大塚製薬は11月14日、錠剤に微小なセンサーを埋め込んで服薬状況を管理する同社の「デジタルメディスン」が、世界で初めて米FDA(食品医薬品局)から承認を取得したと発表した。
承認を取得したのは、抗精神病薬「エビリファイ」(一般名・アリピプラゾール)の錠剤に微小なセンサーを埋め込んだ「エビリファイ マイサイト」。センサーは米プロテウス・デジタル・ヘルス社が手がけた。
患者が「エビリファイ マイサイト」を服用すると、胃液に触れたセンサーがシグナルを発信。患者の身体に貼り付けたシグナル検出器「マイサイト パッチ」で受信し、服薬した日時を把握する。センサーは体内で消化・吸収されず、そのまま体外に排泄される。パッチは服薬状況のほか、患者の活動状況なども記録し、専用の「マイサイト アプリ」に送信。アプリの情報は、患者の同意があれば家族や医療従事者、介護者とも共有できる。
統合失調症患者では、6割が薬を規則正しく飲んでいないとも調査もある。服薬の不良は再発のリスクを増大させる。
米FDAは昨年4月、大塚が申請していた「エビリファイ マイサイト」の承認を一旦見送り。大塚はFDAが求めた追加データを提出し、今年再申請を行っていた。大塚の樋口達夫社長は「大塚の精神疾患領域での25年以上の経験の中でも、今回の承認は大きな契機になる。服薬状況を客観的に把握することで、より適切な治療に貢献していく」とコメントしている。