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学会へのブース出展で再認識したアドボカシー活動の意義|コラム:現場的にどうでしょう

更新日

黒坂宗久

先月、とある学会に私たちのアドボカシー活動の一環としてとしてブースを出展し、私もメンバーの1人として参加してきました。私たちにとって初の試みでしたが、幸い多くの方にアドボカシー活動に興味を持っていただけたようで、大変有意義な取り組みとなりました(「コラム読んでます」と声をかけてくださった皆さん、ありがとうございました)。

 

以前のコラムにも書きましたが、アドボカシー活動とは「仲間を増やすことで私たちが考える社会課題の解決に向けた影響の輪を広げる活動」だと私は考えています。そのためには、私たちが課題だと考えていることを一方的に主張していてはダメで、同じ未来を描いた上で現実の問題を一緒に見つめていく姿勢が大切になります。

 

業界、アカデミア、政治、行政、患者、一般市民の方々…。私たちは日々、仲間づくりのためにさまざまな人と会い、意見を交わしています。そうした場合、具体的なテーマを持ってお会いすることがほとんどで、「アドボカシー活動とは」というお話をすることはあまりありません。

 

そうした点で、学会へのブース出展はとても新鮮な経験でした。というもの、ブース出展の目的は具体的なテーマを取り上げることではなく、私たちがやっているアドボカシー活動そのものを知ってもらうことにあったからです。ブースでは、学会に参加しているアカデミアや企業のたくさんの方々とお話をさせていただきましたが、まず私たちの活動の全体像をお伝えした上で、それぞれの関心事について対話をしていくようなコミュニケーションが多かったです。

 

直接会って丁寧に

私自身、アドボカシーを仕事にするようになって1年ちょっとですが、皆さんに活動についてお話することで全体像をより深く理解する良い機会になりました。中に入りすぎると全体が見えづらくなる一方で、全体を眺めているだけでは内にある熱量が感じられにくくなるなと改めて気づき、そのバランスを取る意味でも良い経験になりました(このバランス、世の中に仲間を増やそうとする上ですごく重要だと思うんです)。そして何より、たくさんの方々に興味を持っていただけたことで、アドボカシー活動の意義を再確認できたことが大きな収穫だったと思っています。

 

アドボカシー活動にはいろんなやり方があると思いますが、1人1人、対面で丁寧に考えを伝えていくことが本質なんだと改めて認識しました。1対1の関わりの中で生まれる信頼や相互理解が土台となり、その上にさまざまな議論が成り立っていく。そんな分かりきったことさえ自分がこの活動に身を投じてやっと腹落ちするくらいですから、まだまだ学ぶことは途方もなくたくさんあります。そう思うと絶望しそうですが、むしと伸びしろしかないと諦めてこれからも頑張っていこうと思っています。

 

最近、いろいろな反省から評論家にはなりたくない(なってはいけない)と思うことが多いです。人と直接会うことをいとわず、泥臭くてもできるだけ外に出て、相手の目を見て対話をしていきたいと思っています。

 

※コラムの内容は個人の見解であり、所属企業を代表するものではありません。

 

黒坂宗久(くろさか・むねひさ)Ph.D.。アステラス製薬アドボカシー部所属。免疫学の分野で博士号を取得後、約10年間研究に従事(米国立がん研究所、産業技術総合研究所、国内製薬企業)した後、 Clarivate AnalyticsとEvaluateで約10年間、主に製薬企業に対して戦略策定や事業性評価に必要なビジネス分析(マーケット情報、売上予測、NPV、成功確率、開発コストなど)を提供。2023年6月から現職。SNSなどでも積極的に発信を行っている。
X:@munehisa_k
note:https://note.com/kurosakalibrary

 

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