(写真:ロイター)
米モデルナのフランチェスカ・セディアCMAO(チーフ・メディカルアフェアーズ・オフィサー)が11月12日、AnswersNewsのインタビューに応じ、ワクチンの国内状況について語りました。セディア氏は、開発中の新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの混合ワクチンを「2025年に日本で申請する」と表明。ノロウイルスワクチンについても日本でP3試験を開始したと明らかにしました。
RSウイルスワクチン、来年の承認期待
――今年5月にRSウイルスワクチンを日本でも申請しました。すでにファイザーとグラクソ・スミスクラインのワクチンが承認されていますが、それらとの違いも含めてモデルナのRSウイルスワクチンの特徴を教えてください。
われわれRSウイルスワクチンは米国や欧州、カナダで承認を取得しており、ほかの国でも承認を待っている状況だ。日本では2025年の承認を期待している。
われわれのRSウイルスワクチンは、現在承認されているものの中で唯一、mRNAテクノロジーをベースとしている。新型コロナウイルスワクチンとまったく同じ技術をベースにしており、コロナワクチンで得た安全性に関する幅広い経験を有効に活用することができる。コロナワクチンと同様に有効性も非常に高い。
また、3つの承認されているRSウイルスワクチンの中で、われわれのものだけがプレフィルドシリンジを採用している。簡単に扱えるし、ミスも防ぐことができる。準備の時間が削減できるし、医師にとっても楽だ。
米国では、ほかの2つのワクチンと同じ推奨を受けている。つまり、60歳以上の成人に対して、ほかの2つのワクチンと同様に接種できる。
――米国で9月にノロウイルスワクチンのP3が始まりました。日本での開発は。
日本でもP3試験を開始した。米国とほぼ同時に開発が進んでいると言えるだろう。
現在、ノロウイルスに対して承認されたワクチンは1つもない。ノロウイルスは流行するジェノタイプがシーズンによって変わるので、流行に合ったワクチンを毎シーズン用意しなければならないという点で複雑だ。そこで有効なのがmRNAで、アドバンテージがあると考えている。シーズンごとに流行に合ったワクチンをつくっていく上で、コロナワクチンで得た経験をもとに非常に短時間で対応することが可能だからだ。
P3試験の滑り出しは良好で、この試験の結果をもとに申請を行えたらと思っている。そうなれば、われわれのワクチンが唯一かつ最初のノロウイルスワクチンになる可能性がある。
インタビューに応じた米モデルナのセディアCMAO
ワクチン接種「強い忌避感情存在」
――新型コロナとインフルエンザの混合ワクチンは、グローバルで24年中に申請する方針が示されています。日本での申請の見通しは。
今年末までに申請するというグローバルの計画は変わっていない。日本ではP3試験を行っており、25年に申請する。
――日本では10月から高齢者らを対象とした定期接種が始まりましたが、接種は低調です。
もしかしたらまだそれほど寒くないからなのかもしれないが、残念ながらワクチンに対する強い忌避の感情がある。ワクチンは人々の生命や生活を救うことが実証されている。コロナ以外の疾病でも、例えばワクチンが寿命を向上させたり、かつては小児にとって恐ろしい病気だと考えられていた疾病による死亡を回避したりすることができた。にもかかわらず反ワクチンの感情があることは非常に悲しい。
高齢者や一定の基礎疾患を持つ人にとって、コロナワクチンの接種は非常に大きな影響を与える。日本では、コロナによる入院はインフルエンザによるそれと比べて3倍多い。ワクチンに対して不安や懸念を持つ人がとり得る最も良い行動は医師に相談するのことだ。情報源として最も信頼性が高い。
私は、ワクチンは自分の生命、人生、生活に対する保険だと考えている。定期接種は高齢者や一定の基礎疾患を持つ人が対象だが、受けられるのであれば年齢に関わらず接種が推奨される。