MR認定センターがまとめた2018年版「MR白書」によると、2017年度の国内のMR数は6万2433人で、前年度から752人(1.2%)減少しました。MRが減少するのは4年連続で、ピークの13年度と比べると3000人あまり減少。17年度は、これまで増加傾向にあったCSOのMRも大きく減少しました。
INDEX
17年度は750人減
MR認定センターが7月に公表した2018年版「MR白書」によると、17年度(18年3月31日時点)の国内のMR数は6万2433人で、前年度から752人(1.2%)減りました。国内のMR数は13年度の6万5752人をピークに減少を続けており、14年度は1095人、15年度は522人、16年度は950人減少。この4年間で3319人(5.0%)減ったことになります。
薬価の引き下げや後発医薬品の普及で国内の市場環境は厳しさを増し、スペシャリティ領域の新薬が増えたことで製薬会社は多くのMRを抱える必要はなくなりました。国内市場は今後、縮小も見込まれており、薬価制度の抜本改革もあって収益性の低下が懸念されています。長期収載品を主体とする中小メーカーへの影響が大きく、リストラの波は大手以外にも広がっていく可能性があります。
CSOの減少響く
17年度、特徴的だったのは、これまで増加傾向にあったCSO(医薬品営業受託機関)のMRが大幅に減ったことです。CSO(15社)のMR数は前年度から1割近く減少。14年度以降、減少が続く外資系企業は17年度も1.1%減り、内資系企業も0.3%減で2年連続の減少となりました。
コントラクトMRの活用状況を詳しく見てみると、MR数が「100~299人」「300~499人」の製薬企業で契約コントラクトMRが増えた一方、「1000人以上」の企業では半数近く減少しました。
日本CSO協会は▽中小メーカーでの活用が広がっていること▽一部メーカーで人員調整が一巡したこと――を背景に、コントラクトMR数は18年に再び増加に転じると見ています。一方、全体的にMRが削減傾向にある中、製薬企業側は自社・外部委託問わず営業リソースを絞り込んでいると見ることもでき、今後の動向が注目されます。
採用も縮小傾向に
全体としてMRが減少しているだけに、新卒・中途問わずMRの採用も低調です。
55.2%が新卒採用行わず
MR認定センターに登録している製薬企業やCSOなど210社のうち、18年4月に新卒採用を行ったのは43.8%(92社)にとどまり、55.2%(116社)は新卒採用を行っていませんでした。新卒を採用しなかった企業の割合は年々増加しており、18年度は前年度に比べて2.3ポイント上昇。市場の先行きが不透明な中、新卒採用を抑制する傾向が続いています。
新卒採用を行わなかった企業の割合を形態別に見ると、外資製薬企業が64.6%(前年度比5.0ポイント増)、内資製薬企業が47.9%(3.1ポイント増)。一方、CSOでは、前年度は新卒採用がゼロでしたが、18年度は16社中1社が新卒採用を行いました。
中途採用も2年連続減少
一方、中途採用は17年度に61.4%の企業が行ったものの、16年度と比べると1.0ポイント減りました。中途採用を行った企業の割合が減少するのは2年連続です。
雇用形態別(複数回答)に見てみると、中途採用を行った企業のうち、正社員として採用した企業が89.1%、契約社員として採用した企業が36.4%。前年度と比べると、正社員採用は0.6ポイント上昇した一方、契約社員採用は2.5ポイント低下しました。
中途採用者の前職(複数回答)では、製薬他社のMRが80.6%で最も多く、コントラクトMR(50.4%)、特約店関係者(MSなど、19.4%)と続きました。前年度とほぼ同じ傾向でしたが、製薬他社のMRが1.2ポイント上昇した一方、コントラクトMRは0.7ポイント減少しました。
プロモーションにもメス
MRをめぐっては、その数だけではなく業務のあり方も問われています。
有効性を誇張するなど不適切なプロモーションがなくならないことから、厚生労働省は先月、MRなどが行う医療用医薬品のプロモーション活動を規制する「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」の案を公表。財務省は昨年10月の財政制度等審議会・財政制度分化会で「医師5人に対して1人のMRによる営業が行われ、待ち時間や雑務が多いとの調査結果もある」と、コストの観点からMRの多さに注文を付けました。
医療費、とりわけ薬剤費への削減圧力が高まる中、数と質の両面から厳しい視線を浴びるMR。今後も減少は避けられそうにありません。
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