、製薬業界と政府で意見が異なります。最大の焦点となっているのは、臨時改定の実施時期です。

 

製薬業界側は、「臨時改定は消費税率引上げ分を適切に薬価に反映することが目的」(日本製薬団体連合会)とし、市場実勢価格に基づく引き下げと増税分の上乗せはセットで来年10月の税率引き上げと同時に行うべきと主張。一方、政府内では、市場実勢価格に基づく引き下げを来年4月に前倒しで行い、10月に増税分を上乗せする案が浮上しています。

 

消費増税に伴う薬価改定に対する製薬業界と政府の考え方の図。

 

20年度改定への影響が課題に

消費増税に伴う臨時改定の時期を検討する上で論点となるのが、20年4月に行われる通常の薬価改定への影響です。

 

薬価調査との関係は

20年度の通常改定では、厚労省が19年9月取引分を対象に薬価調査を行い、そこで把握した市場実勢価格に基づいて薬価の見直しが行われます。しかし、19年10月に市場実勢価格を踏まえた改定を行う場合、20年度改定に向けた薬価調査のあとに価格が変動することになり、結果として20年度改定に市場実勢価格を適切に反映できなくなることが課題として指摘されています。

 

政府が検討している2段階改定なら、この課題はクリアできます。19年4月に前倒しで市場実勢価格に基づく引き下げを行えば、それを受けた価格変動も19年9月の薬価調査に反映させることが可能です。

 

一方、消費税引き上げよりも前に改定を行うことに対しては「臨時改定の趣旨から外れる」との指摘もあります。製薬業界側は「臨時改定はあくまで増税対応が目的」とし、増税に先行して薬価を引き下げることに強く反発。医薬品卸からは「価格交渉を年に複数回行うことになるなど、医薬品流通に大きな支障が出る」(日本医薬品卸売業連合会)との意見が上がっているほか、医療機関の負担を懸念する声もあります。

 

改定の範囲はどこまで

政府内では、19年4月に前倒しで臨時改定を行う場合、影響を緩和するため引き下げ幅を小さくすることも検討されています。製薬業界側は「通常の改定とは位置付けが異なる」とし、臨時改定では▽新薬創出加算を受けている品目などは対象から外すべき▽市場拡大再算定など追加的な引き下げは行うべきではない――と主張。一方、財務省は通常改定と同様の引き下げを求めており、改定の中身をめぐっても意見が分かれています。

 

中医協は年内に臨時改定の骨子案をまとめる予定ですが、現時点では意見の隔たりが大きく、調整は難航も予想されます。

 

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