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ニュース解説

慢性便秘に新薬ラッシュ―高齢化で患者増加 市場も拡大へ

慢性便秘症に、相次いで新薬が登場しています。今年4月にEAファーマと持田製薬が「グーフィス」を発売したのに続き、8月にはアステラス製薬の「リンゼス」が、9月にはEAファーマの「モビコール」と三和化学研究所の「ラグノス」が承認を取得しました。便秘は高齢者ほど有訴者率の高い疾患。高齢化を背景に患者は増加傾向にあり、治療薬の市場も拡大していきそうです。

 

患者数は450万人 高齢者で高い有訴者率

厚生労働省の国民生活基礎調査(2016年度)によると、便秘の有訴者率(自覚症状のある人の割合)は、男性で2.5%、女性で4.6%。ここから推定すると、国内で便秘の症状を訴える人は約450万人に上るとみられます。

 

便秘は高齢者ほど有訴者率の高い疾患です。有訴者率を年代別に見てみると、男女とも60代から上昇し、70代では男性6.7%・女性8.2%、80歳以上では男女とも10.8%。65歳以上の高齢者では、男性の6.5%、女性の8.1%が便秘の症状を訴えています。

 

年齢・男女別 便秘の有訴者率の棒グラフ。

 

便秘は「本来、体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義され、腸そのものの病変によって起こる「器質性便秘」と、そうではない「機能性便秘」に分類されます。近年、相次いで登場している新薬は、機能性便秘のうち便秘の状態が日常的に続く「慢性便秘症」を対象としたものです。

 

「グーフィス」「リンゼス」「モビコール」相次ぎ承認

慢性便秘症の薬物治療には、酸化マグネシウムやセンノシドなどが使われてきましたが、2012年にスキャンポファーマが「アミティーザ」(一般名・ルビプロストン)を発売(その後、マイランEPDが製造販売承認を承継)。今年4月には、EAファーマと持田製薬が「グーフィス」(エロビキシバット)を発売し、8月にはアステラス製薬の「リンゼス」(リナクロチド)も承認を取得。9月には、EAファーマの「モビコール」(マクロゴールほか)と三和化学研究所の「ラグノス」(ラクツロース)も承認されました。

 

グーフィスは胆汁酸トランスポーター阻害薬と呼ばれる新規の作用機序を持つ薬剤。胆汁酸の再吸収に関与するトランスポーターを阻害することで大腸に届く胆汁酸を増やし、水分の分泌と大腸の運動を促進します。

 

日本ではEAファーマと持田製薬が共同開発し、両社が同じ製品名でそれぞれ販売中。持田は発売初年度の18年度に13億円の売り上げを見込んでいます。

 

慢性便秘症の新薬

 

リンゼスは17年3月から便秘型過敏性腸症候群治療薬として販売されており、今回の承認によって慢性便秘にも対象が広がりました。腸粘膜のグアニル酸シクラーゼC受容体を活性化することで水分の分泌を促進する上、腹痛を軽減する効果を持ちます。適応拡大により売り上げは大きく拡大する見通しで、18年度は92億円(前年度比562.7%増)の販売を計画しています。

 

9月に承認されたモビコールは、欧米のガイドラインで使用が推奨されている薬剤。主成分であるポリエチレングリコールの浸透圧効果により、腸管内の水分量を増やし、便を柔らかくする作用があります。グーフィス同様、国内ではEAファーマと持田製薬が共同開発。発売後は両社がそれぞれ販売することになっています。

 

学会が初の治療ガイドライン

新薬の相次ぐ登場に加え、昨年10月に国内初となる診療ガイドラインが作成されたことも、治療の変化を後押ししています。従来よりも便秘を幅広くとらえたのが特徴で、薬物治療ではアミティーザなどを最も推奨度の高い位置づけとしています。

 

便秘は有訴者率の高い疾患ですが、水を飲むなどして対応する人も多く、医療機関を受診する人はごく一部にとどまるのが現状。治療選択肢の充実により、個々の患者に合わせた治療ができるようになってきました。高齢化に伴い治療薬の市場も拡大が予想される中、今後は医師や患者への疾患啓発も重要になりそうです。

 

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