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米メルク、大型化期待の肺動脈性肺高血圧症治療薬が承認―「2030年までに売上高50億ドル」予測も【海外ニュース】

更新日

ロイター通信

(写真:ロイター)

 

[ロイター]米FDA(食品医薬品局)が、米メルクの肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療薬を承認し、同社は新たなヒット薬となる可能性のある新薬をポートフォリオに加えた。

 

承認を得た3月26日の時間外取引でメルクの株価は4%以上、上昇した。この薬の製品名は「Winrevair」で、対象となるPAHの患者は米国に約4万人いる。

 

メルクの米国ヒューマンヘルス事業の社長、ジャニー・ウーストハイゼン氏はロイターの取材に「5年死亡率が43%というこの疾患を抱えたまま放置されている患者に対し、大きな変化をもたらすことを期待している」と語った。

 

Winrevairの定価は1バイアルあたり1万4000ドル(約210万円)。同社の治験データによると、ほとんどの患者が3週間ごとに1バイアルを投与することになり、費用は年間で23万8000ドルとなる計算だ。メルクは同薬を4月末までに市場に投入できると見込んでいる。

 

Winrevairは、メルクが2021年に米アクセレロン・ファーマを115億ドルで買収して獲得した新薬だ。メルクの主力製品であるがん治療薬「キイトルーダ」は2020年代後半にバイオシミラーとの競争にさらされ、売り上げにも影響が出ると予想されている。同社はその対策として心血管系疾患に対する治療薬のポートフォリオを強化している。

 

Winrevairの有効成分ソタテルセプトは、アクチビンと呼ばれるタンパク質を標的としている。この作用機序を持つ薬剤がFDAから承認を得たのは初めてだ。

 

PAHは肺の動脈の収縮によって引き起こされる疾患で、高血圧や息切れ、胸痛、めまいといった症状が起こる。高血圧は心臓の血液を送り出す働きを悪くし、最終的には心不全につながる。

 

JPモルガンのアナリスト、クリス・ショット氏は投資家向けのメモで「ソタテルセプトの初期導入は順調に進み、早い段階でPAHの標準治療の一部になる」との見方を示した。同氏はWinrevairが2030年までに約50億ドルのピーク売り上げに達すると予測している。

 

今回の承認は、PAH患者323人を対象に行われた24週間にわたる後期試験の結果に基づく。試験では、Winrevairを投与された患者群で運動能力の大幅な改善が示され、プラセボと比べて6分間の歩行距離が40.8メートル伸びた。

 

(Leroy Leo、Christy Santhosh、Mariam Sunny、Michael Erman/編集:Shinjini Ganguli、Krishna Chandra Eluri/翻訳:AnswersNews)

 

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