(写真:ロイター)
2024年5月に米FDA(食品医薬品局)が承認した主な新薬と適応拡大を、領域別にまとめました。
INDEX
【新薬】mRNAワクチン、新型コロナ以外で初の承認
がん
Imdelltra|米アムジェン
がん細胞上のDLL3(デルタ様リガンド3)とT細胞上のCD3を標的とする二重特異性T細胞誘導(BiTE)分子製剤「Imdelltra」(一般名・tarlatamab)は、進展型小細胞肺がん治療薬。プラチナベースの化学療法による治療中または治療後に進行した成人患者が対象です。迅速承認の根拠となった臨床第2相(P2)試験では、客観的奏効率40%、奏功期間9.7カ月(中央値)、全生存期間14.3カ月(同)を示しました。日本でも同試験の結果をもとに今年5月に申請を行っています。
精神・神経
Onyda XR|米トリスファーマ
「Onyda XR」は、ADHD治療薬clonidineの1日1回夜間投与の徐放懸濁液。6歳以上の小児患者に使用できる非刺激性の経口液体製剤は米国初となります。単剤またはほかの中枢神経刺激薬に対する補助療法として使用します。
ワクチン
mRESVIA|米モデルナ
「mRESVIA」は、RSウイルスに対するmRNAワクチン。60歳以上の成人を対象に承認されました。モデルナにとっては、新型コロナウイルスワクチンに続く2つ目の製品となります。欧州やオーストラリアでは昨年7月、日本では今年5月に申請しました。米国では小児対象のP2試験も進行中です。
【適応拡大】Breyanziの濾胞性リンパ腫・マントル細胞リンパ腫など
がん
Retevmo|米イーライリリー
RET阻害薬「Retevmo」(selpercatinib)は、▽RET遺伝子変異陽性の進行または転移性甲状腺髄様がん▽RET融合遺伝子陽性の進行または転移性甲状腺がん▽RET融合遺伝子陽性の局所進行または転移性固形がん――の適応で2歳以上の小児に使用できるようになりました。従来は12歳以上の患者が対象でした。迅速承認の根拠となった国際共同試験では、48%の全奏効率を示しました。
Breyanzi|米ブリストル・マイヤーズスクイブ
CD19を標的とするCAR-T細胞療法「Breyanzi」(lisocabtagene maraleucel)は、▽再発・難治性の濾胞性リンパ腫(FL)▽再発・難治性のマントル細胞リンパ腫(MCL)――に適応拡大。いずれも2つ以上の全身療法を受けた患者が対象です。FLの適応では、全奏効率95.7%を示した国際共同P2試験の結果をもとに迅速承認されました。日本でも同試験の結果をもとに今年1月に申請しています。
【承認取り下げ】Truseltiq|米ブリッジバイオ
FGFR3阻害薬「Truseltiq」(infigratinib)は、FGFR2融合遺伝子または再構成遺伝子を有する既治療の胆管がんの適応での迅速承認が取り下げられました。米国では21年5月に承認。販売はスイスのヘルシンが行っていましたが、同社が▽1次治療での新たな承認取得に向けた臨床試験の被験者募集が難しいこと▽それを踏まえて2次治療での流通を継続することに商業的合理性がないこと――を理由に自主的に承認を取り下げました。ブリッジバイオは軟骨無形成症など骨疾患を対象に同薬の開発を行っており、日本では同領域で協和キリンが権利を獲得しています。
【バイオシミラー】afliberceptとeculizumabに初のバイオシミラー
Yesafili|印バイオコン/Opuviz|韓国サムスンバイオ
いずれも「Eylea」(aflibercept)に対する米国初のバイオシミラーで、同薬との互換性を持ちます。バイオコンのYesafiliは、欧州と英国に次ぐ承認。サムスンのOpuvizは米バイオジェンが米国での販売を担います。
Bkemv|米アムジェン
米国で初となる抗補体(C5)抗体「Soliris」(eculizumab)のバイオシミラー。先発品との互換性が認められています。