[ロイター]米投資調査会社モーニングスターとピッチブックによると、ノボノルディスク(デンマーク)とイーライリリー(米国)が独占している肥満症治療薬市場に近い将来、16の新薬が相次いで参入する見込みとなっており、巨大市場で激しくシェアを争うことになりそうだ。
市場は31年までに2000億ドル規模
9月9日に発表された共同レポートで、両社のアナリストらは肥満症治療薬の世界市場が2031年までに2000億ドル規模に拡大する可能性があると推定した。16の新薬は29年までに発売される可能性があり、市場のうち700億ドルをこれら新規参入組が占めるという。
「ウゴービ」(ノボ)と「ゼップバウンド」(リリー)の成功により、競合他社も自社の肥満症治療薬に期待を寄せている。米アムジェンや同ファイザーといった企業が臨床試験で新薬候補のテストを進めている。
こうした動きの一方、肥満症治療薬をめぐってはそのコストの高さが批判の的となっている。ただ、レポートでは新規参入組が市場シェアを競う中で価格は下がっていくと見通している。
レポートによると、ファイザーやアムジェンのほか、独ベーリンガーインゲルハイム、デンマークのジーランド・ファーマ、スイスのロシュなどが開発を進めている。米ストラクチャー・セラピューティクス、同バイキング・セラピューティクス、同アルティミューンも参入を目指しており、ノボとリリーも次世代薬の開発に取り組んでいる。
ストラクチャーやバイキングなど買収対象に
両社のアナリストらは昨年、肥満症治療薬市場の将来予測を31年までに1700億ドルとしていたが、糖尿病市場への浸透の高まりが予想されることもあり、予測を引き上げた。今回のレポートでは、31年までに糖尿病患者の41%、非糖尿病の肥満症患者の25%がGLP-1薬を使用すると見ている。
アナリストらは、今後1年半の間に、大手製薬企業が肥満症治療薬開発を行う小規模企業をターゲットに大規模な買収を行うと予想している。
買収対象となる可能性があるのは、ストラクチャー、バイキング、アルティミューンなどがある。ピッチブックのデータによると、米NodThera、仏Corteria、米Diasomeといった非上場企業は買収される可能性が50%を超えている。
(取材:Sneha S K/編集:Mohammed Safi Shamsi/翻訳:AnswersNews)