厚生労働省は3月23日、血友病Aに対する抗体医薬「ヘムライブラ」(一般名・エミシズマブ)や、結節性硬化症に伴う皮膚病変治療薬「ラパリムスゲル」(シロリムス)など新薬の製造販売を承認した。いずれも5月に薬価収載される見通し。
中外製薬の「ヘムライブラ」は、血液凝固第IXa/X因子を標的とする二重特異性抗体で、血友病では初めての抗体医薬。血友病A患者で欠損あるいは機能異常をきたしている血液凝固第VIII因子の機能を代替する。承認された適応は、第VIII因子に対するインヒビターを保有する血友病A。欧米でもすでに承認を取得しており、中外はピーク時にグローバルで2000億円規模の売り上げを期待している。
先駆け審査指定制度の「ラパリムスゲル」も承認
ノーベルファーマの「ラパリムスゲル」は、先駆け審査指定制度の対象品目。外用ゲル剤で、結節性硬化症に伴う皮膚病変に対する治療薬としては世界初となる。
このほか、3月23日付で承認を取得したのは、
▽パーキンソン病治療薬「アジレクト」(サラギリンメシル酸塩、武田薬品工業)
▽腰椎椎間板ヘルニア治療薬「ヘルコニア」(コンドリアーゼ、生化学工業)
▽二次性副甲状腺機能亢進症治療薬「オルケディア」(エボカルセト、協和発酵キリン)
▽乾癬治療薬「トレムフィア」(グセルクマブ、ヤンセンファーマ)
▽ファブリー病治療薬「ガラフォルド」(ミガーラスタット塩酸塩、アミカス・セラピューティクス)
▽抗菌薬「シベクトロ」(テジゾリドリン酸エステル、バイエル薬品)
▽抗サイトメガロウイルス化学療法剤「プレバイミス」(レテルモビル、MSD)
▽2型糖尿病治療薬「オゼンピック」(セマグルチド、ノボノルディスクファーマ)
▽2型糖尿病治療薬「スージャヌ」(シタグリプチン酸塩水和物/イプラグリフロジン L-プロリン、MSD)
▽帯状疱疹ワクチン「シングリックス」(ジャパンワクチン)
など。
協和発酵キリンの「オルケディア」は、同社の「レグパラ」の後継にあたる次世代のカルシウム受容体作動薬。レグパラと同等の有効性を持ちながら、上部消化管に関する副作用の発現頻度が減少することが認められている。
MSDの「スージャヌ」は、田辺三菱製薬の「カナリア」に続くDPP-4阻害薬とSGLT-2阻害薬の配合剤となる。販売元はアステラス製薬で、プロモーションはMSDとアステラス、寿製薬の3社が共同して行う。
ハーセプチンのバイオシミラー 適応は胃がんのみ
日本化薬が申請していた抗HER2抗体「ハーセプチン」のバイオシミラー「トラスツズマブBS点滴静注用『NK』」も承認された。ハーセプチンのバイオシミラーは国内初。先行品はHER2過剰発現が確認された乳がんと胃がんの適応を持つが、バイオシミラーは胃がんのみで承認された。