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米国で数十年ぶり新クラスの抗精神病薬承認…ブリストルの「Cobenfy」、専門家は「ゲームチェンジャー」と期待

更新日

ロイター通信

(写真:ロイター)

 

[ロイター]米FDA(食品医薬品局)は9月26日、ブリストル・マイヤーズスクイブの抗精神病薬「Cobenfy」(一般名・xanomeline/trospium chloride)を承認した。米国では数十年ぶりの新タイプの薬剤となる。

 

同薬の添付文書には、一般的な抗精神病薬と異なり、高齢患者の一部で死亡率が上昇するリスクについての警告は含まれていない。体重増加や運動障害といった従来の抗精神病薬で見られる副作用もない。ブリストルの株価は27日の時間外取引で6.3%上昇した。

 

「2030年までに米国で年間25億ドルの売り上げ」予想も

Cobenfyは、ブリストルが昨年の米カルナ・セラピューティクス買収で獲得した新薬だ。ブリストルはカルナ買収に140億ドルを投じた。Cobenfyが血液がん治療薬「レブラミド」や抗凝固薬「エリキュース」に代わる成長の原動力になると期待している。

 

ウィリアム・ブレアのアナリストは、2030年までに同薬の米国での売上高が25億ドルに達すると予想している。ブリストルは同薬を10月下旬までに発売する方針で、定価は月額1850ドル、年間2万2500ドルを見込んでいる。

 

FDAによる承認は、症状の有意な軽減を示した2つの臨床試験結果に基づく。

 

Cobenfyは、コリン作動性受容体を標的とした初の抗精神病薬だ。これまでは、ドパミン受容体をターゲットとした薬剤が長らく標準治療とされてきた。スタンフォード大医学部の精神医学教授アラン・シャッツバーグ氏は「統合失調症治療では、特に陽性症状に反応を示しても陰性症状が残るというアンメットメディカルニーズがある」と指摘。Cobenfyは統合失調症治療の「ゲームチェンジャー」になる可能性があると期待する。

 

ドパミン受容体を標的とする抗精神病薬は症状を軽減する一方で、震えや不随意運動、眠気といった副作用を引き起こす。臨床試験でCobenfyによく見られた副作用は、嘔吐、吐き気、便秘などだった。FDAは閉尿の患者、中等度から重度の腎臓病や肝臓病の患者には同薬を使用しないよう求めている。

 

アッヴィなども開発

ブリストルは、発売後12~18カ月で、同薬の対象患者人口の80%がメディケアとメディケイドの保険プランでカバーされると予想している。同社のアダム・レンコウスキーCCO(チーフ・コマーシャライゼーション・オフィサー)は「われわれの焦点は、発売後すぐにこれらすべてのカバーが決定され、患者がアクセスできるようにすることだ」と指摘。25年末までにCobenfyはかなりの使用が見込まれると述べた。

 

米国で現在承認されている抗精神病薬には、米バンダ・ファーマシューティカルズの「Fanapt」、同アッヴィの「Vraylar」のほか、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾールといった薬剤の後発医薬品などがある。

 

アッヴィは昨年末、米セレベル・セラピューティクスを87億ドルで買収し、統合失調症に対する新しい治療薬の開発を進めている。同リバイバ・ファーマシューティカルズ、同ニューロクライン・バイオサイエンシズ、ポーランドのセロン・ファーマも統合失調症治療薬を開発している。

 

統合失調症は妄想や幻覚といった症状により患者の現実認識を著しく損なう。

 

(取材:Puyaan Singh/Bhanvi Satija/Michael Erman、編集:Krishna Chandra Eluri/Alan Barona/Shreya Biswas、翻訳:AnswersNews)

 

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